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TSカリスマライフ! 「女の子大好きな転生少女が送る、百合ハーレムな日常コメディ」  作者: 恒石涼平
(旧)第四章 千佳の優雅なドイツ旅行。(小学三年生 冬休み)
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ファンクラブ、激震。

「な、なんやて〜!?」


 冬休みに入ったはずの学校の体育館には、沢山の女子生徒達が集まっていました。

 彼女達は千佳ちゃんファンクラブの会員で、今日はファンクラブの顧問である柚梨ちゃんによって招集されていたのです。


「もう一度繰り返します。本日理事長からの連絡で、千佳ちゃん一家は冬休み一杯をドイツで過ごすそうです」

「ち、千佳ちゃんー。どうして私達に言わないでー」

「き、嫌われてもうたんか……?」


 絶望の表情を浮かべて抱き合う湖月とリンファは、千佳が出発前に旅行に出掛ける連絡をしなかった事に怯えていました。


「その点について、千佳ちゃんからテレビ通話がきています。向こうは深夜ですので、皆落ち着いて下さいね」


 体育館の二階部分にあるカーテンがボタン一つで閉められ、照明が消えると同時に大きなスクリーンに千佳の顔が投影されました。

 その顔はポケーッとしており、白く長い髪が所々跳ねていて寝起きであることが伺えます。

 そしてそんなレアな表情を大きな画面で見たファンクラブ一同のテンションは、柚梨から言われたことを忘れてアゲアゲです。


『あ、もう映ってるの?』

「千佳ちゃんだ!」

「千佳お姉様ー!!」

「可愛い!」

「そんな表情も美しいです!!」

『おっと、皆元気だね。あ、そっちはまだお昼前か』


 落ち着いてと言われたものの、愛する千佳を見て彼女達が黙っていられる訳がありません。

 どうやら体育館の光景は千佳に届いているようで、盛り上がっている皆を見て手を振りながら苦笑していました。


「おはようございます、千佳ちゃん。いえそちらでは深夜ですか。今プロジェクターで映しましたよ」

『柚梨ちゃんありがとう。うん、こっちは真っ暗だね。突然愛架ちゃんに起こされたから何かと思ったよ』

「り、理事長を名前呼びですか……。流石千佳ちゃんですね!」


 柚梨が千佳の凄さに恐れ慄いていると、痺れを切らした……いや千佳に見惚れていた状態からいち早く正気に戻った湖月と莉里が叫び出します。


「千佳ちゃん! なんでうちらには何も言ってくれへんかったんや!」

「……弁明を要求する」


 湖月と莉里の言葉にスクリーンに映った千佳ちゃんは、えへへと笑いながら頭を掻きました。

 その仕草でファンクラブの数十人がノックアウトされ、女性教師達によって運ばれていきますがご愛嬌というものでしょう。

 あ、先生も一人ノックアウトされていますね。


『ごめんごめん。私も出発の当日に知ったんだよね。また今度埋め合わせするから』

「せやったらしゃあないな! 埋め合わせ楽しみにしてるで!」

「……なら仕方ない」


 埋め合わせという言葉に手の平を返した二人は、頭の中で妄想を膨らませます。

 二人で手を繋いで買い物や映画を楽しみ、愛を囁きあう光景を。

 まだ埋め合わせとしか言っていないのに都合の良い二人でした。


「千佳ちゃん、ドイツってヨーロッパだよね? どう?」

『そうだよ愛ちゃん。とは言っても着いた時も夜だったから、まだ夜景しか見れてないんだ。一杯写真撮って帰るから皆楽しみにしててね!』

「うん! 楽しみにしてるね!」

「ねぇね、花も楽しみにしてるねー!」


 ファンクラブのメンバーは一様に自分の所持ポイントが書かれた、会員証を取り出し確認します。

 写真の中でも千佳が映っているものはまた商品かすると踏み、ポイントが沢山残っている者はガッツポーズを、すっからかんの者は床へと両手を着きました。


『花ちゃんは出掛ける前振りだね。今日遊ぶ約束だったのにごめんね」

「いいよ! メグちゃんから聞いてたもん!」

『……花ちゃんが知ってて、どうして私が知らなかったんだろう』


 ガックリと肩を落とした千佳を気に掛けるように、桃が声を上げます。


「千佳先輩、体調には気を付けてくださいね」

『ありがとう桃ちゃん。お土産楽しみにしててね! ソーセージ買って行くから!」

「いえ、あの、検疫で引っかかるので持って帰れませんよ?」

『なんだって!?』


 千佳はカメラ外へと倒れていきました。

 お姉ちゃん! と助け起こす声が聞こえて、千佳は恵に肩を支えられながら起き上がりました。


「……それは置いておいて、千佳が居ないと冬休みが暇になる」

『色々と予定してたのにごめんね。年明けてもこっちに居るみたいだから』

「……また、通話出来る?」

『勿論! それに写真も柚梨ちゃん経由で毎日送るからね!』


 その言葉を聞いた皆は一斉に安堵の表情を浮かべ、そしてその写真を手に入れる為の千佳ちゃんポイントが余っていたかと思い悩みます。


『千佳ちゃん、そろそろ迎えが来るそうだよ』

『本当? それじゃあ皆、またね!』

「あぁ、千佳ちゃん……」


 映像は途絶え、残ったのは残念そうに肩を落とすファンクラブのメンバーだけ。

 千佳とあまり会話が出来ず一番残念そうにしていた柚梨は、気を取り直して皆にこう言うのでした。


「それでは! 冬休み中に千佳ちゃんポイントをゲットする方法をお話します!」


 こうして千佳ちゃんポイントを獲得するために、ファンクラブのメンバーは冬休みも地域貢献や勉強に勤しむのでした。

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