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TSカリスマライフ! 「女の子大好きな転生少女が送る、百合ハーレムな日常コメディ」  作者: 恒石涼平
第一章 転生少女とカリスマ開花。(小学一年生)
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第8話 小学校初めての友達

リメイク前は色んな理由付けや描写をすっ飛ばしていたのですが、作者が成長した(当社比)のでしっかりと描かせていただきます。

……前の作風が好きだった人にはごめんなさい。

でも間違いなく、前より良い物なので許してください!

愛ちゃんに対して自信満々な宣言をした私は、迫り来る入学式の始まりに焦りつつも考えを巡らせます。

彼女は人見知りなようで、これから行う新入生代表の挨拶を想像してお腹が痛くなる程に緊張している様子。なるべく優しく話しかけた私にはすぐ警戒を解いてくれたみたいですが、やはり200を超える他人の前に立つのは生半可ではありません。


入学式のアナウンスはまだ来賓が入場していないからか一度止まっています。だから大丈夫、考える時間はまだある。

一番最初に思いつくのは、私が代わりに代表の挨拶をすること。先生に頭を下げれば出来なくはないはずだ。

しかしここで私が代わりをしたとしても彼女の為にならないとも思う。ピンチはチャンスでもある、逃げるだけでは大きな成長を成し遂げることは難しいだろうし。


「とはいえ、一人で考えてても意味ないか。これは私の問題じゃなく——」


——この子がどうしたいか、それが重要なのだから。


「という訳で、愛ちゃんの想いを聞かせて欲しいな。挨拶したいのか、したくないのか。もしも難しかったら私が代わりに出てあげるし先生にも掛け合ってあげるよ」

「そ、それは……人前に出るなんてすごく怖いし、ちゃんと出来る気がしないから……」

「大事なのは、出来ない理由じゃないよ。例えどんな状況でもどれだけ高い壁があっても、私たちにとって重要なのは何をやりたいのか」

「何を、やりたいのか……」


私は小学生に向かって何を言ってるんだ、とも思うけど大切なことだ。それに彼女が神童と呼ばれる存在なら、伝えたいことを理解してくれる筈だから。

愛ちゃんは少し俯いて、私にも聞こえない程の声量で何かを呟く。そしてまた前髪を揺らしながら顔を上げて。


「わ、私……手が震えちゃうくらい怖くて、不安でいっぱいなの。ステージの上だと皆の視線が集中するし、想像するだけでお腹が痛くなって。ずっとそう思ってたのにお母さんが嬉しそうにしてるから言い出せなくて」


紡がれる言葉の数々。頷きという相槌を打ちながら、その小さな身体から絞り出した一言一句を聞き逃さない。そうしていると私の熱意が届いたのか、髪の奥で揺らめいていた視線がしっかりとこちらを捉えた。


「ずっと言いたかった。怖いって、緊張してるって……だけど、やりたくないなんて思ってない」


震えながらも、その瞳にはしっかりとした決意が込められていて。


「私ね、ずっと周りの子たちから距離を取られてたの……先生たちは神童だって褒めてくれるけど、そんなの全然嬉しくなくて。そんなのより友達を作って、いっぱいお喋りしたかった……だから、入学式で挨拶するって言われて思いついたの。そこで私の想いを伝えたら、友達が出来るんじゃないかって」


ああ、この歳でそこまで自分の考えを論理的に言葉へと変えられるんだ。神童という名は伊達じゃない。これだけ聡い子ならば幼稚園では異端に思われてしまう、それくらいは私も経験している。そんな彼女の気持ちが分かった今、私がするべきことは決まった。


「そっか……なら、頑張って挨拶しなきゃだね」

「でも、そうは思ってるのに、身体が言うことを聞かないんだ……バッチリ言えて友達が沢山出来るって信じてるのに、失敗した時のことばっかり頭に浮かんじゃうの」

「色んな可能性があっても、悪いことばかり浮かんじゃうことはあるよね。ネガティブ思考はしたくないのに〜って、分かってるのにどうしようも出来なくて」


そうやって考えていく内に、もうどうすればいいか分からなくなってしまう。しかしそんな彼女を救うのはきっと簡単で。その小さな思考の鳥籠から解き放ってあげればいいんだ。


「愛ちゃん、私に任せて。一緒にこの入学式を成功させよう」

「任せるって、どうするの?」

「そりゃ簡単だよ——」


根本的な問題は、やりたいのに悪感情が邪魔をしていること。もしも失敗したらという不安が前向きな想いを覆ってしまっていること。なら私がやるべきなのは。


「——新入生代表が一人じゃないといけないなんて、そんな決まりはないからね」


おどけるように笑いながら静かに席から腰を上げた。先程のアナウンスでほとんどの生徒が座っているけれど、大人しくしていられない子たちは立っていたりするので不審には思われないだろう。

そして愛ちゃんの前へと立って、ゆっくりと腕を出す。手のひらは上向けに。まるで舞踏会でお嬢様をダンスに誘うみたいなイメージで、優しく差し伸べた。


「愛ちゃん、私も一緒にやるよ。あのステージの上で、二人で挨拶しよう」

「え、ええ!? そ、そんなの無理なんじゃ……」

「ふっ、私のお願い攻撃に陥落しない大人はいない」


あの花ちゃんママだって、上目遣いでお願いって囁やけば一瞬で陥落するのだ。幼女の力、侮るなかれ。


「もうすぐ入学式が始まっちゃうから、急がないとね。一緒に来てくれる?」

「……いいの?」

「いいに決まってる。それどころか、私は愛ちゃんを助けたいって思ったんだよ? ここで手を取ってくれないと、ただ空回りしてるだけの変な幼女になっちゃうからさ……お願い」


その言葉を聞いた彼女はまた一度俯いて、ボソボソと呟いてから力を込めて立ち上がった。そして私の手をぎゅっと握って。


「——私に、力を貸してください」

「大船に乗ったつもりで任せなさい!」


お互いの想いを確かめあった私たちは、どちらが引くでも押すでもなく、二人肩を並べて先生のいる席へと歩き出す。

そして私は確信した。彼女となら仲良くなれそうだ、と。


「よろしくね、千佳ちゃんっ」


そうして私と愛ちゃんは、友達になったのです。

【ひとこと説明】

室崎愛むろさき あい 現在:6歳

神童と呼ばれる少女。

その所以は、幼稚園にして中学1年生レベルの計算が出来るから。

因みに英才教育とかではなく、人見知りで本の虫だった結果、数学の本を読んで一人で勉強した結果である。


次回、入学式。

ここまで書いたのに、まだ始まってなかった……

花ちゃんママたちも来ます。

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