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弟が作った世界でハーレム人生   作者: 永遠の28さい
◆第一章◆ 忌み子の奴隷少女
5/126

2 生きるための施術とは

02/28 読みやすくするため、文章を見直しました。

03/01 ルビの使い方を覚えました

04/12 誤字修正

09/26 誤字修正 会話文のインデント修正



 俺の目の前に半透明のウィンドウが表示されている……。


 ウィンドウは、その淵と中の文字が淡く光っていて、暗闇でも読めるようになっている。俺は辺りを見回したが、このウィンドウの光に照らされているものはなかった。どうやら、このウィンドウは俺以外には見えないものらしい。


 俺は頭ン中にいる複数の俺のひとりを周囲の警戒に回し、改めてウィンドウを見た。



 まず、ウィンドウの一番上の部分に俺の名前が書いてある。


 『加古川優聖(かこがわゆうせい)


 ……日本語だ。


 ウィンドウの左上に『アビリティ』とあって、その下にリスト枠がある。


 ……うん。日本語で書いてある。まあ、後で考えよう。


 『アビリティ』のリスト枠には2行ある。


 ≪全知全能≫

 ≪神算鬼謀≫


 ……。

 見るからに超絶な気がする……。なんか、なんでもできて超精密で神速な能力のようだ。日本語で書かれているだけに漢字のもつ意味でいろいろ想像できる。


 が、今は目の前の全てを見ていかなければ。


 『アビリティ』枠の下には『スキル』とあって、その下にリスト枠がある。『スキル』のリスト枠には、


 ≪思考並列化≫


 の1行だけ。


 うん。頭ン中の複数の俺の理由はコレだな。文字通り頭の中で複数の思考回路が並列で処理されるんだろう。実際にウィンドウを見ながら、周りの警戒で周囲に聞き耳をたててるし。そういう『スキル』なんだ。便利だが、最初は混乱してたぞ、俺。意識せずとも使えているということは、パッシブスキルになるのかな?


 しかし1個だけか……。いや、ウィンドウの右側が空いているぞ。何かあるはずだ。俺はウィンドウを隅々まで見た。『スキル』は俺が今使用できる特殊技能と考えてよい。では『アビリティ』は?


 俺はアビリティのリスト枠にある2行をもう一度見た。リスト枠の右側に縦長の棒みたいなものがある。これはスクロールバーだ。弟の為に買ったパソコンで見たことがある。だがスクロールするほどリストがないので、縦長の棒状態だ。いやまてよ?スクロールが必要な状態だったとして、どうやってスクロールさせるんだ?俺は少し考えてからウィンドウのほうに手を伸ばした。指先が半透明のウィンドウに触れた。……触れた感覚がある!手でさわれるようだ。


 俺は縦長の棒に触れた。やはり動かない。では、リストそのものに触れてみよう。そして指先を≪全知全能≫の行に当ててみた。ウィンドウの右側の空白部分にリスト枠が現れ、大量のリストが表示された。スクロールバーの縦棒が小っちゃくなってる……。試しにスクロールバーを動かしてみた。リスト内をものすごい勢いで移動する。


 何だこの数は!?


 俺はウィンドウを少し眺めてから、今度は≪神算鬼謀≫に触れた。またもや右側にリスト枠が現れ、大量のリストが表示される。


 俺は手をウィンドウから離して考え込んだ。まずこの右側に表示されるリストはなんだろう?俺は≪神算鬼謀≫のリストを上から読んだ。1行目に≪思考並列化≫がある。


 ……スキルだ。これはスキルのリストだ。やばい数のスキルだ。テンション上がる!


 次の瞬間、俺の思考が切り替わった。人の声が聞こえる!俺は体を泥に埋まらせ身を潜める!


 あ!ウィンドウが開きっぱなし!!閉じなきゃ見つかる!どうやって閉じるの!いや、他人には見えてないはずだから!いや念のため閉じとけ!だからどうやって!?


