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100話

5月25日 誤字修正

 ダンジョンに入り、俺は耳を澄ませる。ギガースの足音を聴くのだ。直ぐに聞こえてきた。俺は音のする方へ走り出す。周りはガサガサと騒がしい。どうやらストーンウルフが先に見つかった様だ。俺は立ち止まり、盾様を地面に置く。盾様よりも手袋の方が効率がいいからな。視界も広がるし。何の効率がいいって?そんなの『超悶絶!』に決まってるだろ?あれが一番ストレス解消になる。


 俺はわざと隙を作るため、構えを解く。構えを解いた途端、ストーンウルフが襲ってきた。俺の身体に噛みついてくる。しかし、俺には効かない。そんなものどうってことない。痛みはないし、血は出ない。辛くなんてない。アミラの心は今、こんなもんじゃないはずだ。だからなんだってって話だが、そんなの俺にだってわからない。俺はただただストレスを解消をしたいだけだ。アミラは今は関係ない。


 俺は噛みついてきたストーンウルフを片っ端から『超悶絶!』によって倒していく。周りは既に狼の山だ。ガス君が片っ端から皮を剥ぎ取ってくれているだろう。お疲れ様である。だが、俺は容赦しない。ガス君には悪いが次々と狼を苦しみの中へ引きずり込んでいく。



 周りに動く狼がいなくなり、俺はガス君を手伝うことにした。苦しめるだけ苦しめてそれでおしまいでは狼に申し訳ないし、もったいない。命は大切に、奪う方も奪われる方も、な。


 俺達は狼を皮と肉と骨と石に分けて袋に詰めた。鞄は既にパンパンだが、ガス君はまだまだ余裕そうだ。さすがガス君だな。しかし、これでギガースの素材も集めるとなると運べなくなるな。ギガースは群れでいるらしいし、足音からして、大きさもかなりのものだろう。俺もストーンウルフ狩りでだいぶすっきりしたしな。今日はこれでいいか。


 俺は盾様を拾い、ダンジョンを出る。エリザベートたちは既に寝ているらしく、静かだ。皮を冷やすために冷石を使ってほしかったのだが、寝ているなら仕方ない。明日でいいか。今は冬だし、そのままでも冷やせると思う。ちなみに、冷石と言うのは魔力を流すことによって冷やすことができる鉱石で、牧場でレオナールが使ってたあれだ。一応魔術に分類されるので俺には使えない。なので他の人に頼むしかないのだ。


 俺とガス君は皮を広げてよく冷えるようにし、ラインスちゃんに肉をいくらかあげた後寝た。




 翌日、目を覚まし朝の訓練をしているとエリザベートが起きて一言


「な、なんですのーーーー!」


まぁ、朝起きて周りに狼の皮が大量に広げられてるんだ。驚くよな。


「レ、レーヌ、いったいなんですの?昨晩いないと思ったらこんなことしてたんですのね!」


お、よくわかったな。俺がこれをやった犯人だって。まぁ、こんなことできるのは俺くらいしかいないか。ちなみに、倒した狼の数は数えたら28体だった。乱獲である。群れ1つ仕留めたからな。そんなもんだろ。


「はぁ、もういいですわ。今朝の食事は狼の肉かしら?」

「はい、レーヌ様が大量に取ってきてくださいましたので。」

「そう、イネス?食事はもうできてるのかしら?」

「はい、できております。食事になさいますか?」

「そうですわね。今アミラを起こしますわ。」


ふむ、食事か。狼の肉ってどんな味なんだろうな。


「おはよーう。」


アミラが起きてきた。ふむ、元気そうだな。一日で気持ちの整理ができるとは、なかなかの精神力だな。


 皆で火を囲んで朝食をとる。ラインスちゃんは昨日に引き続き狼の生肉だ。


 ストーンウルフの肉はちょっと臭みがあるがまずくはないな。イネスの腕だろうか?エリザベートが文句を言わずに食べていることからおいしい料理に分類されるのだろう。


「おいしいねー。これは何のお肉ー?」

「アミラ、周りを見てわかりませんの?」

「うーん、なんだろう?えーと、ギガース?」


え?ギガースって毛むくじゃらなの?でっかい巨人を想像してたから人みたいな肌何だとばかり。


「……ストーンウルフですわ。」

「そっかー。じゃあこの毛皮はストーンウルフの?」

「そうですわ。」

「いっぱいだねー。私、これに追っかけられたのかー。」


アミラは徐に立ち上がり、広げられた毛皮の方へ歩いて行く。


「こいつめっ!えいっ!」


毛皮を蹴りだした。大丈夫だろうか、この子。昨日頭でも打ったのか?それともショックでこんな……。


「レーヌ、アミラはいつもこんな感じですわ。」


 顔に出てたらしい。エリザベートがそう耳打ちしてきた。エリザベートも俺の表情を読むのがうまくなったものだ。


「ふぅー。満足ー。」

「早く食べないと冷めますわよ?」

「わわわ。そうだよね!」


 戻ってきて早々、アミラは食事を再開する。しかも結構な勢いで。あ、そうだ。今のうちに護衛がいなかった件について訊いておこうか。


(チョンチョン)

「ん、ほうひはほ、へーふはん?」


うん、飲み込んでからでいいよ?やると思ったけど。


[昨日、傭兵を雇ったって言ってたけど、護衛は?]

「ほへいはほうへいはんだほ?」

「なんて言ってるかわかりませんわ!」

「ん、んぐ。えっとね、護衛は傭兵さんだよ?」


いや、それは知ってるんだが、なんで自分の護衛がいないかってことだよ!説明が難しい!


[護衛が自分の兵士じゃなくて、傭兵だたった理由が知りたいんだけど?]

「へ?ひふんほへいひはんへほっへはいほ?」


おい、話した傍から口に物を入れるな!会話にならんだろうが。


「レーヌ、アミラの食事が終わるまでは諦めた方がいいですわ。」

(コクッ)

「ほんはほほはいほー!」


 もういいよ。俺はアミラが食事を終えるまで待つことにした。まぁ、おいしそうに食べてくれるし、昨日狩って来たかいがあったというものだ。ただ、そろそろ塩漬して干し肉にしないと腐りそうだがな。一応塩は持って来ているので問題ないが、帰りはガス君にがんばってもらおう。



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