94話
5月24日 誤字修正
あれから数週間がたち俺は毎日のように初心者用のダンジョンに行っている。ダンジョンへは俺一人でいっているわけではなく、エリザベートと二人だ。ガス君やラインスちゃん、イネスは会員証を持っていないため、寮で留守番だ。
今日も食堂で朝食をとっているとエリザベートが誘ってくる。
「レーヌ、ダンジョンへ行きませんこと?あなた一人じゃ心配だから私が付いて行って差し上げますわ。」
一緒に行きたいなら行きたいって言えばいいのに、毎回こんな感じで誘ってくる。まぁ、エリザベート一人で行かせると危ないからな。俺は毎回付いて行くことにしているんだ。こっそりイネスにもお願いされてるしな。エリザベート様を頼みますって。だから俺はエリザベートを守ってやることにしたんだ。
(コクッ)
[いつものとこ?]
「先ずはギルドで依頼を見てから決めようと思いますわ。レーヌはいっつもせっかちですわね。」
(コクッ)
「自分で認めるなんて……。レーヌにはプライドがないんですの?」
せっかちの部分に頷いたわけじゃないんだがなぁ。訂正するのも面倒なのでそのまま流すが……。
朝食を終え、俺たちはギルドへ向かう。ギルドへの道のりならもう覚えたので一人でも行ける。方向音痴だって道さえ覚えれば行きたい場所に行けるんだぞ!
掲示板を見て、いい依頼がないかを探す。ちなみに今の俺のランクは2だ。初心者ダンジョンの依頼がなかなかないからな。素材集めだけだとどうしてもランクが上がりにくいのだ。
依頼を探しているとエリザベートがこんな依頼を見つけてきた。
[急募! 討伐:ギガース×1 報酬:銀貨200枚 備考:推奨ランク5以上 反復可 倒した際は目玉をお持ちください。]
報酬はいいが、問題は推奨ランクだ。俺のランクは2でエリザベートのランクは3だ。ランクが2つも高い。しかもギガースのいる場所は何処なんだ?授業でも出てないし、俺はソイツのいる場所を知らないぞ?
[ギガースがどこにいるか知ってるの?]
「当り前ですわ。でなきゃこんな依頼取ってきませんわ。」
[何処?]
「場所はいつものダンジョンとは逆側にあるダンジョンですわね。難易度はわかりませんわ。」
おいおい、危険じゃないか?ただ、報酬がいいからな。1体に付き銀貨200枚。二人で分けても銀貨100枚だ。俺だけなら死ぬ事は無いと思うんだが、エリザベートまでとなると守り切れるか……。
ふと掲示板を眺めているとギガースの文字が飛び込んできた。ギガース関連で他の依頼があった様だ。
[収集:ギガースの皮×1 報酬:銀貨10枚 備考:推奨ランク5以上 反復可 皮を剥いでお持ちください。]
これと一緒に受けると効率がいいわけか。これで1体倒すごとに銀貨105枚貰えるわけか。うーん、迷うなぁ。
「レーヌ、行きますわよ。行かないのなら置いていきますわ。」
俺が悩んでいるとエリザベートが行ってしまった。はぁ、仕方ないか。俺は掲示板からもう1枚の依頼を取り、エリザベートの後を追う。
「こんにちは。本日はこの依頼をお請けになるんですね。少しランクが高いですが大丈夫ですか?」
「問題ありませんわ。私を甘く見ないことね。」
「申し訳ありませんでした。ではこちらで手続いたします。少々お待ちください。」
[ギガースが出るダンジョンで何か他にいい依頼はないの?]
「そうですねー。これなんかどうですか?」
[収集:ストーンウルフの皮×10 報酬:銀貨8枚 備考:推奨ランク3以上 反復可 皮を剥いでお持ちください。]
[収集:ストーンウルフの石×10 報酬:銀貨8枚 備考:推奨ランク3以上 反復可 額の石をお持ちください。]
[収集:ポイズンリーフ×100 報酬:銀貨1枚 備考:推奨ランク2以上 反復可]
[収集:赤い実×50 報酬:銀貨1枚 備考:推奨ランク2以上 反復可]
いろんな依頼を出してくれた。それらをすべて受けて、手続をしてもらった。
「ではがんばってくださいねー」
(フリフリ)
さて、いざダンジョンへ!
「何処へ行きますの?」
あれ?門ってこっちじゃなかったっけ?
「先ずは寮へ行きますわ。ダンジョンまでは1日掛かりますもの。準備してから行きませんと。レーヌ、貴女、野垂れ死にますわよ?」
そっかー、移動に丸1日かぁ。1日無駄にするんだ。しっかりと稼がせてもらおうか。
俺たちは寮に戻り、旅の準備をした。エルザの弁当を食べ、いざダンジョンへ。今度はイネスやガス君、ラインスちゃんも一緒だ。主に荷物落ち要員として。あとは道中何があるかわからないからな。護衛も兼ねている。
クリスが護衛を貸そうかと言ってくれたが、戻ってくるのは数日後になると思う。それまでクリスの護衛がいないんじゃクリスだって町に行けなくなるからな。だから断った。気持ちだけ十分だ。
新しいダンジョンはどんなところなんだろうな。楽しみだ。
一応ギルドで地図を買ったのでガス君、ラインスちゃんと一緒に地図を見ながらダンジョンへ向かった。