剣士〜〜〜!!!
「え、薬草?」
「なんでスライム!?」
今まであたしが目に入っていなかったのか、大袈裟に驚くヒヨっ子ちゃん達。悪いけどあたし、ずっと居たからね?泣いてて気づいてなかったかも知れないけど!
あと、その薬草はあげるから、大切に使ってよ?
魔術師さんから貰った、あたしの大事な大事な宝物なんだから。
「こら!そいつらを甘やかすんじゃねー!」
間髪入れずに剣士が怒鳴る。しかも指で弾かれて、あたしは盛大に転がった。
「ちょっと何するのよ、スライムちゃんは悪くないでしょ?デコピンするとか、どういうつもり!?」
リーナさんが慌てて駆け寄って、あたしを抱き上げてくれた。安定のプルプルボディだから別に痛くはないけど、指一本で吹っ飛ばされるのは、割と悲しい。
「ホラ、ちょっとヘコんでるじゃないの!」
「うるせー、その薬草はコイツんだろ」
あたしが置いた薬草を拾って、剣士はあたしに投げて寄越した。慌てて必死にキャッチする。ちょっと、乱暴にしないでよ……!
「ゴブリンだってなめてかかって回復手段もハンパなヤツに、貴重品を簡単にくれてやるもんじゃねえよ。お前この薬草ずっと後生大事に持ってたんじゃねえか、ホントに必要になるまで大事に持ってろ」
簡単にあげたわけじゃないもん……あたしだって苦渋の選択だった。魔術師さんに無理して欲しくないだけ。
でも、剣士は剣士で、あたしの事を思って言ってくれたんだって事はなんとなく分かる。その気持ちが、有難かった。
「……大丈夫、心配しなくても明日には僕の魔力も回復する。ちゃんとあの子達の怪我は癒すよ」
青い顔で、魔術師さんまでそんな事を言ってくれる。違うんだ、あたしは魔術師さんが心配なのに。ああ、言葉が通じないってもどかしいなあ。
「あの、そのスライムは……?」
ヒヨっ子ちゃんの女戦士がおっかなびっくり寄ってきた。気持ちはわかる、そりゃスライムが普通に一緒にいちゃびっくりするよね。
「ああ、コイツがいなきゃウチの魔術師は死んでたぜ?お前らも感謝しろよ」
そう言って剣士がまたもあたしをぐりぐりと乱暴に撫でる。それ、もうちょっと優しくできないかなあ。ちょっと不満げに剣士を睨んだあたしだったけど、もちろん剣士は意にも介さない。
なぜか自慢げにあたしを手のひらに乗せて、ヒヨっ子ちゃん達に見せびらかすようにこう言った。
「可愛いだろう!ウチのパーティーの一員なんだ」
今。
今、なんと。
パーティーの一員?
パーティーの……一員、って、言った……?
「うおおおーーーー!跳んだ!」
「新記録」
「どこまで行くの!?」
そりゃ跳ぶよ!
だって、だって、パーティーの一員って……仲間だって言ってくれたんだよ!?
びっくりしすぎて、核が体から飛び出すかと思ったよ!!