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弟が作った世界でハーレム人生   作者: 永遠の28さい
◆第六章◆ 背信の半神少女
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2 グーパの街へ

すいません、今話は少し長いです。書きたいことを書きなぐったら長くなっちゃいました。



 ドォオオン!ドォオオン!



 甲板の先でエフィの放つ魔法の音が更に2度鳴る。


 エフィは錯乱している!


 俺が指示するよりも早くサラがエフィのもとに駆け寄り、覆いかぶさるように押さえつけた。


「サラ!そのままエフィを引きつれて後退しろ!フォン!転移陣付の矢を相手の船に打ち込め!」


 こうなっては仕方がない。俺が直接向こうに乗り込んで海賊かどうか確認しよう。

 フォンが矢を番え霧の向こうに矢を放つ。俺はヨーコとカミラを抱え込んだ。



「えいっ!」



 ≪空間転移陣≫で俺は相手の船に乗り込む。転移した先には…各々が得物を持って構えている人たちがいた。


 …よかったぁ。この人たち、海賊だぁ。


 俺は≪念話≫でウルチに作戦続行を伝達する。霧の向こうから光輝く何かが飛び出し、こっちの船の甲板に飛び移った。


「カミラ!闇魔法!」


 カミラが慌てて闇魔法で何かを念じる。カミラが発動させた魔法は【魔力中和】という魔法で、一定範囲内で術者の放つ魔力により相手の魔力が中和され、スキル、魔法の発動ができなくなるというものだ。


 カミラとヨーコを船内に入る扉の前に立たせ、俺はそのまま船内に踊りこむ。

 そこには、全身に無意味にガラクタをつけまくって目立たせている男が驚いた表情で立っていた。


「…貴様が親分か?」


 俺の低い声に気圧されたようで男は強張らせた表情で返事をした。


 「お、おう?」


 親分らしき男が得物を構えた瞬間、ぐにゃりと力なく倒れ込んだ。見ると、その後ろに居た男たちも倒れている。


「な、何が起きた!?」


 俺自身は何もなく、ぴんぴんしているが、船内にたむろしてる男たちは皆バタバタと倒れていた。船内の奥に進んで、倒れている男達の様子を見たが、いずれも画面が蒼白で、異常な汗が噴き出していた。






 …この症状…見たことある……。








 ヤバい気が……。







 俺は慌てて来た道を戻り、船外に出る。






 カミラの隣でヨーコが倒れ込んでおり、男達と同じ症状になっていた。

 カミラは全身に力を入れて必死に闇魔法を放っていた。間違いなく原因はカミラの魔法だ!カミラの放つ魔法の範囲内にいる人間が全員、魔力枯渇状態に陥っている!

