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プロローグ2

02/28 読みやすくする為の文章の見直しを行いました。

09/26 誤字修正



(あなたは寿命を全うしました。)


 女性の声が心に響いてくる。

 女性は絹のような布地を体にゆるく巻き付け、ところどころ肌が露出している。まるで天女のようだった。

 美しい天女のような女性に死を告げられ、俺は動転する。


「俺は……死んだのか?」


 何度も問いかけているが、返ってくる答えは同じだった。

 真っ白い空間にふわふわと浮かび立っている天女のような女性。体に巻き付く布地が風もないのに揺らめいている。その女性は音もなく俺の前まで近づき、心に直接響く声でもう一度死を告げた。


「そうか……。俺は死んじまったのか……。で、この後どうなるのだ?……ていうか、お前は誰なんだ?」


(私はこの世界を預かる神。あなたに死の宣告と次の生命の選択をしに来ました。)


 やわらかな声が響く。


 神?次の生命の選択?


「……よくわからない。説明してもらえると助かるのだが。」


 俺は突然こんなところに連れて来られ、死を宣告され、大混乱する頭をなんとか正常にさせて目の前の女性に問いかけた。

 冷静になるといろいろと思い出してくる。なんか、すごいことが起こっている気がした。このシチュエーションは読んだことがあるぞ。たしか、突発的に死んでしまった主人公が異世界に飛ばされる前みたいな……。でも俺、寿命を全うした、って言われたな。

 じゃ、違うのか?いやいや、そもそもこんな状況自体があり得ないじゃないか?む、死後の世界自体わからないのに、ありえないって考えるのもおかしいか。だとすると、俺はいま何を体験しているのだろう?


 人サマに説明を求めておいて、一人熟考していると、


(説明しても宜しいですか?)


 また声が心に響いた。


「へ?ああ…、はい、よろしくお願いします」


 少し苛立ちの感じる声の響きだったため、思わず敬語で返答してしまった。見ると女性の顔がなんとなく怒っているようにも見える。


 突然、女性の中から強烈な光が弾け、女性の姿が見えなくなるほどに広がった。俺はまぶしくて顔の前に手をかざした。光は波打つように揺れ動き、それとシンクロするようにやわらかな声が響いた。


(あなたは寿命を全うしました。今から次の転生のための準備を行います。この世界では、全ての命がその寿命を全うした後、次の命を持って転生します。全ての生命がこれを繰り返すことで、地球という星に生命が誕生してから今までずっと命を繋いでいます。)


 さっきの女性の声だ。良かった、怒ってない。


 死んだら新しい生命として転生する?どっかで読んだぞ。火○鳥だったか……?輪廻転生の教えか?


(少し違いますが、有限にある魂を浄化によって転生させて、新しい命を生み出しています。この世界の理です。)


 やわらかな声は説明を続ける。


(寿命を全うした魂は一度この部屋に移され、私の転生の宣告を受け、新しい命となって再び地上の世界に戻ります。魂は前世での行いによって浄化度合いがさまざまであり、それによって転生可能な命が異なります。)


 なんと。


 これは善行を積んだものがより高位な生命に生まれ変われる、ということか。


(善行というのは、人間の基準で切り分けた行為の良し悪しのこと。私の言っている行いとは、生命としての行為の良し悪しになります。例えば、どんなに命を奪う行為を行っていたとしても、生命を繋ぐ行為もしくはそれを手助ける行為を行っていれば魂は浄化されます。)


 生命を繋ぐ行為……。要はアレか。

 ……だめだ。俺、童貞だもん。

 やったことないし。自慰はあるけど。ということは、俺の魂は汚れてるんだ。


 俺は落ち込んだ。


 子供をいっぱい作った奴は浄化され、次の生命もより高位の生命として誕生できる。いいシステムだな。これだと本能として子孫繁栄が根付くわけか?生命の中にある種の保存の本能の本質はこれってわけか?


(はい。)


 返事が響く。童貞の俺にはなんかずしりと響く。

 俺は子作りも子作りを手助けする行為もしてないから、転生できるモノはミミズとかオケラとかなんだろうな。なんか、あの歌が頭ン中を流れてやがる……。

 俺は頭を左右に振ってあの歌を追い出した。歌ってる場合じゃない。


 (あなたの魂は浄化されています。)


 また柔らかな声が響いた。


 へ?


 俺が?


 子供作ってないぞ?


(あなたはお金というものを得るために精子バンクに子種を渡しました。その精子で200人の新しい命が誕生しています。)


 やわらかな声はとんでもないことを心に響かせた。


 なん……だと?

 確かに、お金欲しさに登録した。痛い思いをして金○まから精子を取りだしたぞ。


 ……200人のこども?


 童貞なのにお父さん?


 いやまて、あれは俺の同意がないと使用されないはずでは?そうか、俺は死んでしまったから同意が不要なんだ。その場合、弟の同意が必要になるようにしていたんだが、その弟も死んでるから使用しやすかったってことか?


(あなたの次の生命……人間の言葉で言えば来世はこのリストの中から選択できます。)


 やわらかな声と同時に俺の前に半透明のウィンドウが開き、ずらずらと大量の文字が映し出された。


 リスト数63459741078……。


 ……こんなの読み切れねえよ。ていうか、選択できるんだ……。


 ちょっと読んでみたが、見たことも聞いたこともない名前とかある。選択するのが怖い。いやそれよりも子供が200人のお父さん、というのが怖い。弟がいないおかげで勝手に使われて魂の浄化ができ……

 まて、死んだ人間はみんなここに来るんだよな?弟も来たのか?


 あいつも当然童貞だ。……のはずだ。どうなった?


「俺の弟はどうなりました?俺より前にここに来たはずですが?」


 俺は光の向かってに問いかけた。


(弟というのは、あなたが「良聖」と呼んでいた魂のことですか?あの魂は「神」になりました。)



 やわらかな声は想定外の言葉を俺の心に響かせた。


2話目です。

すいません、ここに何かいていいかわからないので・・・。

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