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105話

5月29日 誤字修正

「本当にギガース倒しちゃったんだー。すごーい。」

(コクッ)


 朝食の時にアミラが言ってきた。そうですよー。本当に倒しちゃったんですよー。『超悶絶!』が効かなかった時はどうなるかと思ったが、倒せてよかった。


「……でも、あんまりおいしくないね、このお肉。」

(コクッ)


まったくだ。あんなに苦労して取ったので、試しにお肉を食べてみたのだが、おいしくない。硬いし、臭いしでもうだめだ。しかし、ラインスちゃんはこの肉が気に入った様子なのでラインスちゃんにあげることにした。ただ、そう何日も生肉が持つわけじゃないので残りは冷石で冷やして保存だ。冷凍肉である。


「レーヌ、アミラ、早く食べたらどうなんですの?私は早く王都へ戻りたいですわ。」


 ギガースの肉を食べるのを早々に諦め、俺が作った狼の干し肉に噛り付いていたエリザベートがそんなことを言ってくる。朝、みんなで話し合って、王都に帰ることになったのだ。エリザベートはベッドが恋しいのだろう。俺だって早く柔らかいベッドで寝たいし、ガス君を抱き枕にしたい。しかしだ、食べ物を残すわけにはいかない。俺のポリシーだ。奪った命は食さなければ。で、お前が残した分も食べてるんだ、エリザベート。もう少し待ってくれ。



 無事朝食を食べ終わり、帰る準備をする。ギガースの皮、眼球、ストーンウルフの石を俺が持ち、狼の干し肉と薬草類をエリザベートとアミラが持つ。狼の皮はイネスとラインスちゃんが担当した。他の骨や肉、旅の装備などはガス君担当だ。ギガースの肉はラインスちゃんと俺たちで半体分は食べてしまったので、残り一体半分とギガースの骨2体分、ストーンウルフの骨が28体分、その他もろもろをガス君に持ってもらう。明らかに荷物の方が重いし、大きいのだが、ガス君はこれを持ち上げてしまうんだからすごい。ホントありがたいな。

 ちなみにラインスちゃんは肉をたくさん食べ、さらに狼の皮で総重量が多くなりすぎてしまい、飛ぶことができないので這って移動だ。まぁ、寮では殆ど這って移動なので珍しくはないんだがな。見た目が少し可哀想だ。でも仕方ないのだ。命を粗末にするわけにはいかない。利用できそうなものはすべて利用しなければ……。まぁ、それでも内臓類は足が早すぎるのでダンジョン内に捨ててきた。ウルフやギガースの餌になるんだろうな。特にストーンウルフは狩りすぎた感があるのでしっかり復活してもらいたい。


 モタモタしてたら、だいぶ高いところまで太陽が上がってしまった。こりゃあ、王都に着くのは夜になりそうだな。荷物も多いし、歩くのも遅くなる。できれば日が落ちる前に着きたいが、無理そうだな。




 途中、昼休憩を挟み、移動を続けた。しかし、案の定、夕方になっても王都は見えてこなかった。夜の移動は危険だし、この辺で野営とするか?


[今、どの辺?]

「えっとね。この辺?」

「違いますわ。この辺ですわ。」

「……お嬢様、今はおそらくこの辺かと……。」


三人ともそれぞれ違う場所を指した。ちなみに、アミラ、エリザベート、イネスの順に王都から離れた位置を指している。アミラが指している位置ならちょっと無理すれば、今日中に王都に着けると思うが、あとの二人の位置だと、この辺で野営をした方が得策だな。イネスの位置に至っては予定の半分も行ってない。


「ガウッ」


 ガス君が地図を指してくれた。その位置は大体イネスと同じ場所だ。野営決定だな。地図を見る限り、近くに川もあるようだし。


「あれー?もう少し進んでると思ったのになー。」

「わ、わざとですわ。私はガスを試したんですわ。」

「……野営の準備をしましょうか?」

(コクッ)


 俺たちは野営の準備を始める。ガス君が薪用の木を拾ってくる。その間に俺たちはテントを張ったり、かまどを作ったり、水を汲んで来たりする。来る時よりも人数が多いし、エリザベートよりも働いてくれるのでスムーズに準備が終わった。

 ラインスちゃんに火を付けて貰い料理を始める。今日の晩御飯は朝、昼と同様、ギガースの肉だ。もちろん、炭水化物としてパンを用意しているが、野菜はない。保存が利かないからな。あとは発酵乳だ。これは保存が利くから、旅にはもってこいだな。栄養補給にもなる。

 調味料で適当に味付けし、ギガースの肉に齧り付く。臭い。まぁ、わかってたけど。流石にちょっと変化が欲しいな。発酵乳、簡単に言うとヨーグルトみたいなもんだ。ドロドロである。なので、変化を求めて俺はこのドロドロを肉に塗り付けて食べようと思う。臭みを消すための香草とかあればよかったんだが、持って来てない。と言うか香草と言うか香辛料は結構高いので寮の厨房から拝借した分しかない。俺だけ使ったら喧嘩になる。


 ドロドロを塗った肉を食べてみた。……不味くはないんだがなぁ。すっぱくて臭い。決して不味くはないんだが、まぁ、おいしいってわけでもない。うーん、今度はパンに挟むか?物は試し、今度はパンに挟んで食べる。

 やっぱり臭みを消さないとどうしようもないな。香辛料とか香草を持ち歩かないとな。どんな肉が仕留められるかわからない。これから旅に出るときに必要なものリストに香辛料を追加した。


 エリザベートたちも俺の食べ方を真似して食べ始めた。ん?エリザベートがギガースの肉を食べてるなんて珍しいな。昼も俺の干し肉を食べていた気がするが、今回はギガースの肉を食べている。パンに発酵乳を塗って、ギガースの肉を挟む。そして何か振り掛けて……、香辛料使いやがったな!クソッ、俺だって香辛料使いたいのに!

 香辛料をアミラにも手渡し、アミラが香辛料を掛ける。次は俺か?……あれ?香辛料の入っている袋が再びエリザベートの手の中へ。おい!順番守れよ!


「あら?レーヌも欲しいんですの?仕方ありませんわね。はい。」


手渡された袋はなんだか軽い。まぁ、そんなに大きい袋じゃないからな。香辛料だって重いわけじゃないし。

 俺は袋を傾け、ギガースの肉に香辛料を……。さかさまにしても香辛料は出てこなかった。ですよねー。わかってました。若干エリザベートの顔がニヤけてたし。もういいよ!俺は我慢して食べるよ!でも、今日はガス君を貰うからな!




 何とか夕食を食べ終わり、就寝する。一人で。ギガースの肉と格闘しているうちにガス君を取られた、アミラに。そう、アミラにだ。あんないい寝顔されたら奪うのが可哀想になる。はぁ、今日もまた俺は一人だ。ラインスちゃんは今日一日飛べなかったからな。散歩に行っちゃってていないし、俺は一人寂しく毛布に包まって寝た。


 その後、イネスと見張りを交代したが、その時はラインスちゃんがすり寄って来たので、ラインスちゃんに包まって見張りをした。温かくて眠くなる。逆に地獄だったりした。



明日は更新できないかもしれないです。スイマセン。

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