 見ると、甲板上にいた男達はおろかウルチまでもが倒れていた。


 俺は目の前にいるカミラに≪意識剥奪拳≫を使った。

 トンという俺の手刀でカミラはカクンと膝を折ってその場に倒れ込んだ。


「…ううう……。」


 ヨーコが意識を取り戻したようで青い顔をしながらも俺の顔を見て安心した表情を見せた。


「ご、ごめん…。急に…意識が遠のいて…。」


「わかっている。もう、大丈夫だ。」


 俺は動けないヨーコの頬にやさしく触れて≪魔力操作≫で俺の魔力を分け与える。みるみる顔色が良くなり混濁した目もはっきりとしてきた。


「な、何が…起きたの?」


 少し回復したヨーコが俺にしがみ付きながら起き上がり、辺りを見回しながら俺に問いかけた。


「…カミラの闇魔法で辺り一帯の魔力が吸い取られたようだ。」


 この辺りの霧が晴れ見渡しが良くなり、そこらじゅうに人が倒れていた。


 俺は向こうで倒れていたウルチの元に駆け寄り、ヨーコと同じように≪魔力操作≫で回復させて抱き上げてヨーコの下に戻った。そして意識を失ったカミラを叩き起す。


「う、う~ん……。」


 気怠そうに両手を上げて伸びをしてカミラは俺と目を合わせた。


「あああれ?…ウチ確か【魔力滅殺】で…。」




 …カミラさん、俺が指示した魔法は【魔力中和】だったはずダヨ。





 その後、俺とウルチとカミラとヨーコで倒れている男たちを片っ端から縛り上げ、船を俺たちの船に連結し、サラ達と合流した。

 アリアどのが見分し、親分の特徴ある服装から、この辺りで海賊行為を行っていた一団だと判明した。


 これでただの猟師だったら大問題だったよ…。


 船は一旦アリグト島に戻り、捕えた海賊たちをマリネール男爵家の領兵たちに引き渡す。そしてもう一度出港することとなった。日は既に西に傾き始めていた。




 俺は男爵様も含めて全員を船内の広間に集め、昼間のことについて確認を行った。


「エフィ、手筈では俺の合図で魔法を打つ、だったはずだが?」


 エフィは俯いていたが小さな声で、


「頭ン中…真っ白になった。」


 とだけ答えた。俺は肯き、カミラを見る。カミラは俺の視線に怯えた。


「カミラ、指示した魔法は【魔力中和】だったはず。だが、放った魔法は周辺の魔力を完全に消し去ってしまう【魔力滅殺】だったよな。何故間違えた?」


カミラは震える声で返事をした。


「ごめんなさい…。」


 答えにはなってないが、間違いを犯したこと自体は理解しているようだ。


「別に怒っているのではない。俺が二人の経験不足を考慮できていなかったのがそもそもの原因だ。」


 俺は静かに、穏やかに説明する。何故か男爵様が目を輝かせて聞いている。…やりにくい。


「つ、次からは個々人の経験もちゃんと加味して作戦を立てるから、みんなも少しずつ経験を溜めて、指示通りに行動できるようにしよう。」


 そう締めくくって、エフィとカミラの頭をやさしく撫でた。エフィは悔しそうにぽろぽろと涙を流し、カミラは安堵の顔で俺に頭を下げた。


「それと、フォン!」


 名前が呼ばれたのが意外だったのかフォンは体をビクつかせた。


「…エフィの事をくそエルフ(・・・・・)と呼んだな?」


 俺は低い声でフォンを睨み付けた。フォンは自分が言った言葉を思い出したのか蒼白な表情で唇を震わせた。


「相手を蔑む行為、言葉は厳禁にしていたはずだ。フォンは理解していないのか?」


「ち、ちが…!」


 フォンは何か言い訳をしようとしたが咄嗟に言葉が出なかった。


「言い訳は不要だ。フォン!今日は晩飯は無し!そして一晩中見張りの役を命じる!今すぐ甲板に出て任務に就け!」


 俺の言葉にフォンだけでなく、全員が息を飲んだ。恐らく俺が初めて見せる表情。たかがその程度のことでと思うかもしれないが、ちょっとでも許してしまうと、これだけ他種族を抱えている一団ではそれが枷になってしまうと俺は理解している。だから俺の奴隷になってからは徹底して種族に対する誹謗中傷はしないよう躾けてきた。

 フォンは≪エルフへの多情多恨≫という呪いがあるため、日頃から意識していないと大変なコトになることはわかっているがだからといってそれを酌量するわけにはいかない。

 フォンは蒼白のまま心ここに在らずの足取りで部屋を出て行った。サラが追いかけようとしたので、それを手で制す。エフィが何か言おうとしたので、それも制す。エルフであるエフィがフォンに対して何かしようとするならば、それは余計にフォンの心に刺激を与えてしまうだけだ。


