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115話

 ドーラと話しているとガス君がやって来た。あたりは既に暗くなり始めている。そろそろ夕食か?ガス君は呼びに来てくれたようだな。


「あれ?コボルトがどうしてここに……?」

[あの子は私の家族だよ。名前はガス。]

「家族、ですか。……にしてもレーヌさんは本当に珍しいですね。ワイバーンに続いてコボルトまで。本当に猿人族ですか?」

(?)

「あはは、気にしないでください。大丈夫ですよ。私はレーヌさんを『悪魔』だなんて思ってませんから。」


 なんだ、知ってたのか。まぁ、俺の居場所を誰に聞いたのか知らないが、居場所だけじゃなく、そういう情報が入ってきてもおかしくはないな。


「バウッ」

「あ、お食事の時間でしたか。すいません、長い事話してしまって……。」

[いや、こっちも楽しかったし、こっちこそごめんね。それとありがとう。]

「いえ、こちらこそありがとうございます。」

[あと、気になったんだけど、ドーラはガスの言葉がわかるの?]

「え?あ、はい。わかりますよ?そう言えば猿人族はコボルトの言葉がわからないんでしたね。獣人族はコボルトの言葉がわかるものがほとんどですよ?一種の能力ですね。当たり前すぎて能力に名前なんてついてないですが。」


 ふむ、ガス君の言葉がわかるとか羨ましいな。動物と話せるようなものだろう?獣人族はそれが当たり前かぁ。


[そうなんだ。ありがとう。]

「いえ、どういたしまして。今日は本当にありがとうございました。また来てもいいですか?」

(コクッ)

「ふふ、ありがとうございます。では、お言葉に甘えますね?」

[いつでも来てよ。]

「はい、そうします。では、さようなら。」

(フリフリ)


 そう言ってドーラは帰って行った。俺はドーラが見えなくなるまで手を振って、寮へ帰る。あ、一人で帰してしまったが大丈夫だろうか。道に迷ったりなんてことは……?まぁ、俺じゃないんだし大丈夫か。




 寮へ戻り、夕食、談話、風呂を終えてから部屋に戻った。さて、いよいよレオナールからの手紙だ。レオナールからの連絡は本当に久しぶりだな。俺も手紙は送ってないが、レオナールも手紙を送ってこない。お互いに連絡を取らないとかちょっとアレだな。関係が薄いというかなんというか……。まぁ、紙は高いので仕方ない。1枚に付き銀貨二十枚だ。一日の稼ぎが吹っ飛ぶ。下手したら二日分の稼ぎだ。毎日は送れない。それに送る方法も、近くに行く商人に頼まなければいけないし……。そんな知り合いはおじいちゃんとヴァーノンくらいしかいないが、二人とも王都で会わないしな。いつ王都に来てるかもわからないし、忙しいんだろう。ただ、せっかく手紙を送ってきてくれたんだ。返事は書こうと思う。




 レオナールからの手紙の内容はこうだ。

 初めの方は俺の心配と俺がいなくて寂しいとか、いつもの調子だった。それが終わると次は近況報告だ。レオナールは白髪が生えてきてもう年だと感じただとか、シモンに恋人ができて、そのうち結婚する予定だとか、ベルがまだ一人でちょっと焦ってるだとか、そんな感じだ。シモンが結婚か。シモンの年齢的にはちょうどいいのか?さっさと結婚すればいいのに。

 近況報告が終わり、最後にお願いされた。もうすぐ戦争がはじまり、レオナールとシモンは戦争に参加するそうだ。それで、一人になってしまうベルがそのうちこっちに来るらしく、来たら迎え入れてほしいとのこと。ベルと一緒に暮らすのはいいが、戦争に参加するのか。町が離れてるから大丈夫かと思ったが、どうやらそうじゃないらしい。戦争だもんな。いろんな町から徴兵されるんだろう。少し心配だ。まぁ、レオナールは元英雄だし、シモンは英雄の息子で、それなりに強かった。大丈夫だと思うが、それでもやっぱり心配だ。


 しかし、心配しても俺にはどうすることもできないな。それより、今できることをだ。とりあえずベルがここに住めるように手配しないと。エルザに訊いてみよう。



「あら?どうしたの、レーヌ?」

[ちょっと訊きたいことが。私の家族が増えるんだけど、ここに住める?]

「ペットが増えるの?」

[違うの。故郷の家族が、戦争で一人になっちゃうからこっちに来たいんだって。]

「……詳しく聴かせて?」


 俺はベルが一人になってしまうことを説明した。

「そう……。学生だったら問題ないんだけど、部屋は一緒でいいのよね?」

(コクッ)

「わかったわ。なら、私の手伝いとしてここに住めるように校長と掛け合ってみる。たぶん大丈夫だと思うけど、駄目だったら他の方法を考えましょ?」

(コクッ)


 まぁ、学校の寮だし、学生じゃない人がただで入るのもなぁ。費用はどれくらいなのかわからないし、俺に払えるかどうか。仕事が与えられるならそれでいいだろう。ベルだって毎日何もしてないんじゃ暇だろうし、エルザを手伝ってもらおう。


 

 エルザと話を終え、再び部屋に戻ってきた。そろそろ寝るとしよう。手紙の返事はまずは紙を買いに行かなきゃな。次の休みの日は獣人族の人たちと面会があるし、その次の休みの日だな。忘れないようにしないと。



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