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夢の魔

ソーシツにっき

作者: 緑麿
掲載日:2016/10/06

30世紀のあいさつはテレパシーでしょ。


そんな馬鹿話を昼休みしてたら、友達のDがソーシツしたって嬉しそうに報告してきた。


キャー、と他の友達が叫んでその声が廊下に響く。


わたしだけ焦ってひきつった笑顔で、ウェーイとかピースサイン。


ヤバイよヤバイよ。


もうソーシツしてないのわたしだけだよ。


もう皆の話をDと協力してのりきれないよ!


わたし、トイレにそっこー駆け込みスマホでソーシツの相手探し。


30世紀は電脳も進化の一過程でノーミソだけでつながれるはず。

スマホ邪魔くさ!


相手はそっこー見つかって、土曜の昼下がり本屋で待ち合わせ。


ヤバイ奴なら帰ろうと、本棚の影から偵察する。


めっちゃふつーなのきた。


わたしが本棚からそろりと出るとふつーなのはすぐに気付いて手を振ってくる。


なんか軽い?


ま、そーだよね。

こんな簡単な呼び出しですぐ来るんだから。


ふつーなのはMと名乗った。


わたしはEと名乗った。

本当は違うけどね。


Mは車で来ていた。


さっそく車に乗せられ連れて行かれる。


どこへ?


高原だって。


山道に入る手前の村で葬式がやっていた。


喪服を来た団体が遠慮のない視線をわたしたちに向けて道路を横断する。


Mはすごい光景だ、と目を輝かせてコーフンしていた。


わたしは、うんざりする。


黒はキライ。


高原に着くと霧がすごかった。


緑の絨毯は霞んで、車からおりると湿気と寒さでテンションは急降下。


木の柵にもたれて霧で隠れた絶景をぼんやりと眺める。


「こうするとあったかいね」


Mは後ろからわたしを抱きすくめる。


高原をさっさと後にして、次は海へ。


波の音も聞かずにMの部屋。


ついにソーシツだ。


わたしがあんまり痛がるから、Mはビビって途中でやめた。


おい、こら。

半端にいい奴ぶんな。


後日、Mから連絡が。


親と喧嘩したからわたしの家に行っていいか、だと。


うちも両親いるけど、あいさつできんの?


Mはそっこー無理だと言う。


大人がこわい大人はなんだかな。


Mとはそれきり。


わたしのソーシツはそのすぐ後、同い年のやつだった。


痛かったけど、そいつはビビったりせず、最後までやりとげた。


でも、それっきり。


わたしはソーシツできたらそれでいい。


友達と笑い合えたらそれがいい。


だって、30世紀のあいさつはやっぱり、おはよーって言いたいし。

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