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107話

6月1日 誤字修正

 1の月になり、授業が始まった。授業では、算術は簡単な掛け算しかやらないので現代知識チートで無双状態。言語はこの大陸の言葉ではなく、別の大陸の言葉を勉強中で、文法とか大して変わらないので難しくない。生物は前の世界でも得意だったからな、と言うか、やってる内容は攻略本読んでる感じだ。この生物の属性はこれで、弱点はこれ、この辺に生息している、とかである。生息地を覚えるのだけは諦めた。


 前半の授業が終われば、後半は武術の授業だ。小等部では教官が見てくれていたが、中等部では放任主義だ。仲間同士で打ち合うもよし、個人で素振りや気術の訓練もよし、人数で集まって模擬戦なんかもやる。魔法の使用も特に禁止されてはいない。すべて自己責任だ。

 まぁ、俺はぼっちなので、いつも一人で訓練をしている。エリザベートは魔道専攻だし、セリーヌは座学専攻だ。なので俺は一人で盾様を振り回したり、鎖を投げたりだ。たまに魔法が飛んでくるのだが、武術専攻の奴らの魔法なんてたかが知れてる。鋭い魔法はほとんど飛んでこないので適当にやり過ごしている。避けたり、鎖で弾いたり、食らったり。

 


 先日の俺が貰った素材は防具屋に持って行って、防具にしてもらっている。盾様もそろそろボロボロだし、新調しようと思い、それも頼んだ。すべてお任せで頼んだので、どんなものが出来るのか楽しみだ。できるのは大体後1か月ほど掛かるそうだ。




 今日も俺は訓練場での訓練をする。しかし、今日は一人ではない。


「レーヌ、今日はよろしくね。」

「レーヌちゃん、よろしくね?」

(コクッ)


今日は座学専攻の連中と共同授業だ。月に数回はある。体を動かさずにずっと勉強っていうのも体に悪いからな。運動不足解消のために月に数回武術の授業はどの専攻にもある。


 俺はアミラに気術を教えながらセリーヌと打ち合った。やはり人とやるのはいいな。イメージ相手に素振りするのと全然感覚が違う。毎朝ガス君とは打ち合いをしているものの、同じ相手ばかりだと飽きてくる。たまには違う相手ともやりたいのだ。

 アミラに教えている気術は『キネティックサイト』だ。動体視力がよくなる気術で、体内で完結するので足から気力が出るアミラでも問題なく使える。体内で気力を操るため、常に気力を感じることができて、難易度は下がると思うのだが、アミラは何やら苦戦している様子。俺の『気視』は体の内側を見ることはできないからな。体外へ出てきた気力しか見ることができない。なので何が間違っているのかと言うアドバイスができないのだ。アミラ一人でがんばってもらうしかない。




 エリザベートが迎えに来たので授業を終え、寮に帰る。武術の授業は終了時間も自由なのだ。放任主義すぎるだろうとも思うのだが、まぁ、高等部の入試はそれなりに大変らしいし、サボってたら入学できないんだろうな。

 寮への帰り道、今日はアミラも一緒に寮へ行く。最近、アミラはよく寮へ遊びに来るようになった。ギガース討伐から学校が始まるまではアミラはダンジョンに行かなかったらしく、俺たちは遭遇することはなかったのだが、学校が始まってからはよく一緒に帰っているのだ。寮に来て、話して、帰る。そんなことを繰り返している。俺にもとうとう、家に遊びに来る友達ができたのだ。何という感動。この世界でそんな友達ができるなんて……。

 まぁ、そのかわり、アミラが以前よくつるんでいた連中とは不仲になってるようだ。あんまり話しているのを見かけない。あんなことがあったんだから仕方ないんだけどな。なんだかアミラをぼっちの世界に引き込んだようで気が引けるが、気にしたら負けだと思うので気にしないことにしている。


