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去りぬ想い、去りぬ世界。  作者: 猫樹政也
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最後の闘い、そして絶望へ

秋晴からメールがやって来た。


そこには、最後の闘いの場の住所と日にちが記されていた。


「ここは……」


携帯のアプリの地図で調べる。


「人は集まりにくいか……」


そこは仲春たちが住んでいる街から遠く離れた山の山中。

そこであれば周りのことなど気にせずに闘える。


それと、日にちは今週末だった。

お互い、自分たちの生活があるからこの日にちなのだろう。




その後、仲春はつぐみとなずなにこのことを伝えた。



そして、すべてが決まる日がやって来た。


三人は電車に乗り目的地の最寄駅まで行き、バスでその山の近くまで行きそこからは徒歩だった。


山を登る。

その山は登山目的のものではないため道はあるが、整備されてなかった。


数十分登れば、開けたところにやって来た。


ここが最後の闘いの場。


秋晴と日和はそこにいた。


「私は一秒でも早くこの世界をやり直したいんだ。だから、始めよう」

「なんで、そんなにこの世界をやり直したいんだ……」

「私には愛する人がいたんだ。でも、それがあっけなく殺されたんだ……

 君たちは想像できるか?これがどれほどつらいのか……」

「……」


それは想像したくないものだった。

二人にとって。


「始めようじゃないか。私は、私たちは早く夢を叶えたいんだ」


日和が手を仲春にかざす。


仲春の体が日和へ勢いよく引き寄せられる。


「ぐぐっ……」


引き寄せる力は普通の人間が太刀打ちできるものではなかった。


「ハル!」


そう叫ぶと同時に仲春へ憑依する。


仲春は力が溢れるのを感じた。

だが、それでも抵抗ができなかった。


咄嗟に両手に大きな氷柱を創りだし、それを地面に突き刺しブレーキをかける。


これで幾分かスピードが落ちた。


だが、彼らの攻撃は続く。


秋晴がてのひらになにやら明るく輝く球体を作り出し仲春に放った。


(あれは、まさか……!)


仲春はそれを見て、一瞬で理解した。


「間に合え!」


なずなが地面に手をつき、仲春の正面に氷の壁を作った。


輝く球体が発する熱により、氷の壁に触れるまえから氷を溶かす。

いや、氷は昇華した。


(太陽、作れるのかよ!)


昇華した部分から擬似太陽が見えた。


仲春はとっさに体を仰向けにして、文字通り紙一重に近い距離で球体が目の前を通過した。


「「熱っ!」」


仲春とつぐみは同時に叫んでいた。


擬似太陽の表面温度は約2000度。

そんな高温でも体がやけど負わずにすんでいるのは憑依しているから。

憑依は体を丈夫にする。


擬似太陽はやがて消えた。


「さすがに火事にするのはめんどくさいからな……」


引力も消え、仲春は距離をとる。

それを援護するようになずなは日和の頭上に半球状に小さな氷柱をいくつもを発生させる。


そして、それを同時に日和へ落とす。


日和は両手を上にあげ、斥力ですべてを弾く。


「引力と斥力ってほんとにたち悪いな……」


仲春が呟いた。

それになずなが応える。


「なにか弱点があればいいのだけれど……」


仲春は腕を横に払う。

細い氷の針がいくつも放たれる。


日和が手を前に突き出すと、すべてが弾かれる。


その後すぐに秋晴が手を前へ突き出し彼らの中間の距離に大きな擬似太陽を発生させる。


「暑い……」


冬なのに、真夏日のような暑さ。いやそれ以上だ。

空気中の水分が蒸発、とまでとはいかないが明らかに空気中の水分が減っている。


「これなら、お得意の氷は使えないだろう?」


てのひらに氷の塊を作ってみるも、生成スピードが遅い。

その上小さかった。


「くそ……どうすりゃいいんだよ……」


氷の塊を地面へたたきつける。 

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