表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/104

討伐隊の結成

そうしてあたし達はまた、ゴブリンの巣のすぐ近くまで来ている。


とはいっても討伐隊の規模感は、なんかもう5倍くらいに膨れ上がってるんだけど。


あの後簡単な朝食をとっただけですぐにその場を発ったアルマさん達は、脇目もふらずにギルドに戻り、あっという間に沢山の冒険者達を伴ってまたゴブリンの巣にとって返したんだ。


ギルドでゴブリンの数が尋常じゃないって報告をしたら、その場にいた冒険者全員で討伐に向かおうってことになったんだよね。


数が多いゴブリンは、増えるのも早い。ギルドのマスターって呼ばれてる人が「嫌な予感がする」って、その時集められる出来るだけの人数を派遣してくれたんだって。


アルマさん達よりももっと強い人達もいるから安心だって皆が笑ってたから、あたしも良かったなあって思ってたんだけど。



不思議な事にこの道中ではちっともゴブリンに合わなかったの。



もしかして、この前アルマさんがたっくさん倒したから、いなくなっちゃってたりするんじゃない?


あたしは呑気にそんな事を考えていた。



「……まずいな」



誰ともなく、そんな声が聞こえる。


どうしてか討伐隊の雰囲気はどんどん硬くなって、いつもは楽しそうに色々な話をしながら進んでいくアルマさんたちですら、もう一言も発しない。



ついに一度の遭遇もないままゴブリンの巣にたどり着いてしまった。



「どうする」


「入り口も狭い上に、見た感じ奥も高さがない」


「アルマの広範囲魔法で一掃されたんだよな」


「有利な巣の中に誘きよせて戦おうっていう策を練るだけの頭があるって事だよな」


「知能の高い個体が統括するゴブリンはやっかいだ」


「武装してたと言ったな」


ざわざわと、色んな人の声が聞こえる。さっきから周りの空気が重かったのって、そういう不安があったからなんだね。やっとあたしにも分かったよ。



「よし、あぶりだすか」



一番ランクが高いって男の人がそう言った瞬間、ゴブリンの巣穴が火を噴いた。



ひええ、なんなの!


アルマさんのより凄い勢いの火が巣穴の中で轟々と渦巻いてる!



「中に、連れ去られた人がいるかも」



武闘家が怒ったみたいな顔で言えば「多少の犠牲はしょうがないだろ、第一商隊からもそんな報告受けてねえし」って普通な顔で返すその人が、あたしはとてもとても怖かった。


なんだろう、すごく強い魔獣に遭遇したみたいな怖さ。

多分、凄く凄く強いんだと思うの。


それに、容赦がない。


この人にうっかり見つかったら、あたし、殺されちゃうんじゃないのかなあ。


怖くて怖くて、あたしはアルマさんの懐でピッタリと身を寄せて震えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