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弟が作った世界でハーレム人生   作者: 永遠の28さい
◆第一章◆ 忌み子の奴隷少女
19/126

16 異世界での決意

本話投稿時点で、一章のタイトルと各話のタイトルを正式版に切り替えました。

09/26 誤字修正 会話文のインデント修正




 出発の朝が来た。


 【金牛宮】の宿を引き払い、街の入り口の集合場所へ向かう。

宿を離れるときにあの受付嬢からは、「ご利用ありがとうございました」というお礼だけを言われた。俺は握りしめた銀貨をそのまま何も言わずに受付嬢に渡して来た。何かの縁があれば、あの銀貨は役に立つだろう。


 サラは、他の奴隷たちと一緒に奴隷用の荷馬車に乗り込んでいる。俺と一緒に行くのもいいかと思っていたが、サラだけ特別扱いさせることもできず、ナヴィス殿の助言通りにサラを奴隷用荷馬車に乗らせた。サラはそれが奴隷として当然の待遇と考えているようで特になにも言わなかった。


 俺はいつの間にか俺の愛馬になったバーバリィに跨り、ナヴィス殿の護衛部隊に入って馬を進めている。護衛隊長は私設傭兵団長の弟である、ラッドという40代前半の男で、団長と同じく長髪にしている。ナヴィス殿の口利きで、護衛部隊の荷物持ち係として配属されている。このため、俺の≪異空間倉庫≫の中にこの部隊の荷物一式を詰め込んでいる。腰には本来は俺には必要のない魔力回復薬のビンが2日分ぶら下げられている。

 そして俺の背には、先日宝の山から選んだ一品である【アルキュオネーの長槍】を折りたたんで引っさげている。

 この武器はかなり変わっている。今は折りたたんでいるので背中に収まる大きさとなっており、担ぎやすいのだが、伸ばせば3メートルを越える長さになる。また長さ自体も自在になっている。だが何よりも変わっているのが、≪鑑定≫で視ても、『生産品』なのか『業物』なのかがわからない点だ。


 先遣隊は既に昨日のうちに出発し、今は第1陣の150名がまさに出発しようとしている。統率するのは、バナーシ殿だ。豪奢な馬車を中心に方円の陣形を組み、緊急時の陣形確認を行っている。馬車の中にいるのはヘリヤ。彼女も領代として参画するらしい。

 第2陣はナヴィス殿率いる本隊。フェンダー団長が統率する先陣とラッド殿率いる後陣とに分かれる。中心にはナヴィス殿の馬車と奴隷用馬車がある。

 第3陣は既に東の港町ガラから船で出発しているそうだ。船の数は50。しっかりした戦闘用の船、商業用の運搬船、漁師が使っている漁船、大きさや種類が様々ではあるが、海上をけん制しながら進んでいるそうだ。



