永久の愛、それは去りぬ想い
数年後。
仲春はつぐみの前にいた。
「つぐみと……つぐみと結婚させてください!!」
仲春は二人に深く頭を下げた。
それに続いて、つぐみもそうした。
「お前に娘はやらない―――と言いたいところだけど、私はね、仲春君ならつぐみを任せられると思ってるんだ。
だから、いいよ。頭を上げて二人とも。二人の結婚を認めよう」
「ありがとうございます!」
「ありがとう、お父さん!」
私はわかっていたさ。
つぐみの父親は最初から仲春に任せるつもりだったんだ。
あの時から。
そして、再び時は過ぎる。
彼らの間に子供が生まれた。
その子は健やかに成長していった。
「パパー」
「うおっ!」
仲春がいる書斎に勢いよく入ってきた幼い男の子。
「遊んでー」
「こら、アキ。邪魔したら駄目よ。パパはお仕事してるんだから」
「気にしなくていいよつぐみ。休憩がてら本を読んでただけだし」
仲春は読んでた本をしおりを挟まずに閉じて、机の上に置く。
そして、アキと呼ばれる男の子を抱きかかえる。
「なにして、遊ぼうか?」
そう問いかける。
それにアキが答える。
その答えに仲春が微笑む。
そして、つぐみも。
書斎のドアが閉じられる。
私は机の上に置かれた本の表紙を見る。
『去りぬ世界、去りぬ想い。』
それは私が身を持って体験したこと。
それは彼ら自身が体現したこと。
たとえ、世界が消え去って新たな世界が生まれても消え去らない想いは、確かにある。
(そうだな。きっと、俺がつぐみを想う気持ちはこの世界が始まる前からあったんだと思う。
うん、絶対にそうだ。そうだからこそ、俺は今とても幸せなんだ)
さぁ、私は二人を見届けよう。
彼らの想いが尽きるまで―――
いや、それはないな。
彼らの愛は永遠だ。
絶対に終わらない。
終わらない愛なんだ。
終わらない愛なんてあるはずがない。
そんなわけあるもんか。
今、ここで証明されただろう。
ここにあるんだ。
終わらない、永久の愛はここにあるんだ。