 頭ン中の複数の俺が同時に命令してくる。だからパニくるって!取りあえず「クローズ!」


 ブゥン……。


 目の前のウィンドウが消えた。……合ってたのか。


 思考を周り警戒中の俺に戻し、辺りを見回す。……3人分の声が聞こえる。どうやらまだ俺を探しているようで、野太い声が他の二人にあれこれ命令しているみたいだ。俺はひたすらじっとしていた。



 やがて声が聞こえなくなった。足音もしない。


「ふぅぅうううう……。」


 大きく息を吐いた。


 諦めたのか、別の場所を探しに行ったようだ。俺はもう一度大きく息を吐いて心を落ち着かせ、


「メニュー」


 と唱えた。


 ブゥン……。


 目の前にウィンドウが現れる。右側は空白の状態だ。開いた時は未選択状態、てことか。俺はもう一度手を伸ばして≪神算鬼謀≫に触れた。ウィンドウの右側に大量のリストが表示される。リストの2番目に≪仰俯角監視(ぎょうふかくかんし)≫がある。……あれだな。地形を上から下から見るヤツだろうな。これをどうやって左下のスキルリストに持っていくか……。俺は≪仰俯角監視≫に指を当て、そのまま左下に移動させた。


 ≪仰俯角監視≫は移動した。


右側のリストから≪仰俯角監視≫は消え、左下のリストに表示されている。これでこのスキルが使えるはずだ。


「クローズ」


 ウィンドウを閉じて目の前の山に目を向けた。この周辺を仰角視点で見てみよう。盗賊どもがうろついているのが見えるかも知れない。


「……仰角監視!」








 俺、バカ!


 真っ暗じゃないか!なんか周りの景色がぐぐっと動いた気がするけど、なんにも見えん!暗闇を見るスキルとかないの!?いや、どうやってあの大量のリストから探すんよ!?

 また、複数の俺が好き放題言い出した。……やめて。パニくるってば。


 一先ず、視線をウィンドウに戻し、左下のリストから指で≪仰俯角監視≫を右側に移動させた。≪仰俯角監視≫は右側のリストに戻った。

 今度は、リストから目的のスキルを探し出す方法を見つけよう。神様に転生対象を選べって言われた時にリストの絞り込みができたから、これもできるかも知れない。俺は絞り込む条件を考えた。そして……


「エ、エッチなことができるスキル……。」










 反応なし。

 というか、反応がなかったのか、条件に当てはまるスキルがなかったから何もおこらなかったのかわからんし……俺、バカ!

 わかりやすく2行目が絞り込まれるようにするために……


「仰俯角監視」


 ≪仰俯角監視≫のスキルが左下のリスト枠に移動した。


 Oh……。ある意味使えるけど、目的のモノじゃない……。なんか微妙な気分。





 その後、いくつかの検証をしてみたが、結論は


 検索絞り込み機能はない!


 に至った。……ということは、膨大なリストからチマチマ探していかなきゃならん、ということになる。幸いにもまだ夜明けは来ていない。夜明けまで一つ一つ見て行こう。俺は右側のリストにあるスクロールバーをゆっくりとスライドしていった。


 ……ん?文字が白色の行と、灰色の行がある。灰色のほうは、これは使えません的な印象を受ける。案の定、灰色の行は指で動かしても、名前を呼んであげても移動しなかった。使用する為の条件を満たしていない、とかだと思う。それにしても便利なスキルと無用なスキルってどうやって見分けたらいいんだろう?なんか俺が今抱えてる悩みをババッと解決してくれるようなヤツはないかなぁ。


 しばらく俺はウィンドウと格闘した。









 空が明るくなってきた。


 夜明けだ。


 あれから一つずつスキルを確認していくつかを選択していた。


 ≪思考並列化≫

 ≪仰俯角監視≫

 ≪真実の言葉≫

 ≪投擲≫

 ≪気配察知≫

 ≪超隠密行動≫

 ≪遠視≫


 取り合えず、使えそうな雰囲気のスキルを付けてみた。効果が解っているものは≪思考並列化≫だけなんだが、今はあの盗賊団に万が一見つかってもやり過ごせるようにしなければならない。


 だが、解決していないことはまだあるのだ。そもそも俺の怪我があっという間に治った理由がわかっていない。でも、それは後回しだ。


 夜が明けたので、俺はヤーボの村へ向かうことにする。≪仰角監視≫で山のほうをみた。周りの景色が下に動き、山が水平になった。


 ……俺、バカ!


 仰角じゃだめじゃん!


