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63話

5月9日 誤字修正

 それから2か月が経ち、1の月2週目の1日、入学の日だ。特に入学式というものもなく、小等部の1階の部屋に新入生は集められた。ここが俺たちの教室となる。


 決闘を行った日から数日後にレオナールから手紙が届き、母さんが亡くなったと知らされた。命日は11の月2週目5日だそうだ。『歩行記念日』を祝って、ちょっとはしゃぎ過ぎたらしい。その翌日から立てなくなって、その1か月後に亡くなった。最後まで俺の誕生日のお祝いの話をしていたらしい。誕生日には間に合わなかったんだな。手紙を受け取った日から数日は寝込んだが、それでも今では立ち直っている。いつまでも寝込んでられないからな。母さんだってそれは望んでいない。俺は人生を楽しまなきゃいけないからな。


 この2か月の間、俺とエリザベートは殆ど口を利かずに過ごした。まぁ、基本的に俺は自分から話しかけないので、エリザベートが声を掛けてこなければ会話は成立しない。しかも話しかけてきたと思ったら出てくるのは嫌味ばかりだ。服装がだらしないだとか、そもそも服が貧相だとか、服が良くてもチョイスがないだとか、食事のマナーがなってないだとか、もっとはっきり物を言えないのかだとか、平民が一番風呂に入るなだとか、ガス君の毛が廊下に落ちてただとか、平民の癖にお肌スベスベだとか、平民の癖に髪がサラサラだとか、背が低いだとか、発育が悪いだとか、まぁ、いろいろだ。俺はそれをすべて華麗にスルーだ。しかし、避けられているというわけではなく、食事の時は一緒だし、その後の談話室でも一緒だ。みんなで一緒にお風呂に入る時も一緒にいるし、ただ、俺とエリザベートが会話をしないだけで、他のみんなとは俺もエリザベートもうまくやっていると思う。主に俺が口を利かないだけだが。ま、俺は他の人とだってほとんど口利いてないしな。いい加減慣れてほしい。クラエスも通訳してくれればいいのに何も言わないんだからな。あ、そういえばまだクラエスにはお礼をしてない気がする。まぁ、いいか。そのうちで。





 ガス君にやられたイネスだったが、翌日には寮に戻ってきて、エリザベートのテンションが一気に上がり、ちょっと面倒くさかった。


 俺の装備だが、盾様だけは何とか持ち合わせで修理ができたのだが、鎧の方はお金が足りなかった。みんなはお金を出してくれると言っていたが、何時までも甘えているわけにはいかないだろう。これをきっかけにお金を稼ぐ方法を考えようと思う。何時までも甘えていては『人生』を楽しめないと思うからな。お金を稼ぐのだって立派な人生を楽しむための一要素だろう。


 今日、学校に来るときはエリザベートと俺は別々だったが、エリザベートにはクリスが、俺にはシャルが付いて、学校まで一緒に来てくれた。初めての登校だからということで一緒に行こうということになった。クリスは中等部生のはずなんだが、付いて来てくれるあたり、本当に優しいと思う。学校に来るとき、校庭が馬車でいっぱいだったのには驚いたな。まぁ、王都に住んでるやつは自分の家から通うやつが多いみたいだし、そいつら全員が一斉に登校してきたら、まぁそうなるよな。


 学校へはガス君やラインスちゃんは連れてきていない。エリザベートの時みたいに、この毛むくじゃらはなに、だとか、ワイバーンを寄越せだの言われかねないからな。今はエルザの手伝いをしていると思う。

 

 よって俺は今教室で一人だ。周りのやつは結構交流を深めてるようだが、俺はあまりしゃべれないからな。初日だし、きっと自己紹介もあるだろう。それまでは我慢だ。喉と舌を休憩させとかないと。


 さて、学校の制服だが、男子は軍服に帽子、大勢集まるとちょっと暑苦しいが、まぁ、かっこいい。羨ましい。俺も着たかった。で、女子はブレザーにチェックのスカート、そう、スカートだ。牧場では作業があったからズボン、短パンが多かったし、旅だってもちろんズボンだ。王都に来てからもスカートは避けていた。制服の話が出ないから小等部には制服がないのかと思ってたんだが、昨日、いきなりエルザに渡された。初めてのスカートにドギマギしたが、まぁ、仕方がないので穿いている。制服なのだから仕方がない。いやいや穿いているんだ。そう、いやいや。別に喜んでなんかいない。いやいやだ。

 で、靴下には規定がないらしく、俺は今ニーソックスだ。そう、絶対領域だ。スカート穿いて、絶対領域作らないとか、男じゃない!たとえそれが自分でも。

 絶対領域を作り出せることから察しているとは思うが、制服のスカート、かなり短い。まだみんな6歳だろう?小学生だろう?小学生のくせにけしからん。別に、小学生に興奮なんかしてないぞ。ただ、けしからんのだ。目で追ってしま…ったりしてないぞ。


 さて、夢の制服談義を終えて、教室の話に戻ろう。教室には机と椅子が20個ずつ。机はいたってシンプルで、ちょっとデカいぐらいしか特徴がない。で、椅子と表現したが、ほとんどソファな椅子がセットで置いてある。隣との距離は大体俺が二人寝転がれるくらい。縦か横かなんてのは想像にお任せする。ただ、教室はとても広いとだけ言っておこう。で、周りは3~5人のグループで固まって話し合っているようだな。たまにこっちをちらちら見てる。俺はぼっちだ。話しかけられないやつがグループの中に入れないのは必然。俺は椅子に座って授業が始まるのを待っている。

