小さな挑戦
水鉄砲なら遠くから敵を倒せるし、アルマさんみたいに急所を狙えばすっごく効率的に倒せるんでしょ?
それならきっとアルマさん達に無駄に心配かける事もないものね。
……よし!あたし、頑張る!
ドキドキしながら、あたしは体内の水分を少しだけ動かしてみる。
スライムたる者、体内の水分を自在に操れてこそ一人前だったりするのだ。
なんせ体のほとんどが水分なんだもの。雨が降ったらちっちゃい子なんかはうまく排水できなくて、まんまるのパツンパツンになっちゃったりするんだけど、目立つわ動けないわで命の危険が格段に増したりするから侮れない。
もちろんあたしはそこんとこバッチリだから!
だがしかし、あたしが今蓄えてる水分なんか微々たるものだ。
よしんば水鉄砲が撃てたとしても、そう何発も撃ったらあたしなんか干からびてカラッからのコロンコロンになっちゃうこと請け合いだ。
とりあえずは一回、超少ない水で試してみるか……。
さっきのアルマさんを一生懸命に思い出しながら、水を一箇所に集めて集めて、圧縮して圧縮して水を押し出してみる。
ピュッ…
と、ショボい水が出た……。
違うよー!!
こんなショボいイメージじゃないんだ!
少ない水でもすっごい圧をかけたら勢い良く飛ぶ筈だったのに、なんでこんなにショボいの……!
圧が足りなかったのか?
いや、やっぱりもっと水を使うべきか。
すっごく頑張って考えていたら、なんだか上から視線を感じた。
視界を動かしてみたら、なんだかアルマさんがじっとあたしを見てる。
なになに?なんなの?
「今、みず……」
眼鏡の奥の目がテンになってるんですけど。
そんなにあたしが水を出すのが意外だったんだろうか。さっきはすっごくショボかったけど、もっと凄いのが出せる筈なんだよ?
ホラ!
とばかりに、もう一回水鉄砲を撃ってみた。
ね?見た見た?
さっきよりかなり飛んだと思わない?
「凄い!僕の水鉄砲真似たの、それ!?」
う、うん、だってなんだか出来る気がしたの。
「うっわ凄い!見た?僕の水鉄砲見て今マネしたんだよ賢くない!?」
「アホー!あとにしろ!」
かつてないほど興奮してるアルマさんの頭を剣士が勢いよくはたく。そりゃそうだ、だってゴブリンは相変わらずあっちからこっちからわらわら来てるんだもの。
あたしも、頑張る。
今ので大体の圧のかけ方はわかった。もっと勢いよく体を絞れば、結構な勢いの水鉄砲が出せる筈。
あたしの水分は限りがあるから、よくよく戦況を読んで「ここぞ」って時にカッコ良く撃ってやる!