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72話

5月12日 誤字修正

 翌日、今日の授業は武術の授業だ。なんだかんだで一番楽しみにしている。異世界と言えばハラハラドキドキの冒険、戦闘、ハーレム、金儲け、だ。かなり偏った考えかもしれないが、俺の中ではそうなのだから仕方ない。魔力がない俺にとって、武術は俺が異世界にいるということを感じる、素晴らしい機会なのだ。まぁ、ラインスちゃんとかガス君とか、バリバリの異世界的存在がいるが、それはそれ。

 楽しみにしていたのは、他にも理由がある。それは日々の訓練の成果が確かめられるからだ。日々訓練をしているとは言え、その成果を試す機会なんて普通ない。傭兵と戦う6歳児とか普通いないと思う。この世界の普通ってなんだろうな?で、武術の訓練は俺が日々行っている訓練の成果を試すことができるのだ。しかも、訓練内容をさらに効率のいいものに変えられるかもしれない。新しい気術を教えて貰えるかもしれない。なので、俺は武術の授業が楽しみだったのだ。俺は今、猛烈に人生を楽しんでいる!




 シャルと一緒に学校へ行く。今は武術の授業用の動きやすい服装だ。学校には更衣室があるので、普通はそこで着替えるらしいのだが、寮で着替えちゃったほうが楽だし、俺は寮で着替えてしまった。別に更衣室で着替えるといろいろ目の毒だとか考えてないぞ?所詮周りの奴らは6歳ないし7歳児だ。そんな奴らに興奮なんてしないさ。

 朝、俺の格好を見たエリザベートは


「レーヌ、そんな恰好で学校に行きますの?ちゃんとした格好で学校には行くべきですわ。まったく、躾が為ってませんのね。」


とか言っていたが、俺が着替えないと知ると、自分も急いで着替えたのだった。まぁ、更衣室で自分一人になるのは恐ろしいよな。絶対リンチだろう。イネスが守ってくれるとも思うが、相手のメイドか執事が手を出してきた場合はその限りではないよな。と言うわけで、急いで着替えたってわけだ。で、今は俺たちの後ろをコソコソと着いて来ている。

 ちなみに、今、俺のハイドアーマーは壊れているので上半身はシャツ一枚だ。寮のみんなと買い物に行っていて思ったのだが、この世界の服装は結構進んでいると思う。デザインも前の世界に似たようなものもある。生地だっていいものが多い。貴族が買う様なやつに限るのだが、それでもいいものが多いのだ。生地はたぶん魔獣かなんかの奴だと思うが、デザインはどうなんだろうな。まぁ、俺の他にも転生者がいたってことだろうな。クラエスも俺が転生者だと知ったときにすんなり受け入れていたし、そこまで珍しくないのかもしれない。まぁ、でも、別に公開する必要はないかな。全くメリットが無いからな。今まで通り過せばいいだろう。



 小等部校舎の前でシャルと別れ、俺は訓練所に向かう。確かこっちだった様な気がするんだが、一昨日に教えて貰った道はもうすでに忘れた。地図だけじゃやっぱりわかんないな。まぁ、でも、たぶんこっちだろう。



 俺が訓練所へ向かおうとすると


「レーヌ、何処へ行くつもりですの?そっちに訓練所はありませんわよ?まさか、サボるつもりですの?レーヌ、やっぱり平民は躾なってませんわね。まったく…。さぁ、行きますわよ!」


 なんか違ってたらしい。まぁ、連れてってくれるって言うんなら着いてくだけだ。これでわざと違う場所へ連れて行こうものなら『超悶絶!』でも食らわせればいいか。今日は盾様も手袋もあるしな。

 

  

 エリザベートに引っ張られるようにして無事訓練所に着いた俺は訓練場を見渡した。

 訓練場は大きな運動場と、隅に30本ほどに案山子という構成だ。先生と思しき人影がいくつか立ってる。戦闘訓練だから先生よりも教官と呼んだ方がいいのだろうか。その服装はハーフレザーアーマーだったり、プレートメイルだったり、ハーフプレートメイルだったりと様々だ。武器も長剣や斧、槍に弓などいろいろだな。


