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81話

 あれから5か月が経ち、今は6の月だ。


 傭兵たちはあの林近くで商人や旅人を襲うなどの盗賊紛いのことをして生計を立てていたらしく、捕まえたことによる報酬が出た。傭兵たちから奪ったお金と合わせて、それなりの値段になったので、無事、サブウェポンを買うことができたのだった。


 あの戦闘で女騎士がもう一人現われた原理は簡単だ。光属性の魔法によって幻影を作り出したのだ。そう、『ミラージュ』である。俺もこの魔法を見るのは初めてだったが、考えればわかりそうなものである。傭兵はそれだけ焦っていたということだろう。部下が全員やられたのだ。無理もあるまい。

 『ミラージュ』はレオナールも使っていたという光属性の魔法だ。幻影を作り出し、相手を惑わすらしい。校長がそう言っていた。話で聞くだけではわからないことも多いが、今回、実際に見れてよかったと思う。

 『ミラージュ』によってできた幻影は魔法でできているため、俺の『気視』の前では無力だ。何故、『魔視』でないのかというと、魔力でできた幻影は魔力で覆われているため、魔力だけでは本物との区別がつきにくい。咄嗟の判断には困るだろう。しかし、幻影には気力がないため、『気視』で見える靄がないのだ。だから本物と幻影を見分けるには『気視』が有力なのである。



 授業の方は順調に進んでいる。

 魔道は相変わらず『魔術』の習得だ。一日一個、魔術を教え、それを習得する。俺以外の奴らは何とかすべて習得できているが、俺は一つも習得できていない。週の1日目は毎日居残りだ。その度にエリザベートは廊下で待ってるんだが、だったら教室で待てばいいのにと思う。


 算術は数字の勉強が終わり、今は二桁の足し算をやっている。まぁ、簡単だな。こんなの誰だってできるだろう。クラスの奴らは悩んでいる奴らが多いが、まぁ、小学1年生だし仕方ないか。


 地理は現在、この王国を抜け出して、世界地図だ。この世界は5つの大陸といくつかの島でできており、地図上にない、縁の部分は闇に包まれているそうだ。この星は球じゃないのかな?まぁ、世界の果てなんて行く機会はないと思うので関係ないが。


 武術は未だに初心者組と実力者組に分かれている。実力者組ではみんな新しい気術を習得でき、今はそれぞれ3つ目の気術に取り組んでいる。ちなみに俺は5つ目で、授業で覚えた気術は『ガード』の他に、『ブロック』、『ロングサイト』、『バッシュ』だ。今は『シールドスタンプ』を覚えている。何故盾系統の気術の練習が始まったのかというと、盾様に気力を十分溜められるようになれたからではなく、小さな盾を買ったからだ。

 ちなみに、『ブロック』は媒体を硬くする。『ロングサイト』は遠視、『バッシュ』は気絶で、『シールドスタンプ』は飛び上がってからの盾の振りおろし、即ち、スタンプである。


 民族の授業は聖典の説明が終わり、この世界の種族について勉強している。今は最初の種族で、猿人族だ。先ずは自分たちのことからだということらしい。


 言語はアルファベットの様なものは覚え、今は単語の勉強だ。文法はまだだが、話せているので問題ないだろう。




 話は変わり、今は6の月。そう、夏真っ盛りである。夏といえば海やプール。つまり、水着だ!女ん雄この水着だ!ひゃっぽーい!というわけではなく、海やプールに入っていない。学校ではプールの授業はなく、海は危険な生物がいっぱいで危険だからという理由から泳いだりしないそうだ。しかも夏休みがなく、普通に授業だ。そう、水浴びに遊びに行けないのである。つまり、水着は無しだ。

 町を歩いているときに水着を見かけていたのでこれはもしやと思い、密かに楽しみにしていたのだが駄目らしい。この世界には神はいないようだ。まぁ、この世界では神ではなく、精霊にお願いするらしいんだがな。

 ちなみに水着だが、ワンピースタイプから、ビキニ、スクール水着に競泳用水着と、いろいろ取り揃えられていた。他の転生者の心意気が伝わってくるな。それなのにこれを味わえないとは、何とも残念である。きっといつかそんな機会もあるだろう。俺はそう信じることにした。精霊様、お願いします!




