横浜駅脱出①
横浜駅構内図:https://www.jreast.co.jp/estation/stations/1638.html
東横線構内図:http://www.tokyu.co.jp/railway/station/yardmap/?id=21
参考にどうぞ
Game start !!
『間もなく~横浜~横浜~、降り口は左側です』
電車内にアナウンスがなり、渋谷が目的地の人々が降りる準備をする。俺も家に帰るために鞄を担ぎ直す。
電車がホームにつき、ドアが開いた途端、人が雪崩のようにドアから出る。思わず顔をしかめるほどの湿気を伴った暑さが俺を襲う。まだまだ夏は始まったばかりだ。
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『どうも皆さんこんにちは』
機械質の音声に驚き、回りを見渡す。さっきまで溢れていた人々はいなくなり、数人の男女しか駅のホームにはいなかった。
「は?え、どういうこと!?」
皆、口々にそう叫ぶ。それもそのはず、ついさっき、ほんの数秒前には横浜駅の人々の一人だったはずだったのだ。
『今からミノタウロスを1匹解き放ちます。皆さんは頑張って逃げてください。捕まったら死にます。最初の1匹は4番線ホーム北改札方面です。』
4番線ホーム北改札方面。俺がいる5番線ホームの線路を挟んでちょうど向かい側だ。急いで4番線ホームを見る。
「い、いや!!やめ…
血飛沫が上がった。3メートルはあろう牛の怪物が逃げ遅れた女性の頭を握り潰した。
ミノタウロスは肉塊と化した女性を蹴散らし、4番線中央改札方面に逃げた他の人を追走する。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「やめっ!!うぁぁぁぁぁぁ
ミノタウロスの咆哮と悲鳴や、肉が潰れる音が徐々に遠ざかる。
「君達!!こっちだ!!」
惨状に凍りついていた俺は、誰ともわからない声に呼ばれるがまま、ミノタウロスの向かった逆方向へと走った。
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JR北改札から改札を出て辿り着いた東横線改札。
「なんなのかね!?あの化け物は!!?」
小太りの中年が誰もが誰もが思う事を、俺達を呼んだ男に向かって叫ぶ
「あれはミノタウロスです」
「見たらわかるわ!!そう言うことじゃなくてだな、わしは…その…!」
「わかってます、今のこの状況の事ですよね?」
「そ、そうだ!お前のその落ちつきよう、なにか知っているんだろう!?」
「はい、私の名前は士流。このゲームを何度かプレイした事のあるものです」
「ゲーム…だと?」
思わず声が出た。
「目の前で人が死んでんだぞ!?これが、ゲームだってのか!?」
「わ、わかります!だから声をもう少し…」
「狂ってる!このゲームとやらの主催者も、これをゲームと呼ぶお前も!!」
「わかりましたから声を小さくしてください!!やつに気づかれます!!」
士流がそう言った直後、
『GEEEYAAAAAAA --------- !!!!!』
化物の咆哮が背後の階段から轟いた。
「まずい!!今すぐ逃げろ!!」
士流がそう叫んだと同時に、小太りの中年の腹をミノタウロスの角が貫通した。
「ゴパッ」
鮮血を撒き散らし、中年は息絶える。ミノタウロスの角の人振りで何人も死んでいく。
俺も逃げようと階段の1段目に足をかけた時ーーー見てしまった。恐怖に腰を抜かし、座り込んでいる少女を。少女に降り下ろされんとするミノタウロスの拳を。
「っくそぉぉぉ!!!!」
体は少女の方へと勝手に動き出した。
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