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弟が作った世界でハーレム人生   作者: 永遠の28さい
◆インターミッション◆
99/126

インターミッション 1

五ノ島に向かう直前の奴隷たちの会話を抜き出しました。

若干、六章16話とリンクしています。




 マイラクトの街にある宿。


 設備としては中級の宿だが、長年に渡る旧領主の政策により、宿を利用する客はほとんどなく、廃業寸前にまで追い込まれていたためか、部屋の調度品はあちこちで傷んでいて壊れかかっていた。

 サラとエフィが危険な所だけを突貫で修繕しそれなりの状態にして設備を利用している。


 明日はこの地を離れて五ノ島に向かうため、この宿での夜は最後だった。


 通常、奴隷は主人から命令がなくなれば明日の為に、奴隷部屋ですぐに眠りにつくのだが、ここにいる6人の奴隷はいつも遅くまで起きていた。今日の出来事や明日の予定など他愛もないことまでお互いに喋りあって夜遅くまで起きているのが日課のようになっていた。

 そして今日も6人は会話を弾ませていた。


「サラ姉…今日はごめんなさい。」


 戦乙女族のアンナが開口一番、ヒト族のサラに頭をさげた。サラはすぐに首を振ってアンナを起す。


「私が意地になっちゃって……。ご主人様にも謝らないと。」


「いいんじゃない?エルもサラ姉がどうしても譲れない気持ちをわかってくれたんだし。」


 耳長族のエフィが眉毛の手入れをしながら会話に加わる。向かい側でその様子を見ていた海銀狼族のフォンが目を赤くして言い返した。


「良くない。ご主人はもっと私たちに気を使うべき。」


 エフィがフォンの言葉に珍しく同調した。


「妾もそれは賛成。…でもアンタはもうちょっと遠慮すべきよ。」


「…どういう意味?」


 フォンはエフィの物言いに頭に来たようで更に目を赤くして声を低くして聞き返した。


「毎夜毎夜、この部屋を抜け出してどこに言ってるのかしら?この場でちゃんと説明してほしいわ。」


 にやついた表情で言い返すエフィ。その言葉に皆が反応してフォンに視線が集中した。だがフォンは全く動じなかった。


「…それは違う。こそこそ抜け出してるのはあっち。」


 そう言って夢魔族のカミラを指さす。カミラはぎくりとして肩を震わせ、布団の中に隠れた。素早くアンナが布団をひっくり返し、うずくまっているカミラを睨み付ける。


「貴様!」


「ひぃいいい!ゴメンなさい!だってなんか不定期に呪い(・・)が発動して≪発情≫しちゃうから…。」


 アンナの大喝に怯えながら震えた声でカミラは言い訳をした。


 皆は何も言わなかった。


 カミラの行動は『呪い』によるもの。


 そして皆はお互いの呪いの事は周知している。



 サラは≪忌み子≫のせいで魔力が極端に少なく、すぐに疲れる。おまけに奴隷解放も受け付けない。


 フォンは≪エルフへの多情多恨≫のせいで、エルフを見ると見境なく目を赤くして暴力的になる。


 エフィは≪はぐれエルフ≫によって自分の素性は全て隠されており、≪3拍子のそろった姫≫が自分の意志に関係なく相手を拒否してしまう。


 ウルチは≪精神分裂≫によって自身の精神が脆く、長時間の活動ができない。


 カミラは≪禁忌の魔族≫故に、同族から異端視され、2つの魔族特性のスキルによって吸血と吸精を定期的に行わなければならない。


 アンナは裏切りの罪により≪種族封印≫され、≪背信の十字架≫の制約によって奴隷解放を受け付けない。


 ここにいる全員はそれぞれが持つ苦しみや悲しみをご主人様が全て受け入れ、彼女達の心を支えてくれていたのだ。カミラの行動に対して誰も非難はできなかった。


「…次からは、ちゃんと私たちに声を掛けて。それなら何も不満はないから。」


 サラの言葉に床に頭をこすり付けてカミラは謝った。


「…サラ姉はアイツのどこがいいの?」


 エフィが枕を抱え込んだ状態で気まずそうな表情でサラに質問した。サラは笑顔で即答する。


「全てです!」


 少し黙りこんで頭をふって言い直した。


「私を人間として扱ってくれた最初の方です。…生まれてからずっと奴隷として教育を受けていた私に、あの方は“人間”という暖かい生き物を教えてくれました。」


 この答えを聞いて誰もサラには勝てないと思っていた。サラ以外は最初は奴隷ではなく、人間として生活していたのだ。


「エフィはどうしてご主人様に?」


 エフィが主と出会ったところはサラは知らない。サラにとっては素朴な疑問だった。


「アイツは…妾の拒否スキルが効かなかったのよ。」


 サラはエフィの言葉に疑問を感じて考え込んだ。


「…そういえば、あの方が精神干渉系のスキルに掛かったところを見たことがありません。」


 カミラが勢いよく手を挙げた。


「ウチの≪籠絡の香り≫での発情は?」


「…あれは多分体内にある性欲を高めるモノを分泌させて自分で発情させる肉体干渉系だと聞いています。」


「そうだ、ベラの精神攻撃も全く動じていなかった。」


 ウルチがかつて自分の精神世界に入って来た時のことを思い出して発言する。


「アルテイト盗賊団の頭目に≪隷属≫を掛けられたときも…効かなかった。」


 サラは自分が盗賊に献上されかけた時のことを思い出した。


 うんうんと考え込むサラ達を見ながら、恐る恐るアンナが手をあげた。


「あの…奴隷の私が…知りたいと思うのは間違っているのだが…どうしても気になる。御館様のスキルについて…皆はどう思って…」