 教室には前に大きな黒板のようなものがあり、右には廊下、左には木窓、後ろには沢山のメイドや執事がいる。その数は生徒よりも多い。一人に一人のメイドや執事が付いているというわけではなく、大体2~3人がついている。なので、単純計算で40~60人がいるということだ。まぁ、俺はそんな付き人はいないし、エリザベートのようにメイドが1人しかいないなんてやつもいるから。大体45人くらいじゃないか?教室の後ろに並ぶたくさんのメイドや執事、この人たちに見られながら授業を受けるとか、慣れるのに時間がかかりそうだな。

 机の配置は横に6、縦に3、その後ろに2だ。席は決まってないと誰かが言っていたので俺は窓際、一番後ろに座っている。ちなみにエリザベートは一番後ろの2席のうちの窓側に座っている。俺と同じぼっちだ。侯爵家だったらしいからな。あの性格だ。他家を見下していたんだろう。しかし、今は侯爵家と縁を切って平民だ。学費はどうなってるのか知らないが、とりあえず学校だけは通えてるみたいだな。で、平民となったエリザベートには誰も近づかないってわけだと思う。思う、というのは誰も彼女と話さないし、皆との距離が開きすぎていて聞き耳を立ててもあんまり情報が入ってこないのだ。ぼっちって辛い。


 俺は周りのやつを観察する。髪の毛の色は茶や金はもちろん、緑、青、ピンクとかいろいろだ。赤は俺だけだな。男は軍服を着てるが、まだ子供、ちんちくりんだな。はぁ、俺も着たかった。女は短いスカートで、中が見えちゃいそうなほどふんぞり返ってたり、脚組んでたり、お嬢様って感じのやつが多い。大人しそうなのもいるけどな。もちろん俺のように絶対領域を作り出しているやつの他にもタイツだったり、ハイソックスだったりな感じだ。さすがに素足はいなかった。あ、靴は規定がないのだが、基本的には革靴らしい。素足で革靴とかないよな。ないよね?俺はクリスがプレゼントしてくれたものを履いている。勝負に勝ったお祝いとかで買ってくれた。



ゴーーーン



 突然鐘の音が聞こえ、やがて、教室の扉が開いて、一人の男が入ってきた。男は茶髪に茶目で20代後半といった感じ。これといった特徴がない。特徴がないのが特徴だな。


「俺はフランクだ。小等部の魔道の授業を担当する。今日は一日魔道の授業だからな。ま、今日は昼まで小等部についての諸説明で終わると思うけどな。」


フランクはそう言って、黒板のようなものに指を当てて文字を書き始める。俺は文字が読めないのでなんて書いてあるかわからないが、他のやつらはわかっている様子で、その文字を見つめていた。それよりも俺の気を引いたのはあの黒板のようなものだ。指を当てるとその部分が白く変色するのだ。どういう原理なのかはわからないが、黒板が成立している。しかも粉塗れになることなく。前の世界では俺はあれが嫌いだった。手がカサカサするというか、ツルツルするというか、なんか気持ち悪かったのだ。この世界ではないようだな。少なくともこの学校では。


 俺は少しだけ機嫌がよくなって、文字を書き終わったのかこちらの方へ向きを変えたフランクが小等部の説明をするのを聞いていた。



 先ずは注意事項だ。

 授業中は付き人が手を出したり、付き人に助けを求めたりするのは禁止だ。なら後ろの奴ら帰れよ!どんだけ暇なんだよ!というか、見てるだけなんて暇だぞ?とか思うのだが、どうなんだろうな。眠気と戦う職業なんだな。付き人って。

 さらに、授業中は侯爵とか子爵とか男爵とか関係なく、平等に扱うそうだ。もちろん貴族と平民の格差もなく、そこにあるのは生徒と先生という関係だけ。生徒は先生に従わなけばならないそうだ。まぁ、円滑な授業展開には必要なことだな。ただ、間違ったことを先生が言ったら指摘してほしいそうだ。先生も人間だ。間違いくらいはある。その辺は寛容らしい。ま、先生も人間だ。そう宣言していても贔屓はするし、差別もするだろうな。間違ったことすべてを指摘し続けていたら、授業はうまくいかない。価値観なんて人それぞれだし、それを統一するなんて無理だ。俺たちはそれぞれに考えていることがあるからな。どこまでを許容できるかが大切だ。


 小等部は1階が1年、2階が2年、3階が3年専用となっており、用事がない限りは他学年のところにはいかないようにとのこと。1学年1クラスで専用階があるときた。外から見た限り結構デカい建物だったんだが教室を見る限り一部屋一部屋がデカいんだろう。


 

 次は授業について。小等部はこの校舎とその前にある校庭と少し離れたところにある訓練所の3か所で授業が行われるらしい。授業は1週間で一回りとなっており、1日~4日に授業があって、5日は休みで、次週の1日からまた授業となっている。4日通って1日休みだ。授業は1日の前半と後半に分かれており、その時間割は以下のようになっている。


1日 魔道 魔道

2日 算術 地理

3日 武術 武術

4日 民族 言語

5日 休み 休み


 前半と後半の間には昼休憩があり、それぞれの時間は特に決まっていないらしい。ただ、授業開始前には鐘がなるので、それを目安にするようにということだった。授業の終了はその日の内容が終わり次第終わりらしい。結構時間にルーズだな。まぁ、時計をまだ見たことがないからな。朝、昼、夕、夜くらいしか俺にはわからん。太陽の角度とか毎日同じ場所から観察してないと分かんないだろ。

 

 武術の授業は持参している装備を身に着けて訓練所に集合すればいいらしい。訓練所は黒板に地図で示してくれた。地図さえ覚えてれば迷わないだろう。心配だったら誰かについて行けばいいと思うし。



 その他、わからないことは担当教員に聞いてくれだと。



 説明が終わり、自己紹介タイムとなった。

 

 

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