 さて、今日もアミラは俺の部屋に来てリビングでお話だ。ついでにエリザベートもいる。エリゼベートも暇なのか、アミラが来るとアミラが帰るまでは俺たちと一緒にいるのだ。


「おっじゃましまーす。」

(コクッ)

「いらっしゃいですわ。」


おい、エリザベート。ここは俺の部屋だ。つまりお前は客人。お邪魔しますわと言え。


 とりあえず、席に着き、イネスがお茶を用意する。俺はお茶とか淹れられないからな。もちろんガス君やラインスちゃんも。なのでイネスが淹れる。その間に、ガス君がお菓子を出してくれた。


「またこれですの?不味くて食べられませんわ。」

「でも、慣れれば大丈夫だよー?我慢すればイケるよ。」


お菓子なんてこれしかないんだから仕方ないだろう?このお菓子だって苦いが、それでも癖になるおいしさだぞ?現に、アミラは最初、苦くて食べられなかったのだが、俺が食べているから私も、と言う事でがんばって食べていたのだ。今ではちゃんと食べられるようになった。まぁ、おいしいとは感じていないみたいだが。


「あのね、二人とも聞いて!今日、政治の授業があったんだけどね?猿人族の現国王は誰かって質問されて、私わかんなかったの。で、適当にペペロンチーノ19世です。って答えたらね、当たったの。ねぇ、凄くない?」

「アミラ、国王の名前くらいは覚えてなさい。常識ですわ。ねぇ、レーヌ?」

(コクッ)


そうかー。この国の国王はペペロンチーノ19世っていうのかー。なんかおかしくね?


「そっかぁ。でももう覚えたもん!ペペロンチーノってなんだかいい響きだよね。でも、どうしてペペロンチーノなのかな?」

「初代国王の名前がペペロンチーノ・カトウ様という名前だったらしいですわ。だから、国王になったとき、ペペロンチーノと言う名前に改名するらしいですわ。」


パスタとは関係ないのか。まぁ、この世界でペペロンチーノは食べたことないし、偶然かな?


「そんなことより、お腹すきましたわ。レーヌ、何かありませんの?」


ずうずうしい奴め。既にお菓子が出ているだろ?


[お菓子が出てるけど?]

「これ以外に!ですわ。」

[ないよ?]

「お菓子じゃなくても構いませんわよ?」


はぁ、仕方ない。持ってくるか。ガス君はエリザベートの膝の上なので動けない。なので俺が持ってくるしかないのだ。ちなみに、ラインスちゃんはお散歩中だ。[所有者:レーヌ]と書いてある首輪を付けて、学校の上空を飛び回っているだろう。校長先生に許可を貰っているので問題ないはずだ。



 厨房に行き、干し肉を取ってくる。俺の部屋にある食べ物と言えばあのお菓子か干し肉だ。ダンジョンに行くたびに作ってるからな。増えてく一方だ。定期的に肉屋に売りに行っているがあんまり高く売れないので自分で消費している。ラインスちゃんは干し肉を食べないので生肉と交換してもらったりもしているが、夜にこっそり外に出せば、自分で獲物を取って食べてくるのであんまり必要なかったりする。


「やはりこれはいいですわ。」


 エリザベートは肉が好きだ。肉食系女子である。だが、何故か肉の中では干し肉が好きらしい。干し肉なんて硬くて食べにくいと思うのだが、それでも干し肉がいいらしい。で、アミラが寮に来た時はたまに強請るのだ。


「エリザベートちゃん変わってるねー。お嬢さまなのに干し肉が好きなんて。」

「アミラほどじゃありませんわ。」


 まぁ、俺から言わせれば2人とも十分変わってる。『罪人』兼『魔王』の部屋に遊びに来てるんだからな。ただ、俺はそんな2人を大切にしたいと思っている。数少ない同年代の友人だ。2人との出会いや友達になるきっかけはなんだかハチャメチャだった気がするが、これからも仲良くやっていきたい。だって、俺は2人が大好きだから。



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