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14話

 翌朝目が覚めると何時の間にがベッドで寝ていた。ユニスかローヌが寝かせてくれたのだろう。

 昨日は魔力?の訓練を1回しかやっていない。ここ最近は1日に2~3回やっていたので少し物足りない。薄々気づいてはいたが魔力?を見られる心配はほとんど無いようなのでこれからはいつでもどこでも訓練ができるな。とりあえず、いつものように魔力?がなくなるまでいろいろな形の魔力を作っていく。最近は同時に2個の魔力?の塊を操作しているが、これがまた難しい。3個同時に操作しようとすると形が崩れて魔力?の流れに戻ってしまう。そのため、今は2個が限界だがそのうち3個以上の魔力?の塊を操作できるようになるだろう。


 魔力?訓練をしているとどうやら朝食の時間になったようだ。ローヌに抱かれて授乳を始める。魔力?も残り少ないのでこの辺でやめておこうか。


「今日はレオが迎えに来てくれるから、そしたら帰りましょうねー。」


どうやらレオナールが迎えにくるようだ。たぶんアルフレッド君も一緒だろう。森の中は怖いしね。昨日の感じだと昼ごろに迎えに来るだろう。とか考えているとノックの音が聞こえた。


「あら~、もう着たみたいね~。」


は?早すぎやしないか?夜中に出発したのだろうか?まぁ、うちのお父様なら娘に早く会いたいがためにやりそうだが、いくらアルフレッド君がいるからって危険だろう。


「レーヌ、お父様が迎えに来たぞー。」

「早かったのねぇ。」

「あぁ、アルフレッドにがんばってもらった。」

「あとでご褒美あげなきゃね~。」

「いや、すでにはちみつはあげたから大丈夫だ。」

「あら~、そうなの~。はちみつ使っちゃったの~。」

「あぁ、それにしても揺れたな。帰りは歩いて帰ろうか。」

「それはそうよ~。レーヌちゃんが酔っちゃうわ~。」


どうやらお父様はアルフレッド君にはちみつをあげることでアルフレッド君に頼み込んで走ってもらったようだ。アルフレッド君て意外と速いらしい。いつかのってみたいな。楽しそうだ。


「レオ、お主も食べるかのう?」

「あ、おはようございます。カラム先生。はい、いただきます。」

「ちょっとー、私にはあいさつないのー?」

「あぁ、ユニスもおはよう。」

「はい、おはよう。はい、ご飯どうぞー。」

「ありがとう。」


レオナールも食卓に着きユニスが朝食を持ってきた。


「で、レーヌの検査はどうだったんだ?もちろん問題はないよな?家でも特に何もなかったし。」

「えぇ~、もちろんよ~、私たちの子なんですもの~。体はいたって健康、成長も問題ないわ~。」

「そうか、それはよかった。」

「しかも『気視』と『魔視』の能力を持っているのよ~。」

「………。」


やはりレオナールも固まってしまった。


「それで~、レーヌちゃんは学校に通ってもらおうと思うの~。」

「…あ、あぁ。確かに能力持ちなら学校に行っておいた方がいいかもしれないな。力の使い方や身の振り方を覚えた方がいいだろうしな。」

「だから~、学費とか今のうちから溜めないと~。」

「うん、確かに。これからは節約しないとな。」

「そうよね~。これからははちみつ使うのも控えてね~。」

「…わかった。」


それからは学校への連絡はどうするとか、いろいろ買い揃えなきゃいけないだとか、寮に申し込まなくてはだとかいろいろな話をして盛り上がっていたが、


「そんな先のことはまだ決めんでもいいじゃろう。学校もまだ受付とらんじゃろうし。」


というカラム先生の言葉によって終わった。



「じゃあ、達者でな。また来るんじゃぞ。」

「はい~、カラム先生~、お世話になりました~。でも本当にいいんですか~?検査料払わなくても~」

「よいよい。珍しいものも見せてもらったし、これから学費をためにゃならんのじゃろう?『気視』や『魔視』持ちなんぞ初めて見たわい。その見物料じゃと思ってくれればいいんじゃ。」

「ありがとうございます~。」

「ありがとうございます。先生も達者で。この町に医者は先生しかいないんですから長生きしてくださいよ。」

「ほっほっ、わかっとるわい。頼まれても死んでやらんわ。しかし、ユニスが医者をついでくれればよかったんじゃがのう。」

「まぁ~、あの子は冒険家一筋ですし~、今日もダンジョン潜りに行っちゃいましたし~。」

「そうじゃのう。毎日のようにダンジョンに潜っておる。ありゃだめじゃな。医者にはなれん。」

「そうですね~。」


 どうやらこの世界には『ダンジョン』というものがあり、冒険者という職業の人たちが日々中に入っているという。ユニスも冒険者の一人で、今朝見た装備等からゲームでいうところの盗賊、またはローグといった職業を担ているのだろう。軽装備に、両腰に下げた短剣、これはもう盗賊である。あとは、獣の耳を使っての索敵もやっているかもしれない。そういえば、冒険者の話になったとたんレオナールの言葉数が減ったが何かあるのだろうか。