 これらすべてが2日後にヴォルダナに集結する。


 俺はその中にいる。



 武者震いがする。当然初めての経験で、ただ隊長の指示に従っているだけの状態なのだが、それでも男として、こういう集団の中にいるということだけで震えがおさまらない。


 出発を知らせるラッパが鳴り響き、戦闘の騎馬隊から順に街を出ていく。街の人に見送られながら俺も馬車と一緒に馬を進めていった。






 ベルドの街を出発してお日様2つ分経った。

 俺はメニューを開き、自分のスキルを確認している。

 ≪偽りの仮面≫で他人から見えるスキルは、


  ≪仰俯角監視≫

  ≪遠視≫

  ≪投擲≫

  ≪気配察知≫

  ≪一撃瞬殺≫


 タイプ的には先行偵察系、暗殺系にまとめている。ナヴィス殿の話ではこれでもスキル持ちとして多い方らしい。


 でも実際は、


 『アビリティ』

  ≪全知全能≫

  ≪神算鬼謀≫

  ≪ヘゼラサートの加護≫

  ≪アマトナスの僕≫

  ≪暗殺術の極意≫

  ≪五穀豊穣≫

  ≪アルザラートの祝福≫


 『属スキル』

  ≪思考並列化≫

  ≪情報整理≫

  ≪仰俯角監視≫

  ≪真実の言葉≫

  ≪百軍指揮≫

  ≪投擲≫

  ≪気配察知≫

  ≪超隠密行動≫

  ≪遠視≫

  ≪超振動≫

  ≪視界共有の眼≫

  ≪身代わりの表皮≫

  ≪傷治療≫

  ≪心身回復≫

  ≪鑑定≫

  ≪光彩≫

  ≪偽りの仮面≫

  ≪骨砕き≫

  ≪水質判定≫

  ≪土壌変化≫

  ≪反復≫


 『固有スキル』

  ≪状態管理≫

  ≪異空間倉庫≫


 『呪い』

  ≪刹那の治癒≫

  ≪魂の真贋≫


 『アビリティ』には2つ追加になっている。

属神【ハーランド】に貰った≪五穀豊穣≫と≪アルザラートの祝福≫。

 ≪五穀豊穣≫はまた大量のスキルを保有しているがほとんどが農業生産系の物ばかり。太陽神アルザラートは光・昼・真実を司る神でもあり、そういったスキルが連なっている。

 『属スキル』には新たに取得した『アビリティ』に属するスキルをいくつか追加した。

 ≪鑑定≫≪光彩≫は≪アルザラートの祝福≫で得たスキル。≪光彩≫は特定の金属を光らせるスキルだ。盗賊団の塒で見た光る棒はこのスキルで光らせていたと思う。

 ≪偽りの仮面≫は≪全知全能≫の中にあった相手に偽のメニューを見せるスキルで、誰も知らないスキル。

 ≪骨砕き≫は≪暗殺術の極意≫から新たに使えるようになった。数少ない戦闘系スキルなので、こいつは重要視している。

 あとは≪水質判定≫≪土壌変化≫≪反復≫。いずれも≪五穀豊穣≫に属するスキルだが、≪水質判定≫は毒の検知ができる便利なもの。≪土壌変化≫は単に土壌だけでなく、峡範囲の地形変化も可能なので、『土遁の術』みたいな使い方ができるかもと思っている。そして≪反復≫は同じことをひたすら繰り返すためのスキル。これは、訓練するときに便利と思い付けている。

 『固有スキル』と『呪い』は変わらずである。


 しかし、スキルはどれだけセットできるのだろう?許容範囲を超えるスキルをセットすると、体中に電撃を浴びるとか、激痛を伴うとか、弟の本を読んで変な知識を持っているから正直怖い。最近は恐る恐るセットしている状況だ。“限界知らず”というのは本当に怖いのよ。


 俺の使えるスキルはまだまだ増える。だって、メニューの中には、今は使えないスキルがたんまりある。そのうち戦闘系のスキルもたんまり使えるようになるんだろう。そうなったら……。





 俺は独裁者になってしまう。





 なんでもできるようになると、できない者を下等扱いする。そうして人間を身勝手な条件で選り分け、差別を行っていく。



 俺はそうなりたくない。でもそうなる可能性を持ってしまっている。

 良聖のことで、人との繋がりが本当に必要なんだと思っている俺は、何が何でも人との繋がりを断ち切らず、自分を頼らず人を頼り、信頼できる仲間を作って行こうと思う。それがこの世界で生き抜くための最も重要な要素だ。




 俺は決意した。

 弟に会うことだけがすべてではない。


 自分勝手に弟の作った世界に来たくせに、自分勝手に目的を変えるのは弟に悪いが、それは来世で謝ろう。





 休憩地点に到着した。

 荷馬車の扉が開き、勢いよくサラが飛び出してくる。そのまま俺のところに走り寄り、食べ物をねだる。

 俺が与えたパンを嬉しそうにかじるサラは奴隷とは思えないくらい元気だ。


「サラ。」


「はい!ご主人様」


「俺はお前の秘密を全部知っている。」


「はい、ご主人様」


「でもサラは俺の秘密を全部知らない。」


「…はい、ご主人様」


「それでも、俺についてくるか?」


「当然です!サラはご主人様を生涯の主と決めているのです。捨てられたってついていきます!」


 奴隷は主を選べない。でもこいつは俺を選んでいる。



 奴隷は、主に刃向ってはいけない。でもこいつは俺に噛みついたり、命令を拒否しようとする。



 奴隷は、主に恋愛感情を持ってはいけない。でもこいつは俺のことを愛そうとしている。


 いくつもの奴隷にはふさわしくない行動が彼女の特徴だといってもよい。危うい行動のため、うまく御する必要があり、周りの人たちも何度かドギマギさせている。

 それでもサラのことを悪く言う奴はいない。むしろ必死になって守ってくれている。



 俺はサラのことを必要としている。この先ずっとかと聞かれると、考え込んでしまう。なぜなら俺はいつか必ず、サラを奴隷から解放させたいと考えているから。そのためにはいくつかの課題をクリアしなければならないのだが、俺の未来の選択肢の1つにサラを開放する、というのがある以上、俺だけの気持ちでサラを手元に置くわけにはいかないとも考えている。

 だから、サラが必要だが死ぬまでずっと、とは考えていない。


「サラ、ヴァルドナの街、楽しみだな。」


「はい、ご主人様!サラはいろんなお魚を食べてみたいです!」


「よし!いろんなお魚を食べよう!」


 サラは嬉しそうに抱き付く。俺はサラの頭を撫でてやる。この光景は何度も見てきた。この先何度も見るだろう。今はそれでいい。


 今日もまたサラに心を慰められた。不安であればあるほどサラの純粋な心に癒される。この先もまた不安になることは何度も出てくるだろう。その度に慰めてもらおう。癒してもらおう。

 俺は勝手に決め込んでサラの頭を撫で続けた。





一章:完


本話で一章は終了です。

次話からは二章となります。

新しいヒロイン登場します。

戦闘シーンが少々大きな規模になります。


私の表現力でどこまでお伝えできるか不安ですが、やれるだけやっていきます。


ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。


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