 俺は男爵様のほうに体を向け、深く一礼した。


「お見苦しいところをお見せしました。男爵様には危害が及ばなかったことは幸いでしたが、このようなことがないよういたします故なにとぞご容赦を。」


 相変わらず目を輝かせたままの男爵様はどう返事しようか迷う素振りを見せた。暫く考え込んでいたが、


「ふふ…今回は不問と致します。」


 とだけ答え、楽しそうな表情で自室への向かって歩き出した。アリア殿は慌てふためく素振りで俺と男爵様を何度も交互に見て、俺に慌てて会釈して男爵様の後を追った。兵士たちも後をついて行く。


 そして俺達だけが部屋に残った。



 …いや正確にはもう一人支配人もいるのだが、絡みが苦手なのでいない者として扱っている。


「…ふぅうう……。取り合えず、良かった。」


 俺はソファに腰を降ろした。サラ達は俺の様子を伺っている。当然なんだが、やりにくい。


「…そろそろ夕食の時間だが?」


「い、いりません!」


 サラが勢いよく答える。


「俺の命令でもか?」


「と…当然です!フォンが食べられないのに、私たちだけが食べようとは思いません!」


 サラはやや興奮気味に返事する。


 「エフィは?」


 「いいいいいいらない!」


 食いしん坊のエフィでも拒否。俺は納得する。


「じゃあ、全員俺の命令無視と言うことで、夕食抜きの奴隷部屋謹慎。わかったら早くいきなさい。」


 俺はサラ達を自室に戻るよう促した。4人はトボトボと歩いて部屋を出て行く。


「サラ!」


「はぃいい!」


 サラは俺の声に脊髄反射的は返事をした。


「…俺は疲れたから、夕食の後すぐ寝てしまうが、ちゃんと謹慎しておけよ。決して甲板に(・・・)行こうとするなよ(・・・・・・・・)!」


 サラは聡い。俺の言い方でその意図を理解してくれる。サラの表情は明るくなり、俺に深々と礼をして部屋を出て行った。


 そしてヨーコと目が合う。


「あ、あのアタシもさすがに食欲ないし…できれば夕食を遠慮し…」


「ダメ!」


「どうして!?」


「俺一人で男爵様のお相手はキツイ!」


「いつも一人で喋ってるじゃない!」


「今日の男爵様の顔を見たろ!?ありゃ夕食時に絶対なんか言って来る!それを俺一人で受けろっての?頼むわ!フォロー役欲しい!」


「そんなの無理よ!」


「やればできる!」


「だって…あ!」


 ぐにぃぃい!


「ぴぎゃ!」


 フェルエル殿が俺の耳をおもいきり引っ張った。身長は俺の方が断然に高いので、摘まんだ耳を引き下げる形だ。

 これがかなり痛く、俺は腰を折り曲げて抵抗した。


「痛い!痛いです!支配人!」


 フェルエル殿は少々鼻息を荒くして俺に話しかけた。


「先ほどから聞いておりましたが、エルバード様は私の存在を敢えて消しておりませんか?と言いますか、無視しておりませんか?」


 耳をつねる力が上がる。


「いぎゃぁあ!そ、そんなことはありません!こ、これは私の身内の問題ででして!アナタ様にごごご迷惑をお掛けしたくない一心で!いたたたた!」


 俺は耳を引っ張られたまま食堂へと連れて行かれた。


「ヨーコ様、夕食の件は私からうまく説明しておきます。」


 フェルエル殿はにっこりとほほ笑んで言うと俺を乱暴に扱いながら食堂へと引っ張って行った。




 夕食は俺に対して質問攻めだった。

 フェルエル殿からは話を切り出し、これに男爵様が乗っかって、5人の奴隷との出会いや二ノ島での出来事などを根掘り葉掘り聞かれた。うまく躱して話題を逸らしても、フェルエル殿が綺麗に軌道修正をしてきて、俺は逃げ道を奪われ、男爵様にまた質問され…。


 食事を取ったという気がしなかった。


 言いたくない、隠したいことは何とかごまかしたが、確実に隠し事をしていると思われた。男爵様は意味深な笑みでずっと見ていたし、アリア殿は不信感をあらわにした表情してたし。

