5話
何か動かされている感覚がして目が覚めた。どうやら服を脱がされているようだ。服を脱がしているのは母親?の方で、父親は視界内にはいない。着替えだろうか?特に抵抗する理由もないのでなされるがままになっていると温かいものに包まれる。なるほど、お風呂である。心地のいい温度で眠くなる。しかし、起きたばかりであるためすぐにはなられない。眠たいのに、寝られない…。何とも微妙な感覚である。
暇だからといって、魔力?の訓練は母親?に触れられているのでしない方がいいだろう。何かあるかもしれない。魔力?訓練が感知されて変な目で見られるかもしれないしね。とりあえずおとなしくしていよう。
しばらくするとお風呂は終了したらしく、体を丁寧に拭かれて服を着せられた。ここから授乳、揺られながらの子守唄によるコンボで睡眠である。
目を覚ますとあたりは暗く、ほとんど何も見えない。どうやら夜になったらしい。この世界にも夜はあるということが分かった。近くで寝息が聞こえているため、両親は近くで寝ているのだろう。体力も復活しているので魔力?の訓練をすることにした。
先ずは集中して体の中にある魔力?を感じる。全身の流れを感じたところでその流れを意識しながら右手に魔力?を集める。前回ほど疲れないが、それでもぎりぎりだ。どうやら訓練によって疲労は軽減するらしいが、まだまだ訓練はしなければいけないと思う。どうやら訓練によって疲労は軽減するという予想は当たったがそこまで大きくはないのだろうか。
前回は集まった魔力?を観察する前に疲れてしまい魔力?の集まりを解いてしまったが、今回は少し余裕がある。魔力?は今、指先から手首までの右手の内側部分に集まっていて、右手の形でとどまっている。魔力?の流れは全身を巡ってはいるが非常に希薄で感じにくい。全身の魔力?が右手に集まっているのだろう。
次に右手に集まった魔力?を右手の平に球体で浮かべてみる。魔力?を外へ出し、丸める感覚で……。
どうやら気絶していたようだ。この魔力?は外へは出せないらしい。少なくとも今の段階で外に出そうとすると気絶する。今は疲れているのでこれ以上の魔力?の訓練は行わないが、今後の訓練次第では出せるようになるかもしれない。というか出せないと困る。遠距離魔法使えないとかロマンがなさすぎる。絶対に出せるようにしないと。
魔力?の訓練は行わないが、観察くらいならできるだろう。集中して、魔力?の流れを感じて…。訓練前と比べて少しだけ流れが濃くなっている気がするがどうなんだろうか。感覚でしかわからないため誤差の範囲内なのかもしれない。さて、さっきはここで訓練を開始したが今は疲れているので訓練はしない。魔力?の流れをより細かく観察する。どうやら魔力?は体表面からにじみ出ているらしい。出ている量は全体量のほんの少しだが、絶えず外に出ている。…魔力?は外に出せないんじゃなかったっけ?早くも仮定が抱懐した。しかし、いい意味で期待を裏切ったともいえる。つまりこれを応用すれば魔力?の球もでき、遠距離魔法も可能ではないだろうか。いや~、ロマンが広がるね。
そろそろ疲労が限界である。睡魔がやばいがお腹もすいた。我慢できなくはないが赤ん坊に空腹はよいのだろうか。とりあえず手足をバタバタさせると左手が何かに触れた。詳しく触ってみるとどうやら手のようだ。両親?のどちらかの手だろう。その手を左手でバシバシ叩く。もちろん赤ん坊の力なんてたかが知れてるが、どうやら起せたようだ。その後、授乳を受けたまま眠ってしまった。