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TSカリスマライフ! 「女の子大好きな転生少女が送る、百合ハーレムな日常コメディ」  作者: 恒石涼平
(旧)第二章 後輩、同級生、先輩。(小学二年生)
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莉里ちゃんは本が好き

 司書さんのお叱りを受けた後、私たちは一緒に本を探していた。

 私は学校で設けられている読書の時間に読む小説を借りに来たけれど、莉里ちゃんはさっきまでテーブルで広げていた図鑑を棚に戻して、次の目当ての本を探している。

 しかし莉里ちゃんの身長のこともあり、本棚全ては無理だけれど少し高い位置にある本くらいなら取れるようにと私も一緒についていく。


「……」

「莉里ちゃん、次はどんな本を探してるの?」

「……小説」

「へぇ莉里ちゃんも小説好きなんだ?」

「……うん」

「私も好きなんだよね、どんな小説を探してるの?」


 聞くところによると現在八巻まで出ているファンタジー物の小説を探しているらしい。

 小学校の図書室にも入っているけど、いつも誰かが借りてるからこれまで読めなかったそうで。

 その点図書館は人気のものだと一巻分を二、三冊入っていることがあるので、実は穴場になっているかもしれない。

 学校と違ってここまで返却しに来ないといけないから、残っている可能性は高い。


「うーん人気のやつはこっちにあるんじゃないかな?」

「……行こう」


 この図書館は一階に図書、二階には勉強や読書ができる自習室がある。

 建物自体は上空から見ると丸い円形になっていて一階のど真ん中、円の中心部分にはテーブルと椅子が複数設置されている。

 そしてその周りに本棚が、フランスのエトワール凱旋門から伸びる道のように並んでいるのです。


 きっと人気や話題の本はテーブル近くに配置されるはずと説明すると、莉里ちゃんは私の手を掴んで意気揚々と円の中心へと早歩きで進んでいった。

 そうして探していると、思っていた通りその本の特設コーナーが設けられており本も残っていて、莉里ちゃんは嬉しそうに手に取っていた。


「……よかった」

「お、ほんとだね。今日は一巻だけ借りるの?」

「……最大数」

「なるほど三冊ね」


 一回の貸し出しは三冊までで、貸し出し期限が二週間に設定されている。

 期間を過ぎると家に返却してくださいとお手紙が届くので、忘れないようにしっかりしなきゃね。

 これで莉里ちゃんの探し物は見つかったので、次は私の探し物を手伝ってもらうことに。

 そうしてやってきましたミステリー小説の本棚。


「んーどれにしようかな?」

「……難しそう」

「まぁ小学生にはちょっと難しい内容かもね」

「……千佳、小学生」

「あはは、そうなんだけどね。まぁ私は幼稚園の頃から読んでるから」

「……私も」

「ん? 読んでみたいってことかな?」

「……ん」

「いいよー、じゃあ家にある本から見繕っておくね!」

「……ありがと」


「どういたしまして。よし、これを借りよう」

「……一冊でいいの?」

「内容が多いからね。それに図書館も近いんだし、読み終わったらまた借りに来ればいいからね」

「……そのときは一緒に」

「うん! 次も一緒に来ようね」


 そうして私は一冊、莉里ちゃんは三冊の本を手にカウンターへ向かった。

 怒ってくれた司書さんが貸し出しの手続きをしてくれたので、最後にお礼を言って家路へと着いた。

 帰り道もお店に目が留まる莉里ちゃんを必死に引き止め、なんとか小学校横の莉里ちゃん宅まで送っていくことが出来たので、ミッションコンプリートと一人呟き、何となく誰も聞いていないのに恥ずかしくなった私は家へと帰りました。




 そして次の日。

 お昼休みに湖月ちゃんと愛ちゃんを含めたクラスの女の子たちとお話しをしていると、教室の扉から見覚えのある顔がひょっこりと出ていました。


「……千佳」

「およ、莉里ちゃん。こんにちは」

「……こんにちは」


 近づくとそこにいたのは莉里ちゃんで、どうやら私に何か用がある様子。


「どうかしたの? お昼休みに」

「……今日遊べる?」

「うん、大丈夫だよ。湖月ちゃんと愛ちゃんは用事があって遊べないけど」

「……家に来て」

「本当に!? 行きたい!」

「……放課後迎えに来る」

「分かった、待ってるね」


 会話の通り教室に遊びに来た莉里ちゃんからお誘いを貰ったので、今日は莉里ちゃん宅にお邪魔します!

 一年生は私たちより早く授業を終えるので、メグちゃんと花ちゃんにはこの曜日は先に帰っておくように言っています。


 そして放課後。

 迎えに来た莉里ちゃんと仲良く手を繋いで、初めての三枝家訪問となりました。

 ……そしてそこで待っていたのは。


「おかえり姉さん。勉強おしえ……って千佳先輩!?」

「お邪魔します桃ちゃん」

「姉さん? 今日は私に勉強を教えてくれるんじゃなかったんですか?」

「……助っ人」


「えーと、莉里ちゃん? どういうこと?」

「なるほど、確かに姉さんより心強いです」

「……悲しい」

「ちょっ、姉さん!? 泣かないでください!」

「誰か説明プリーズ……」


 三枝家のリビングで取り残される私でした。寂しい。

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