 それでもなんとか夕食会は乗り切って、いざ朝まで自室に引きこもろうとしたら、


「エルバード殿……ちょ、ちょっと…聞きたいことがある。」


 と言って、アリア殿に呼び止められた。彼女は思いつめた表情で、俺に言いにくそうな口ぶりを見せていた。…このタイミングでこの状況で、もはやいい話とは思えない。だが無下に扱うこともできず、営業スマイルを見せて了承し、アリア殿の自室へと向かった。


 彼女にあてがわれている部屋は、中級船員用の部屋で少し狭い小部屋である。ベッドと机椅子はあるが、それ以外の家具はなく、余分なスペースはないので、二人で過ごすには少し狭い。当然座る場所はないので、俺はベッドに座る。


「それで…お話とはなんでしょうか?」


 アリア殿は困った表情で言いにくそうにしていた。だが、意を決したのか俺の顔を見つめ、口を開いた。


「…その…御館様が…ほ本当に貴公に惚れてしまったのではないかと思い…その…貴公から見て御館様の行動、言動がどう見えているのか…教えて欲しいのだ。」


 …この子は恋愛経験がないのだろうか。普通そんなことを相手の男に聞いたりするか?付き合う気があるか教えてくれって言ってるようなもんなんだが。


「…私から見れば、男爵様は確かに私に興味を持たれているようです。」


 アリア殿は落胆した表情を見せる。


「…ですが、それは恋慕のモノではなく、私の能力の秘密を探り出そうという風に感じられます。」


「能力…秘密?」


 アリア殿は俺の言った意味をにわかには理解できなかった。


「はい。既に陛下から何かお聞きしているのかもしれませんが、私はいろんな能力を持っておりまして…そこそこ強いと思います。ですが、その強さの秘密は誰にも教えていませんからね。そのあたりを知りたいのではないでしょうか?」


 アリア殿は困惑した表情で俺の顔を見ている。俺は話を続けた。


「男爵様は若くして叙爵されていますが、それは爵位を与える価値があると判断されたからでございましょう。そしてそのことを男爵様は理解されていると思います。ならば、同じ若いこの私が陛下に認められている理由を知りたがるのは、当然ではございませんか?」


 そこまで言うとアリア殿は少し納得した表情を見せた。


「…そうか、そうだな。御館様が貴公のような男に心を奪われるとは考えられない。」


 そう言って何度か肯いている。


 何気に酷いことを言ってるんだが。


「時間を取らせてすまなかった。」


 アリア殿は、自分が納得したので俺に部屋を出るように促した。


「アリア殿。…できれば私は男爵様に自分の手の内をお見せしたくないのですが。」


 アリア殿は一瞬表情を変えた。暫く俺の顔を見つめていたが、頬を赤らめて視線を逸らせた。…何を考えたんだ?


「ぜ、善処しよう。さ、私も今日はもう寝る。用事は済んだから…。」


 俺は立ち上がり、アリア殿の手を握った。


「宜しくお願いします。」


 そう言って部屋を出た。アリア殿は完全に硬直していた。ざまあみろ。何が「善処する」だ。協力しろってんだ。たぶんアレでアリア殿は俺に融通を聞かせてくれるだろう。この旅が終わるまではおとなしくしといてくれ。

