突然の再会
その時だった。
行く手を塞ぐように、いくつもの若草色が飛びかかってくる。
「おっと」
でっかい体のくせに、コーチはヒラリと身をかわした。次々と飛んでくる若草色を俊敏な動きでかわしきり、コーチは大っきな大剣を無言で構える。
あたしは、震えあがった。
待って!
待って!
殺さないで!
コーチの左手の中でガムシャラにもがく。
スルンと指の間をすり抜けて地面に降りたあたしは、猛ジャンプで若草色達の前に飛び出した。コーチから隠すように立ちはだかりたいところだけど、あたしの体じゃさすがに5体ものスライムは隠しきれない。
どうしてこんな無謀な事。
コーチに挑んできたのは、なんと隣ん家のチビちゃん達とそのパパ&ママだった。
コーチとチビちゃん達の間に立ち塞がれば、チビちゃん達に寄ってたかって囲まれて、さらにパパ&ママがあたしの前にずいっと出てくる。
ちょっとちょっと、いくらパパ&ママだって、コーチ達には束になっても敵わないと思うよ!?
なんで前に出てくるのよう。
チビちゃん達がグイグイ押して来て、あたしをコーチ達から何とか遠ざけようと頑張っている。よくよく聞けば、チビちゃん達は口々に『逃げて、逃げて』って叫んでいた。
あっ……まさかあたしを助けようとしてくれてるの?
パパ&ママは決死の覚悟でコーチ達にズイっとにじり寄る。その若草色の小さな体ごしに見るコーチは、ギラリと光る大剣を構えてとんでもなく威圧的に見えた。
ふるふると震えているように見えるのに、パパ&ママは一歩もひかない。
あの時チビちゃん達をかばってアシャムキャットの前に立ちはだかったあたしと、きっと気持ちは同じ。あたしが人間に拉致されたとでも思ったのかもしれない、死を覚悟してあたしを守ろうとしてるみたい。
やめて、大丈夫なの、あたしは自分の意思でこの人間達と一緒にいるのよ。
一生懸命訴えるけど、チビちゃん達がまとわりついてにっちもさっちもいかないの。あんまり無理に動くとナックルのトゲトゲで傷つけちゃいそうで怖いし、かと言ってこのまま手をこまねいているわけにもいかない。
だってアルマさん達は無駄な殺生はしないけど、向かってくる敵には容赦なかった。
お願い、チビちゃん達を殺さないで……!
祈るような気持ちでいたら、いきなり空気を揺るがすみたいに大きな笑い声が響いた。見たらコーチが体をくの字に折って笑い転げている。
「なんだこれ、スライム祭りか!」
コーチが笑う横でリーナさんは心配気に「すんごい押しくら饅頭状態だけど、スラちゃん大丈夫かしら」と困り顔。ジョットさんも「むしろ団子……」と小さくつぶやいた。




