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あたし、スライム! 初めての恋をしました。  作者: 真弓りの


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ナックルをゲット!

旅立ちのために必要な物を買いに街へ出たアルマさんとジョットさんが、物凄い量の荷物を抱えて帰ってきた。


この前の旅ではそんなにたくさん荷物なんか無かったと思うのに、そんなに持って行けるの!?ってビックリするくらい。


でも買い物袋から出てきたのはたくさんの武器や防具が主で、あとは見慣れない草?枯れた色んな植物がたくさんと様々な色の水が入ったビンがいくつも。


人間ってこんなにしっかり準備なんてするのね。あたしこれまでお出かけのために準備するなんて考えたことも無かった。


遠くに行かないってのもあるけど、気が向けばフラッと出掛けるだけよ。今思えば丸腰だけどお腹がすけばその辺の草を食べるし水分補給だってある程度草からいけちゃうし。他の魔物や人間に出会ったら逃げる一択だったしね。



みんながどういう風に旅の支度をするのか興味深々で見ていたら、リーナさんが枯れた植物を砕いたり削ったりし始めた。


わあ、すごい。この枯れた植物ってリーナさんがお料理によく使ってるスパイスってものだったのね。


手慣れた様子でそれぞれの植物の量を計っては混ぜ混ぜして、小さな袋に詰めていく。


嵩張ってたのがちいちゃくなって、いい匂いの袋がたくさん出来ると急にお腹がすいてきた。リーナさんが作るシチューっていう白いの、すごく美味しくってあったかくって、幸せな気持ちになるんだよねえ。


あたしそもそもあったかいものなんて食べた事が無かったから、リーナさんが作るお料理がもう、美味しくって仕方ないの。



幸せな気持ちになりながら、各自がリュックやバッグに着替えや薬草、水筒から料理に使う色がついたお水までを手分けして詰めていくのをあたしはワクワクしながら見つめていた。



「スラ、これ」



一足先に準備が終わったらしいジョットさんが、頑丈そうなトゲトゲがついたナックルを持って、あたしの傍にやって来る。


指を入れるらしい4つの穴とその先にそれぞれトゲトゲがついてて、あとは握りこむ部分があるだけの銀色のナックルは、細身でシンプルだけどカッコ良かった。



「見てて」



ナックルを拳にはめ、軽やかにパンチを繰り出して見せてくれる。



なるほど~!


パンチを出すあたりにあのナックルを仕込めばいいのね!


あ、あのトゲとまるい指を通す部分はこっちの体を守る役割もあるのかな?確かに外皮が堅かったりトゲトゲしてる魔物だっているもんね。



「分かったか?」



首肯くかわりにひとつ跳ねたあたしに、ジョットさんがナックルを投げてくれる。



うおお、見かけより重いな。

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