 そんなことを考えながら、俺は自室に戻り、明日以降のことに思いを巡らせた。








 翌早朝。




 俺は、甲板へと上がる。帆先に近いところでフォンが見える。

 俺はフォンに近づく。フォンは甲板に座り、遠くを眺めていた。サラがフォンの膝に頭を乗せてスヤスヤと寝ている。

 俺はフォンの隣に黙って座った。ちらりとフォンの顔を見た。目を真っ赤に腫らしており、昨晩はしっかり泣いたようだ。


「…ご主人。申し訳ありませんでした。」


 海の向こうを眺めたままフォンは口ずさむように謝罪の言葉を吐いた。


「許す。」


 俺は短い返事をする。その途端にフォンは俺の肩にコテンと頭を乗せた。


「…ずっとこの船の周りを何かが飛んでいるな。」


 俺は濃い霧がかかった空を見上げながらつぶやく。


「…はい。」


 フォンも気づいているようで短く返事する。


「恐らく、半神族の中で空を飛べる者が俺達を監視しているのだろうと思うが。」


「私も…そう思います。」


 半神族は鎖国的な種族ばかりだと聞く。俺たちの事はあまり受け入れたくないのかもしれん。しかし、一応寄港の許可までは出ているので、こちらが何もしなければ問題ないだろう。俺は霧だらけの空を見上げながらその奥にいる空飛ぶ種族を睨んだ。


「フォン、朝食を持ってきた。お腹がすいただろう?」


 フォンはその美しい顔を俺に向けた。恥ずかしそうな顔をして肯く。そしてすぐに膝まくらで寝ているサラを見る。


「大丈夫だ。サラの分もある。すまんがここで継続して見張りをしてくれ。無いとは思うが空の奴らが襲ってきたら大変だ。」


 フォンは空を見上げて見えない相手を見やった。


「…わかりました。」


 俺は≪異空間倉庫≫から暖かいジャガイモのスープの入った鍋を取り出し、床に置く。深めの更にスープを装い、フォンに渡した。


「ほらよ。おかわりは自分でな。あとサラの分も残しておけよ。」


 そう言うと軽く頭を撫でて俺は立ち上がった。フォンは俺にお辞儀をし、ゆっくりとスープを口に運んだ。








 船は朝日を浴びながらゆっくりと進み、やがて濃い霧の海域を超えた。霧が晴れたその先には、大きな島が見えた。島の中央に大きな山がそびえているが山の裾から上は真っ白で、中腹から上は雲に覆われていた。あの雲に覆われたところはカミラが言っていた“雪が降り続ける地域”なのだろうか。

 船は島にゆっくりと近づき、やがて街が見えてきた。


 グーパの街。


 あそこに俺達が会う人物、ウェイパー卿がいる。


 ここからは気を引き締めていかねば。


 俺は腹にぐっと力を込めた。


 いつの間にか、フェルエル殿が俺の隣に立っていた。


「お頼み申しますよ。正使(・・)殿。」


 フェルエル殿は不敵な笑みを浮かべている。…たしかこの人、ホントは半神族だったよな。むしろ貴女が交渉を進めるべきだと思うのだが、今回ヒト族として振舞うつもりなのか?


「…努力致します。」


 結局普通の返答になってしまった。




 船が港に接岸され、銀色の鎧を着た女性騎士、白い外套を纏った女性、下半身が馬で長い槍を持つ男性兵士、上半身が隆々とした筋肉を持つ男性兵士が規則正しい配置に並んで俺たちが出てくるのを待った。


 島に到着する前に支配人から、半神族の国家構成について聞いた。

 この国は部族毎に都市国家を形成しており、基本的に国全体をまとめる王はいない。だがそれではいろいろと都合が悪いため、種族として能力の高い4つの部族が代表部族として、部族間の全体調整を行っているそうだ。

 その4部族が“半人半馬族(ケンタウルス)”“戦乙女族(ヴァルキリー)”“主天使族(ドミニオン)”“巨神族(ティターン)”である。基本的にはこの4つの部族での合議で国家運営を行っているが、その4部族間でも決議できない場合に限り、グーパの領主、ウェイパー卿に委ねられる。また他国との外交や部族間の衝突の際にもウェイパー卿が関与するそうだ。こう聞くとウェイパー卿とはかなりの権力者のように思えるが。

 そして、この街はウェイパー卿が統治し、4部族から兵士が派遣されている。

 つまり、今桟橋にいる兵士たちは4部族から派遣された半神族の兵士達ということだ。だから、4種類の服装がある。


 また、この国は部族による優劣はなく(さっき述べた4部族は合議権を持つ代表部族ででしかない)、個人の能力により階級が定められている。一級から十二級に分かれており、強い者ほど数字が小さく、強い発言権も有するそうだ。ちなみにウェイパー卿には階級はないらしい。…階級外の者として扱われているということか。


