奥で待つのは
「俺が行こう」
小さなナイフをビュッと振って、ゴブリン達の青い血を飛ばしながら、Bランクさんがさっさと細い通路に入っていく。
なんていうか全く迷いがない人だなあ。
やっぱりあれくらい強いと、ボスが居るだろうってわかってる場所に向かうのでも、特に躊躇とか無いのかもしれない。
人ひとりしか通れないような細い道、Bランクさんの後に続いたのは武闘家だった。
そうだね、分かる気がするかも。あたしが見る限り、確かにBランクさんの次に強いのはアルマさん達のパーティーな気がするもんね。
普通だったら剣士が先頭なんだろうけど、この狭い空間じゃ武闘家の方が小回りきいていいって判断なのかな。剣士、リーナさん、そしてアルマさんと続き、後ろからもあと二人くらいがついてきている。
他の人がついてこないのは、後ろで脇道から来るゴブリン達を食い止めてくれるつもりなんだろう。
前の方でいきなり「グギャッ」「グガッ」という叫びと、金属音が聞こえてくる。
ああ、Bランクさんが、きっと通路を抜けたんだ。
通路を抜けた先には、きっと今までより強い敵がいるに違いない。丸腰ゴブリン達との戦闘の時は「やるぞ」って意気込んでたあたしだけど、さっきの武装ゴブリンより強いのがこの先にいるって思うと急に恐怖の方が先に立つ。
あたしはすっごくドキドキして、核が体から飛び出しちゃうんじゃないかって思うのに、アルマさんの心音は特にブレることもなく安定したリズムを刻んでいる。
そうだよね、アルマさん達もBランクさんもいるんだから、きっと大丈夫。
そうだよ、あたしも一発くらいお見舞いしてやるくらいの気持ちでいないと、一緒にいる意味がないよね!
あたしは準備運動のつもりで、こっそり体内の水を動かした。
目の前で、火花が散った。
ひええ、こ、こ、こ、こわっ……!
さすがにこの空間にいるゴブリンは強さが違う!
ていうか、これゴブリンなの!?
なんかデカイし、手足も長い。どっちかっていうと人間に近いくらいおっきいよ!?
そのせいかこの空間は洞窟の縦も高くて、幅も広い。だから逆に剣士なんかノリノリで戦ってるけど。
それでもこれまで一撃か二撃で倒していたというのに、いい勝負する感じになってるから多勢に無勢の状況じゃなかなか厳しい。
その中でもやっぱりBランクさんが強さでは頭一つ飛び抜けていて、三体程を素早く倒していた。
「先にまだ通路がある。ここは任せた、こいつら仕留めたら追ってきてくれ」
ええ!? 嘘でしょう!?
なんとそう言い置いて、Bランクさんがさっさと先にあるっていう通路の方に向かってしまった。
なんなのあいつ、ここの敵、超強いじゃない!
そこ放ったらかして普通ひとりで先に進む!? 協調性無さすぎない!?
思いもかけないBランクさんの行動に、プンプン怒ってたあたしだけど、上からも「マジか、厳しいな」って声が聞こえてきた。
アルマさんが厳しいって言うなら、本当に厳しいんだ。
文句言ってる場合じゃない。
あたしは、いつでも発射出来るよう、体内の水をギュウギュウに圧縮した。




