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ゴブリン達の急襲

そうやってついに同行を許されたあたしは、翌日、天にも昇るような気持ちで魔術師さんの懐に収まっていた。


もうねえ、なんて言うの?

魔術師さんが歩く振動さえも楽しい。


魔術師さんのローブはコートみたいに胸のあたりで布を重ねて、幅広いバックルで留める形状になっていて、安定性がとってもいい。V字に開いた胸の合わせの部分から景色もしっかり見えるし、旅路はとっても快適だった。


魔術師さんからはトク、トク、と規則正しい優しい音が聞こえてなんだかとっても安心するの。暖かくって心地よくって、すごく幸せ。


何気ない会話がテンポよく飛びかっていて、昨日も感じてたけどやっぱり彼らはとても仲のいいパーティーだと思う。彼らの邪魔にならないように、あたしは魔術師さんの懐の中で服に同化するくらいの心持ちでまったりと身を預けていた。



「それにしてもおとなしいな、寝てんじゃねえのか?」


「どうだろう」



なんの事かと思ったら、視界がバッと開けていきなり剣士の顔がどアップで見えた。



「起きてるかー!?」



し、失礼な!

魔術師さんに運んで貰っておいて、呑気に寝るわけないじゃない!


ちゃんと周りだってしっかり見てるんだから!


既に草原を抜けて、パーティーは森の中へと入って来ている。人間が作ったんだろうと思われる、森の中の細い道を彼らは注意深く歩いていた。馬車がやっと通れるくらいの道、きっとこの道を商隊も通っていたんじゃないだろうか。



「そろそろゴブリンが出たっていい頃合いだ、おまえも気ぃ張ってろよ」



ラジャーっす!


剣士に乱暴にグリグリっと撫でられながら、あたしは了承の証にひとつポヨンと跳ねた。まあなんせ足場がローブだから、あんまり跳べなかったけど。



「あはは!ちょっと、ローブの中でジタバタしないで」



しかも魔術師さんから動きを封じられた上にお小言を貰ってしまった。反省……。



「ほら、遊んでないで。ターゲットのお出ましよ」



シーフのリーナさんの言葉に、その場は一気に緊迫した。



「よっしゃ、出番だな!」



勢いよく剣士が振り返る。その顔にはさっきのふざけた雰囲気なんか欠片もない、圧倒的な強者のオーラが溢れていた。


剣士と武闘家の大きな体が動く度、断末魔とともにゴブリンが血を撒き散らしながら倒れていく。金属のぶつかる音なんてたった3回しか聞こえなかった。


圧倒的な力の差に唖然とする。


魔術師さんもリーナさんも動いてすらいないのに、足元には7体ものゴブリンが息絶えていた。



「やべえな」



この人達の強さにただただあたしは驚いたというのに、彼らはなぜかとても苦い顔をしている。


どうして?

だって、圧倒的な戦力差だったのに。


そんなあたしの疑問は、リーナさんの言葉ですぐに解消した。



「そうね、思いの他しっかりと武装してる」



確かに。サイズは合ってなくってチグハグだけど、ゴブリン達は武器だけでなく、服や防具までもを身につけていた。




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