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116話

 獣人族とのコンタクトの日、俺はブレーズと一緒に会議室に来ていた。代表者五人の内、まともに話せるのはブレーズくらいだからな。リーダーの俺とブレーズの二人で獣人族の代表者と会うことにした。クリストフ教官はいない。設定するだけして、後は丸投げだ。クリストフ教官もなんだか適当だな。


「失礼します。」


 獣人族の代表者はキツネちゃんだった。


「始めまして、私はチームリーダーのキャシーです。よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。僕はブレーズで、こっちがリーダーのレーヌです。」

「……本日はお話があるそうですが?」

(コクッ)

[単刀直入に言うよ。次の学校対抗戦では同盟関係になって欲しいんだ。]

「それは他校に一斉に攻撃を受けるからですか?」


 知ってるのか。他の学校に先を越されたか?


[そうなんだ。既に知ってると思うけど、近年、王都の学校は他校の協力によって負け続け。だから、今年こそはと手を打つことにしたんだ。それが、こちらも同盟を組むことなんだ。既にある学校とは同盟関係が結ばれている。どう?私達と同盟を組む気はある?]

「……いくつか質問してもいいですか?」

[もちろん。]


 質問か。ここで印象を良くしとかないとな。だが、所詮相手は子供。たぶん言いくるめるのは簡単だ。同盟関係を結ばせるのは簡単だろう。ただ、それが守られるかが問題だな。すぐに破られるような同盟関係ならない方がマシだ。


「先ずは、どうしてその対策が今までなされなかったのですか?」

[恥ずかしい話、この学校は貴族の集団で、他の学校は平民が多かったり、貴族と平民が半々だったりだ。そしてこの学校の代表者に選ばれる奴らは大体プライドが高くて、平民の力を借りたくないと思っているらしい。他の学校の奴らを下に見てるんだね。そいつらに負けてるのに。だから平民と同盟を組むなんて発想はなかったんだと思う。でも、私は違う。私は平民の出なんだ。プライドは高いかもしれないけど、負けるのと力を借りるのでは力を借りる方を取るよ。負けたくないからね。]


 やべぇ、調子乗りすぎた。書く場所が少なくなってきちゃったよ。しばらく節約しておこう。


「そうですか。……わかりました。次の質問ですが、貴方達と同盟を組んだ際のメリットは?」

[他校を確実につぶせる。]

「どうして?」

[私達は強い。キャシーたちが仲間になってくれれば確実だよ。]

「私達があちらの陣営に入っても?」

[そうなると勝負はわからない。勝ち負けは半々かな。だからキャシーたちにはこっちに来てもらいたいんだ。]

「失礼します。」

「ドーラ、遅いわよ?」

「ご、ごめん。道に迷っちゃって。」

「すいません。こちらメンバーの一人のドーラです。」

「あ、レーヌさんじゃないですか。代表だったんですね?」

(コクッ)

「ふふふ、がんばりましょう?で、キャシー、今どういう状況?」

「ええっと――」


 キャシーがドーラに説明する。説明を聞く限りちゃんと理解しているようだな。結構頭がいい。脳筋てわけじゃないようだ。


「そっかー。私はレーヌさんと一緒に戦いたいかな。折角仲良くなったんだし。」

「え?そんな理由でいいの?」

「だって、友達がピンチなんだよ?助けたいよ!」

「わかったわ。メンバーのモチベーションも大事だしね。レーヌさん、私たちも同盟に入れてください。」

(コクッ)


 何やら勝手に纏まってしまった。まぁ、嘘とか屁理屈とか言わなくて済んだし、よかったんじゃないか?やはり持つべきものは友だな。


 その後はちょっとした打ち合わせをして会議は終わった。


 ドーラたちはまだ王都を見て回ってないと言うので俺たちは顔合わせの意味も込めてみんなで王都を案内することにした。俺たちともう一つの王都の学校の奴ら、獣人族の代表者の十五人で王都を見て回ったのだが、王都の学校の奴らの動きが少し怪しかった。口数が少なく、こちらを見ようともしない。何か隠している雰囲気だ。対抗戦当日は注意しておこう。俺はキャシーにもそのことを伝え、その日は解散となった。



 そして対抗戦前日、俺たちは獣人族の子たちと一緒に会場へと移動した。明日はいよいよ学校対抗戦だ。明日の朝早くに会場に入り、開始場所へと移動する。開始場所はくじ引きでき決められ、そこから戦闘開始となるのだ。俺たちは集合場所を決め、直ぐに合流できるようにした。もちろん、その集合場所はもう一つの王都の学校の奴らには教えていない。別の場所を教えた。なんだか裏切る雰囲気だしな。

 獣人族の子たちと合流したら、もう一つの王都の学校の奴らの所へ行くつもりだ。


 夜、俺たちはハンドサインの確認をしてから解散した。ハンドサインを決めたのは隠密行動をするためと、俺が喋れないからという二つの理由からだ。相手の学校は数が多い。だから一校ずつ仕留めていこうと思っている。俺たちを探すために散開したところを攻撃するのだ。どうせ大した連携は取れてないだろうからな。一校だけが相手なら直ぐに倒せるはずだ。


 

 さて、明日は勝つぞ!


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