 慌てて≪俯角監視≫に切替え、山を見た。視点が空からの視点になり山の傾斜全体が見渡せた。そこで≪気配察知≫を実行する。……うん、誰もいない。いないはずだ。スキルが働いてるのか判断できんが……。


 俺は泥沼から這い上がり、山から平地に向けて移動を開始した。歩きながら≪気配察知≫で人がいないか確認する。


 一時間ほど歩いたところで、道らしき踏み固められたところに出た。それは左右に伸びている。どちらかの先にヤーボの村があるのだろう。≪遠視≫を使って道の先を視る。右手の方角には≪気配察知≫での結果の通り二人の人が見え、左手の方角には四角い建物らしきものが視えた。


「あれが村……かな?」


 俺は道なりに、少し道から外れたところを歩いて建物らしきものが視えたほうへ向かった。建物らしきものははっきりと建物として見え、木の柵に囲まれた所が見えた。≪気配察知≫には何人かの人の気配が捉えられている。


 俺は茂みに隠れて、柵の中の様子を窺った。まだ早朝の時間帯のはずだが、何人かの女性が柵の中を歩いている。……誰に声をかけるべきだろう?十中八九ここはヤーボの村だと思うんだが、声を掛ける相手を間違うとパニックを引き起こすと思う。……だって俺、全身泥まみれなんだもん。


 ……男の人がいた!服装からして木こり風。最初に声を掛ける相手は男がいいはず!決してあっちの趣味だからじゃない!

 意を決して茂みから出て木こり風の男に声を掛けた。


「ちょっと!すまない!ここはヤーボの村か!?」


 男が俺の声を聞いて振り向いた。次の瞬間驚かれた。……まあ、ここまでは想定内。次に抱えていた斧を両手に持ち直して構えた。


「だ、誰だ!?」


 声が震えていることから、俺に対して恐怖心を持っているんだろう。周りをキョロキョロしだしたことから、誰かを呼ぼうとしている。


「助けてくれ!、山の中腹で盗賊に襲われここまで逃げてきたんだ!」


 俺は応援を呼ばれる前に木こり風の男に事情を簡潔に言った。木こり風の男はさらに仰天した様子を見せた。


「アルテイト盗賊団に襲われたのか!?」


 斧を構えたまま俺に聞き返してきた。…聞いた言葉だ。アルテイト盗賊団はこのあたりじゃ有名なのか?


「盗賊の名前はわからない!急に襲われて俺の従者が殺されてしまった!」


 俺は、盗賊の名は知らないふりをして返答した。木こり風の男は斧を構えたまま少しずつ俺に近づいてきた。


「な、なんで泥まみれなんだ!?」


「山の麓にある泥沼に隠れて一夜を過ごしてた。」


 木こり風は山の方角を見た。早朝の静かな雰囲気が山を覆っている。景色を見て多少落ち着いたのか、木こり風の男の表情からは怯えは消え、警戒する表情のみになっていた。


「……どこから来た?」


 想定通りの質問が来た。俺自身が身元不明なのを認識しているので、事前に回答を用意している。


「すまない。気が付いたら盗賊に殴られ、斬りつけられ、命からがら逃げてきたんだ。襲われる以前がまるで思い出せない!」


 俺は、疲労困憊を装ってその場に座り込んで見せた。木こり風はじっと俺を見つめている。警戒は解いていない。俺は疲れ切った表情を木こり風に見せた。実はここで≪真実の言葉≫を使おうと考えていたのだが、このスキルの使い方がわからなかった。ここで信じてもらわなければ村に入れない。俺は一生懸命、目で訴えかけた。


 『オ・レ・ヲ・タ・ス・ケ・テ……。』


 目くばせでそう訴えた。


「……よし、そのままこっちへ!」


 男は俺を呼び寄せた。やったか!スキルの効果か!俺はふらつく様な歩き方で柵の所まで歩いて行った。


「誰か!こっちへ来てくれ!」


 木こり風の男はそこで、他の人を呼んだ。まずい!捕えられるかもしれん!木こり風の声に何人かの男が気が付きこっちにやってきた。……万事休す!


「アルテイト盗賊団に襲われたらしい!やはりあいつらこの辺をうろついてやがる!」


 木こり風の男がそう周りに声かける。


「なんだと!?約束の日はまだ先だぞ!?」

「やはり逃げられないように見張られてるんだ!」

「盗賊団はどこにいたんだ!?」


 口々に叫んでいるが、その内容は俺のことではなく盗賊団のことだ。……どういうことだ?