 しばらくして、鐘の音と共に集合が掛けられた。教官の指示に従い、四列縦隊で整列する。


「今日から諸君らに武術の授業を教える、クリストフ・トーマンだ。儂のことは教官と呼べ!」

「「「「「………。」」」」」

「返事はっ!」

「「「「「は、はい!」」」」」


うぇ~、超怖ぇー。白髪の爺さんだが、背筋はピンとしてるし、なんかオーラが違う。まだまだ現役という感じだ。


「……まずは諸君らが武器をどれほど扱えるのを調べる。今まで武器を使った訓練をしたことのある者はここに残れ!武器を扱うのは初めてという者はこいつらに着いて行け。こいつらは冒険者で、腕は確かだ。こいつらが各々が待っている武器の扱い方を教える。では、分かれ!」


 俺は戦闘訓練を行ったことがあるからな。ここに残ればいいわけだ。まぁ、実力で分けないと効率悪いしな。フランクとは大違いだ。


 冒険者に着いて行ったのが9名、約半分だ。残ったのは、バジル、ダミアン、アミラ、セリーヌ、オーギュスト、俺を含む11名で、その中にはエリザベートはいなかった。どうやらエリザベート、決闘の時のレイピアはお飾りだったらしい。まぁ、決闘の時もドレス姿だったからな。魔法は扱えても武術の方はからっきしなんだろう。


「11名か。では、諸君らの実力を確かめる。実力不足と判断されたものはおとなしく初心者組と合流するように。では、先ずは二人一組になれ!模擬戦を行ってもらう!ただし、オーギュスト、お前は儂と組め。他の奴らと体格が違い過ぎる。」

「あぁ、わかったぜ。」

「……では、二人一組になれ!」


うわぁ、二人一組とかどうすんだよ…。俺ぼっちだぜ?そんなの無理だろ。どうせ、あれだろ?


「お前アイツと組めよ」

「え?やだよ。お前が組めよ。」

「いや、俺こいつと組むし。」

「はぁ?こいつと組むのは俺だし。」

「や、やめなよ、二人とも…。」

「じゃあ、お前が組むか?」

「え、いや、それは…。」


とかなるんだろ?わかってるって。まぁ、今はオーギュストが抜けて10人。必ず一人、はぶれるわけだからソイツと組めばいい。俺から動く必要はない。


「おい、罪人。俺と組め。傭兵には毒を盛って勝ったようだが、俺はそうはいかないぜ?傭兵風情に正々堂々と勝負を挑んで勝てないなんてな!やっぱり罪人だな。その歪んだ精神、俺が叩き直してやる!」


ダミアンが話しかけてきた。いや、話しかけてきたって言うほど穏やかではないな。ダミアンが殴り込みに来たってところかな。


「おい、聞いてんのか?俺と組めって言ってるんだよ!」


おっと。悪い悪い。全然違うこと考えてた。


(コクッ)

「よし!決まりだな。今更逃げんなよ?」

(コクッ)


 傭兵に毒を盛った、ね。別に盛ってないんだけどな。それよりもこいつは自分があの傭兵より強いとでも思ってるのか?騎士を目指してるらしいが、それでもお前はまだ6歳児だろう?あの傭兵より強いわけがない。それとも俺のように何か特別な能力でも持っているんだろうか。そうでなければ正々堂々と勝負を挑んだら確実に死ぬぞ?あれはそういう戦いだった。この坊ちゃんにはそこんところ教えてやんないとな。



「…全員組んだな。では、模擬戦を開始する。なお、魔力や気力の使用は禁止だ。バジル・コンスタン、マルコ・ワルター、前へ。」

「ははは、一番最初か。よろしくな、マルコ!」

「マジかよ…。はぁ、緊張するなぁ。お手柔らかに頼むぜ、バジル?」

「では、戦闘、始め!」



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