 基本的な知識を胸に俺は、船を降りていく。桟橋に並ぶ兵士たちは思い思いに俺の顔を見る。ホントはちびりそうだけど、威厳を持った表情で見返し、まっすぐ前を向いて歩いていく。俺の後ろにフェルエル殿、男爵様、アリア殿、ヨーコ、そしてサラ達がついて行く。

 やがて俺たちの前に一人の女性騎士が進み出た。両手を胸の前で合わせて会釈をする。その姿はお寺のお坊さんが行う挨拶に近いな。


「四ノ島へようこそ。これよりグーパの街の領主ウェイパー様のもとにご案内します。滞在期間中、あなた方のお世話を担当するアンネローゼと申します。」


 女性騎士は下げた頭を持ち上げ、俺と目を合わせた。


 透き通るような白い肌。種族の特徴なのか、その肌はほんのり輝きを放っている。やや太い眉に長いまつ毛を蓄えた凛々しい目、瞳の色は翠。鼻はすらっとして高く、唇は非常に薄め。身長はベラより少し低い程度だから、170強か。手足は細長く華奢な印象を受ける。




 美しい……。



 姿からして戦乙女族(ヴァルキリー)だと思われる。


「エルバードだ。よろしく。」


 俺は威厳を保つよう言葉少な目に返事をした。


 一瞬ではあるがアンネローゼは俺に冷たい視線を送った。錯覚かと思ったが、よく見ると今も軽蔑するような目で俺を見ている。


 あまり好意的ではないようだ。


 女性騎士アンネローゼは最低限に必要な言葉のみで俺達に応対し、ウェイパー卿が待つ館へと案内した。伴うのはフェルエル殿以下8名。残りは船内で待機し、ココにいる兵士達に監視されることになる。


 俺たちは館内の謁見室に連れて来られた。左右にびっしりと兵士が立ち並び、部屋の奥の赤い絨毯の先に5段くらいの雛壇があって最上段に大きな椅子が置かれてあった。

 やがて奥の扉が開き、マントを羽織った男が現れ、最上段の椅子に座った。その瞬間、左右の兵士たちが一斉に武具を上に掲げ敬意を示した。訓練が行き届いているのか、しっかりと挙動が揃っている。




「我がこの街の領主、ウェイパーだ。ヒト族よ、名を名乗ることを許す。」


太く低い声が部屋中に響き渡る。よく通る大きな声だ。威厳も十分にある。何よりかなりの目力(メジカラ)だ。睨み付けるような視線を送って来てる。


「此度、ヒト族の代表として領主様との交渉を仰せつかった、エルバードと申します。」


 俺は、静かに頭を下げた。そして声が掛かるまでその姿勢で待つ。


「うむ、頭を上げよ。卿が“クロウの自由騎士”の号を得たサラヴィス王のお気に入りか?」


 どういう噂がこっちに届いてんだ?


 俺は頭を上げ返答する。


「お気に入りかどうかはわかりませぬが、確かに今上陛下よりその号を賜っております。」


 直後、辺りは真っ白に包まれ、眩い光を浴びて別の場所に引き込まれた。


 うん、いつ来るかと内心ビクビクしていたが、このタイミングで来るのか。


 眩い輝きが収まった後、目の前には見覚えのある6枚羽の男と、黒くごわごわと蠢くローブを纏った男が立っていた。






 …新しい神様か。



 新アビリティ獲得確定、人外度大幅上昇確定だな。



主人公はまたもや創造神様に呼び出されたようです。

称号を得たことにより、いつ来るかいつ来るかと思っていたようですが、

会見の場で移動させられました。


次話では、ウェイパー卿に質問攻めを食らいます。そして戦乙女族の街へと向かいます。


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