「とにかく、この男から事情を聴こう!おい、大丈夫か!?」


 一人の壮年の男から声を掛けられた。どうやら助けてくれるらしい。


「……まずはこの泥を洗い流したい。……お願いできるか?」


 俺は弱々しく壮年の男に訴えた。











 俺は村の人に泥を洗い落としてもらい、パンとミルクをもらって一息つかせてもらった。予想通りパンは堅かった。


「それで、どこで襲われたんだ?」


 老人が話しかけてきた。この老人は『(おさ)』と呼ばれてる。要は村長だ。


「山の中腹だ。正確な場所はわからない。さっきも言った通り、襲われる前の記憶がないからはっきりとは答えられない。4~5人の男に突然襲われた。」


 俺はさっきと同じことを言った。ここからはいろんな人からの質問の受け答えになる。

「どうして夜中に山にいたんだ?」


「それもわからない。命からがら逃げてきたのだが、これしか持ってなかった。誰かこれを知っているか?」


 俺は紫色の剣を村人たちの前に出す。どうも今まで見たことのない剣のようで、珍しそうな顔で眺めているばかりである。ここでは、この剣に関する情報はなさそうだな。俺は話題を変えた。


「それより、先ほど盗賊団のことを言っていたみたいだが、名は確か……」


「アルテイト盗賊団。」


 壮年の男が答えた。この男は村長の息子でデハイドという名らしい。


「俺たちは奴らとある取引をしている……。とても他人に言えるような取引でない。ベルドの宿場町までの食糧、路銀は用意するから、明日にでもここを出て行ってもらえないか。……何も見なかったことにして。」


 何やらキナ臭い会話になってきたな。周りの男どもが騒然としている。どうも俺は歓迎されてないらしい。村長も村長の息子も渋い顔で俺を見てるし、他の村人たちはどうしていいのかわからない顔で互いに見合っている……。


 ここを乗り切るには情報が不足している。このままでは、村を追い出されてしまう。おそらく今このまま村を離れてしまっては盗賊団の餌食だ。何とかしてこの村に留まり、盗賊団に狙われないようになってから出ていきたい。


 どうしようか考え込んでいた時、遠くのほうから声が聞こえた。


「お~い!ベルドに行ってたやつらが帰ってきたぞ~!!」


 その声に村長が反応した。


「では、買えたのか、例の奴隷は!?」






 ……ド・レ・イ?






 来たよ!来たよ!


 この世界に来て、一番楽しみにしていたモノだよ!


 この世界には存在した!


 弟の本にも数々の奴隷系の物語があったが、どれも『美少女』で『ハーレム』で『ムフフ』で!

 俺は思わず立ち上がり≪遠視≫を使って声のした方角を凝視した。


 5人の村人に連れられて、小柄な女の子が歩いてる!


 よし、ズームアップ!


 OK!美少女だ!


 もっと検証しよう。


 髪の色はやや茶色。前髪は眉毛下あたりで揃えられているが、右目の上の位置に僅かな分け目がある。横と後ろは肩下あたりで切りそろえられている。……綺麗なストレートだ。目はやや大きめで髪と同じく茶色ががってる。鼻は少し低めだが形は可愛らしい。

唇は上が薄く下が少し厚めか。だが、恐怖心からなのか少し紫色だ。

 そして手足は細い。

 大きな布の真ん中に首を出す穴を空けただけの服はややベージュ色で、腰ひもで結いつけてるだけだ。


 つまり横はスースーの状態!


 検証結果も美少女だ!


 これはもう行動開始だ!


 俺は壮年の男、デハイドに話しかけた。


「おい、どういうことだ?この村で何故奴隷が必要なんだ?」


 デハイドは答えなかった。これは、どうやらこの美少女はよからぬコトに使われるらしい。死んでも村から追い出されないぞ!


 デハイドは俺の腕を掴んで苦しそうな声で答えた。


「頼む、何も見なかったことにしてくれ。でないと、この村は皆殺しにされちまう……。」


 そんなこと言ってもだめだよ、俺はあの美少女とニャンニャンな関係に……。



 ……皆殺し!?



一人目のヒロインが現れました。彼女は何の為に買われたのでしょうか?主人公は美少女を見てテンションMAXです。

次回は主人公が変わった無双をします。

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