 今日は学校が休みの日である。なので、いつものように狩りに行くことにした。狩りへはエルザの弁当を持って、ガス君とラインスちゃんを連れて行く。あの林には動物がいるようで、ガス君やラインスちゃんと一緒なら結構簡単に見つかるのだ。野生の勘だろうか。それが今の俺の収入源なのでありがたいことだ。野生の勘、万歳!



 林に来ると、先ずは索敵だ。敵といっても傭兵たちの様な盗賊を探すわけではない。動物を探すのである。索敵担当はラインスちゃんとガス君だ。ガス君の鼻を頼りに、ラインスちゃんがガス君を運ぶ。



「ガウッ」


 どうやら見つかった様だ。ガス君たちが戻ってきた。ガス君たちに付いていき、獲物を見つける。あとは俺の担当だ。


 俺はサブウェポンに小さな盾を取り付け、気力を流す。今日の獲物は鹿だ。大物である。何頭かいるので狙いを定め、近くにいる、少し大きめのやつを狙うとしよう。


(『スローチェイン』!)

「…『バッシュ』。」


 サブウェポンを投げ、気法を発動させてシカの頭に命中させる。それと同時に『バッシュ』を発動させ、気絶させるのだ。サブウェポンを使い始めた頃は精度がなく、『バッシュ』も覚えていなかったため、ガス君とラインスちゃんと俺の三人がかりで仕留めていたのだが、気法と気術を覚えてからは俺一人で獲物をしとめている。その方が屠畜前に暴れることがなく、肉質や皮に影響が少ないのだ。


 既にわかっていると思うが、俺が選んだサブウェポンは鎖だ。相手の動きを止めるのにもいいし、引き付けることも可能だ。盾を投げて遠距離攻撃とするときだって、鎖をつけて投げるとかよくあるだろう、ゲームで。なので、鎖は盾職と相性のいいサブウェポンなのだ。


 気絶させた鹿をラインスちゃん先導で俺とガス君が運ぶ。目指す先は川だ。


 川に着くとガス君は敷物を敷き、ラインスちゃんはあたりの警戒、俺はナイフを取り出す。屠畜開始だ。

 俺はナイフで鹿の頸動脈を切り、血を動物の胃袋でできた皮袋に入れ、回収する。血だって加工すれば食べられるのだ。鉄分やミネラル、ビタミンだって豊富だ。新鮮なうちに肉屋や料理店に持っていけば買い取ってくれる。

 十分に血抜きができたら、直ぐに皮剥ぎを始める。どれだけ早く皮を冷やすことができるかで皮の品質は大きく変わってくるからだ。鹿が死んでからの時間が勝負だ。

 皮を剥ぎ終えたら、皮はラインスちゃんが川に浸けてくれる。脚で持って、川に入れるのだ。

 俺は丸裸の鹿をガス君と共に敷物の上へ移動させ、解体を始める。腹を開き、内臓を取り出す。内臓はガス君が川に持っていき、綺麗に洗ってくれる。

 内臓を取り出したら、次はロープで前肢と後肢を縛り、その後、敷物ごと肉を包み、ロープで縛る。後はこの状態で町に持っていけば買い取ってくれるだろう。流石に解体まではやらない。真っ二つにしなければ解体しにくいので、真っ二つにしたいのだが、ナイフだけではキツイものがある。それに持ち運びがし難くなるからな。このまま持っていく。


 俺はガス君とラインスちゃんの作業が終わるまで待ち、その後三人で今日の獲物を運んだ。今日は大物だ。それなりに稼げたんじゃないだろうか?俺たちはウキウキしながら帰った。




 町の肉屋では肉やレバーなどの内臓が合計で銀貨7枚で売れた。皮と胃袋などの袋形の内臓は革職人のところへ持っていく。これらは大銅貨42枚だ。今日の収入は銀貨7枚に大銅貨42枚だ。大収入である。俺はウキウキ気分で今日の稼ぎを財布にしまうのだった。



 

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