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18話

 興奮状態になった2人にもみくちゃにされ無心でそれを受け入れた。もちろん魔力?の訓練は常時継続中だ。で、騒ぎを聞きつけてレオナールが慌てて入ってきたが、ローヌにことの顛末を聴き、これまた興奮状態になり、3人がかりで俺をもみくちゃにしていた。俺は、どうこうする気もなかったし、どうすることもできなかったので、無心で魔力?の訓練をした。外部の戯言が聞こえなくなるまで集中するために魔力?の塊を30個まで増やして操作したため非常に疲れた。この疲れは絶対に訓練だけのせいじゃないと思う。



 しばらくして落ち着いたのだろうか、訓練に切りをつけ、集中を解いた。俺はローヌの膝に抱かれていた。そして目の前では二人が取っ組み合いの喧嘩をしていた。まだ暴れるのか。この世界の男は体力あるなぁ。それともこの無尽蔵の体力は猿人族だけなのか?俺が騒動のきっかけを作ってから結構な時間がたっていると思うのだが…。



「レーヌはお義父さんでも渡せません!」

「ローヌはやっただろうがぁぁ!レーヌは俺によこせー!あと、お義父さんと呼ぶなぁぁぁ。」

「いいえ、お義父さん。それとこれとは話が違います!」

「お前の方が年上だろうがぁぁぁ!」

「そんなことは関係ありません、お義父さん!」

「よしわかった。ならお義父さんと呼んでもいいが、レーヌは貰うぞ。」

「んだと!クソジジィ!」

「こいつ、お前の方がジジィだ!」


などと言い合っていることから俺の取り合いをしているのだろう。なんてくだらない。というか衝撃の事実。おじいちゃんよりお父様の方が年上とか。やっぱりおじいちゃんは若かったんだなぁ。

 男二人が喧嘩をしている間にちゃっかりローヌが俺を抱えているため、この勝負はローヌの勝ちといえるだろう。漁夫の利である。女って怖い。……まぁ、俺も今は女なのだが。



取っ組み合いの喧嘩は夕食前まで続き、ローヌの


「レーヌちゃん、ご飯ですよ~。」


の一言で終了した。どうやら、俺がご飯を食べる姿を観察したいらしい。レオナールは毎日見ていると思うのだが…。


「「かわいいなぁ」」

「かわいいですね、お義父さん。」

「あぁ。」

「これだけでご飯何杯でも行けちゃいますね、お義父さん。」

「あぁ、小さい口に慎重にスプーンを持っていくあどけなさ。口まであと少しというところでスプーンからこぼれてしまい、空振りする口。それでもめげずに次の一口へと挑戦する健気さ。いいなぁ、おい!いいなぁ!」

「はい、わかります。お義父さん。」


こっちは結構真剣なんだが…。まだ思うように体を動かせないので食事も一苦労である。それをこいつらときたら…。見られてると非常に恥ずかしい。まぁ、常に無表情なのでそんなことわかってないと思うが。ただ、口が空ぶったときはマジで恥かしいので、そこの実況だけはやめてほしい。ほんと頼む。あとレオナール。お前おちょくってるだろ、おじいちゃんのこと。発言するたびにお義父さん、お義父さんって。それに気づかないおじいちゃんもおじいちゃんである。



 公開処刑な夕食が終わり、というか昼から夜までどんちゃんやってたんだな。何やってんだか…。


「ゲーユ兄弟は元気か?」

「えぇ~、元気よ~。二人ともよく働いてくれるし~、ありがたいわ~。」

「そうか…、二人は今家にいるのか?」

「この時間ならたぶん家にいるんじゃないかしら~」

「そうか、なら少し顔を出してくるか。」

「じゃあ、俺送ってきます、お義父さん。」

「そうか、悪いな。」

「いえいえ、夜は獣が出ることもありますし、一人では危険なので、お義父さん。」

「そうだな。では、いってくるぞ、レーヌよ。」

(はいはい、いってらっしゃい。ていうかそろそろお義父さんに突っ込み入れろよおじいちゃん。スルーとかそろそろお父様が可愛そうになってくるぞ。)


うるさい二人が出ていき、残った俺とレーヌは寝る準備である。おじいちゃんは今夜泊まるらしく、明日レオナールとアルフレッド君と一緒に帰るそうだ。今日はどうやってきたのだろうか。まさか一人じゃあるまい。ヴァーノンたちの時といい不思議である。


 

 お父様とおじいちゃんが戻ってくるまで訓練でもして待っていようかと思ったが睡魔には勝てず、先に眠ってしまった。


 そういえば、今日は『レーヌ 二度目の声記念日』にはならなかった。そこまで記念日を作るつもりはないらしい。俺の声に対する耐性がついたのかもしれないな。

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