「アンナ。ご主人様の奴隷であるあなたがご主人様の秘密を知ろうするのは確かに良くないです。」


 サラは表情を改めてアンナを窘めた。肩をすぼめてアンナは小さくなったが、サラは言葉を続けた。


「…でも、私も初めてご主人様を≪鑑定≫した時にびっくりしてしまい…それからずっと疑問に思っています。」


「サラ姉も…知らない?」


 フォンは驚いた表情でサラを見やった。どうやらフォンの中ではサラは何でも知っていると思っていたようだ。


「ここだけの話ですが、ご主人様はご自分のスキルに対して数多くの秘密を抱えておられます。…そしてその秘密はヨーコ様と共有されております。…私はその秘密が何なのか知りたいと思ったことは何度もあります。でも、奴隷である私たちがどうしてご主人様の秘密を共有できるでしょう?だから聞いてもいけませんし、知ってもいけません。みなさんも注意してください。」


 サラの言葉にアンナは真剣な表情で肯いた。


「わかった。御館様は必要以上に我らを甘やかして下さる。我らがそれに甘えて自分の領分を踏み越えては…」


「そうです。あの方は私たちが…」


「でも、サラ姉も気になるんでしょ?」


 言いかけてるサラの横からエフィがニヤニヤしながら話しかけ、サラは言い淀んだ。ウルチの髪の色が変わり、ベラが現れた。一同を見回してから無表情で意見を言った。


「あの方は、何体もの魔獣様を従え、神獣様とも面識があります。何より精霊様があの方を守護されております。」


 ベラの言葉に全員が肯く。


「誰よりも強いお方で、恐らく本気を出せば、誰の力も借りることなく全てを解決されるでしょう。」


 誰もベラの言葉に反論しなかった。彼女たちのご主人様は時々おぞましいほどの強力なチカラで他を圧倒し、威嚇し、恐怖させた。一番身近にいる彼女たちですら恐れを成すほどに。


「…だけど、あの方は云われました。“強すぎる力は時として、傲慢になり、排他的になり、自己中心的になる。俺は自分がそうなってしまうのが怖い”と。」


 一同は俯いた。ベラが言ったことは自分たちも感じていたご主人様の弱い心の部分。ご主人様はそれを自覚していて恐れている。


「だったら…私はご主人を支える。」


 フォンが力強く言う。


「ウチもウチも!」


 カミラが手を上げてはしゃぐ。


「ウチら“ナカマ”だもんねぇ?」


 カミラとフォンはこういう時仲良くなる。サラも“ナカマ”なんだが、ホントは恥ずかしいのでちょっと距離を置いてる。


「…気になってたけど、何なの“ナカマ”って?」


 イラついた表情を見せながらエフィはカミラに聞いた。カミラはエフィの耳元でごにょごにょと囁いた。途端にエフィの顔は真っ赤になりフォンとカミラを睨み付け、


「…変態。」


 フォンの表情が変わった。目が真っ赤になり明らかに暴走モードだ。直ぐにウルチとアンナがフォンを押さえつける。サラがエフィの前に入り起こった表情を向ける


「エフィ!どうしていつもフォンちゃんを煽るの!?あの子は『呪い』持ちなのよ!」


「だから?」


「え!?」


「だからエルフに近づけないようにするの?それでフォン姉の『呪い』が解決するの?」

 逆にエフィに言い寄られ、サラは言い返せなかった。エフィはフンと荒い鼻息をしてベッドに戻り布団の中に潜り込んだ。


「…エフィ。」


 サラが耳長族の少女の名を呼んだが、彼女は返事しなかった。


「…大丈夫。落ち着いた。くそエルフの事はもういい…。」


 フォンもなんとか落ち着きを取戻し自分のベッドにもぐった。


「ちょ、ちょっと…。」


 ふて腐れたようにベッドにもぐりこんだ二人を交互に見てサラは困惑した。また、ご主人様の御手を煩わせることになるかもしれないと不安な表情をみせた。


「…大丈夫です、サラ姉。」


 ベラがサラの肩を抱いて泣きそうなサラを慰めた。


「あ~あ…。しらけちゃった。」


 つまらなさそうにカミラは自分のベッドにもぐりこんだ。


「サラ姉。今宵は私とウルチ姉で様子を伺っておく。一番奴隷の朝は早いのだろう?」


 アンナがサラの背中を押してベッドの方へ押しやる。ウルチとアンナで交代で、奴隷部屋の真ん中に坐して待機することで、エフィとフォンが喧嘩にならないように、カミラがこそこそご主人様の下に行かないように見張った。



 夜明け前にサラが目を覚まし、フォンを起してご主人様の下へ。見張る必要のなくなったウルチとアンナは眠気覚ましに槍合せの稽古を行いに宿の庭へ向かった。いつも遅くまで寝ているエフィとカミラであったが、いつもより息苦しさを感じて目が覚めた。



 鼻に豆が詰められていた。



 こんなことをするのはご主人様しかいない。仕返しに闘志を燃やすエフィ。彼女の中には昨日のフォンとのやり取りは既に忘れられていた。


「エルに仕返しに行くぞ!」


「お供します、エフィ姉!」



 二人は鼻に豆を詰めたまま、ご主人様を探しに奴隷部屋を出た。




 そして今日も奴隷達の1日が始まった。







 エフィとカミラは簀巻きにされたご主人様を発見し、詰められた豆を鼻息で飛ばしてご主人様に当て、ささやかな仕返しをした。




個性豊かな6人の奴隷はこの先どのように主人公を支えていくのでしょうか。第二部では、そのあたりも注意して書き上げるつもりです。

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