 

 『ダンジョン』とはこの世界の地下にある迷宮で、いくつもあるらしい。世界のいろんな場所に入り口があり、その数は100を超えるんだとか。中の構造は常に変化しており、また、中には魔獣もいるため帰ってこられなくなる冒険者も多いらしい。魔獣とは何なのか詳しくは話していなかったためわからないが、まぁ、危険な生物って認識でいいだろう。

 さて、なぜ冒険者はそんな危険なところへ行くのかというと、ダンジョンには地上では取れない鉱石が取れたり、魔獣の革や毛、歯や骨などは高級素材として高く取引され、貴族や王族の服や装飾品となったり、質の良い武器や防具となったりするのである。魔獣の肉は高級食材として高く取引され、これもまた、貴族や王族の口へ運ばれることになる。この世界には鉱山という存在がないらしく、鉱石はダンジョンに潜らないと取れないらしい。お金や鍋などの日用品にも金属を使っているため、冒険者はこの世界にいなくてはならない存在である。

 

「では、さようなら。」

「さようなら~」

「達者でのう。待たせて悪かったのう、アルフレッド。またのう。」

「グルルァァァ」


 別れのあいさつを済ませ、カラム先生宅を後にした。町での用事は特にないらしく、門へ向かっていく。アルフレッド君はカラム先生宅の前の道で座って待っていた。昨日もそうだったが、結構大人しい子なのだろう。カラム先生とも別れのあいさつ?をしていたし、知能も高いようだ。今日は小屋のような荷車はなく、金属製の兜だけをしている。この兜、何なんだろうな。

 今日も道には人が少ない。この町、それなりに大きく見えたが人口が少ないのだろうか。


 門の前で門兵が話しかけてきた。


「今日はもうお帰りですか。早いですね。」

「ん?あぁ、、家族を迎えに来ただけだからな。」

「そうですか。ただ、ブラックベアを荷車なしで連れてくるのはやめてくださいよ。住民から「カラム先生の家の前に大きな熊がいて近寄れない。なんとかしてくれ、医者に診てもらえなくなると困る。」なんて通報がありましたから。荷車引いてれば大道芸か何かかと思って通報自体は少なくなるようですから。」

「そいつは新参者だな。この町でアルフレッドを知らないなんて。兜を見ればわかるだろうに。なぁ、アルフレッド?」

「グルルルルァ」

「そりゃあ、それなりに大きな町ですからね、人の出入りはありますよ。バロー卿にも迷惑がかかります。」

「そりゃ、悪かったな。バロー卿にはお世話になってるしな。でも今回はしょうがないんだ。少しでも早くレーヌに会いたかったんでな。」

「…親バカですね。ただでさえブラックベアーがいる通りは人が少なくなって、他の道が混雑するんですから。昼間ならまだしも今朝のような忙しい時間にやられると大変です。知ってる人ですらほとんど近づかないのに、新しく来た知らない人は卒倒ものですよ。」

「別に取って食ったりしないさ。なぁ、アルフレッド?」

「グルァァア」

「とにかく、今後は気を付けてくださいよ。」

「あぁ、わかった。今後は気を付けよう。じゃあな。」

「では、お気をつけて。」


なるほど。町で人が少なかったのはアルフレッド君を避けていたからなのか。確かに初見は怖いがこんなに大人しいのに、なんだかかわいそうだ。まぁ、アルフレッド君は特に気にした様子もないのでいいのだろう。会話の内容を理解しているのわからないが…。



 帰り道のこと。のんびり歩いて帰っていると、ローヌが突然、


「……そういえばお父様のところによるのを忘れたわ~。」

「ん?なんだあいさつに行かなかったのか?」

「えぇ~、レーヌちゃんのことで頭がいっぱいになっちゃって~。」

「まぁ、確かに、あれだけのことがあると…な。お義父さんもわかってくれるさ。」

「う~ん。でも~、何の連絡もしてないから寂しがってるんじゃないかしら~。」

「となると、そのうち牧場に来たりしてな。」

「お父様も忙しい人だからそれはないんじゃないかしら~。」

「そうだな。それはないか。」


どうやら俺にはおじいちゃんがいるらしい。どんな人なんだろうか。怖い人だったらやだな。まぁ、でも忙しいらしいし、会えるのは当分先だろう。春の陽気にあてられながらそんなことを考えるのだった。


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