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気になるから

ニコニコしながらひとしきりナデナデした魔術師は、薬草を拾い上げた。



「でも、まだ完治してないでしょ、あれだけの傷だし」



そう言ってもう一回、薬草をあたしの上に落とす。



「やっぱりあげるよ。いま要らないなら持ってるといい、君、無茶しそうだし」



そうして魔術師さんは優しげに笑ってよいしょ、と立ち上がった。仲間達が「おーおー優しいねえ」とからかっても笑って返すその人を、あたしはなんだか不思議な気持ちで見つめていた。


だって、人間にこんなに優しくされるなんて思わなかった。


それにさっきアシャムキャットをやっつけた人だって他の仲間の人だって、なんとなくスライムをバカにしたような事を言ってるけど、この魔術師さんだけは、一度もそんな言葉を口にしていない。


ひょっとして人間にも、とっても変わった人がいるんだろうか。





「ねえ、さっきのスライム、ずっとついて来てるね」



焚き火の明かりを受けながら、女の人が不思議そうにあたしのいる草陰を振り返る。


そう、あたしはあれからずっと彼らの後を追っていた。なにか目的があったわけじゃない。あの魔術師さんがどんな人なんだかがどうしてか気になって、自分でもよく分からないまま彼らの後を追っていたんだ。


道中の彼らは、あのでっかい大剣を担いだ強そうな剣士や筋肉モリモリの寡黙な武闘家でさえ、余分な殺生はしなかった。


歯向かってくる者には容赦しないし、今夜の飯だと狩りもしていたけれど、それはあたしにとってはごく普通に命を繋ぐための営みで、魔物を手当たり次第に殺す冒険者である筈の彼らがいったい何を考えてそうしているのか、なんだか不思議に見えていたのだった。


そうこうしている内に夜になって、女の人が短剣で素早く獲物を捌いて煮込んだり焼いたりした物を頬張りながら、彼らは4人揃ってのんびり焚き火を囲んで談笑している。あたしは近付くのはなんだか怖いし、でもなんだか気になるしで、付かず離れずついて来てしまって、今もちょっと離れた草陰で、彼らの様子をじっと見ていた。



「おーおー、大事そうに薬草持ったままじゃねえか」



でっかい剣を担いだ剣士が苦笑している。だって、捨てられないよ。貴重な薬草をあんなに簡単にくれるだなんて。だからあたし、薬草を大切に持ってるの。ゼリーの部分に入れて、消化しないように守ってる。



「でも大丈夫?これからゴブリンの巣に行くじゃない、あのスライム危ないんじゃない?」


「だな、ゴブリンといえど危険度の高いヤツららしい」



道中の彼らの会話から彼らがこれからゴブリンの巣に向かうのは分かっていた。このところ数を増してきたゴブリンが群れをなして商隊の馬車を襲う事件が頻発していて、彼らはその討伐を依頼された冒険者だったのだ。


あたしから見たらゴブリンはやっぱり格上で、ヤツらの巣に一緒に入っていくなんて確かに危険なのかも知れなかった。

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