プロローグ
むかーし書いていた稚拙な小説を書き直しました。
誤字・脱字や表現のおかしなところなどがありましたらご報告いただきますと嬉しいです。
ピロン♪
休日にはめったに鳴らないスマホがLINEの通知を知らせる。
なんなんだ、せっかくいい気持ちで寝ていたというのに。
”珍しいなぁ…誰だろ”
寝ぼけまなこでLINEを開いた。川田からだ。
”たっちー!今度の日曜暇?久しぶりに遊ぼ!!”
いきなりどういう風の吹き回し?まぁいっか、予定もないし。
”久しぶりすぎやしませんか。暇だよー。どこいく?”
簡単な文を返す。 ピロン♪返信はやっ!
”駅前に新しいショッピングモールできたのー!そこで買い物しよ♪”
駅前って…自分はそこに住んでるからいいけど。こっちは離れてるっつの。
高校を卒業してから隣の県に一人暮らしをしているので地元に戻るのは面倒だ。
”せめて中間地点とか…時間もかかりますゆえ…”
交通費も馬鹿にならないんだから!
”えー、めんどくさいー!たっちーが来て!!”
…はぁ。そういえばこういう子だったなぁ…
”わかった。12時に南口でいい?”
”うん!楽しみ!じゃあ日曜日ね~。”
ふぅ。誘ってくれるのはいいけど勝手なのはかわらないなぁ。
私、橘涼子とメールの相手、川田美佳は高校時代からの友達。
…といっても高校卒業してからはあまり連絡も取っていなかったのだけど。
数少ない高校時代の友達だから無碍にはできない。
なんで数少ないか、というと…つまり、ねぇ?察してください。
まぁそんなこんなで川田と遊ぶことになったし、着ていく服でも買いに行こうかなー。
一人で。…切ないなぁ。
<川田視点>
「…よし、と。裕樹ぃ、たっちー来てくれるって。」
「マジ!?ふっふっふ、これでまたセフ…ゴホン、友達が増える!」
ほんまにこいつは…そればっかりやなぁ。
「ごまかしても聞こえてるし。てか紹介した子たぶらかしすぎじゃない?」
「だってお前の紹介の子ってなんか微妙な子多いし。本気になれる子いねーし。ちゃんとオレの好みの子紹介しろよな!」
人の気持ちも知らんと、好き放題言いやがって!
「(好みの子なんて紹介するわけないでしょ…)」
「え、なんか言った?」
「何でもない!それより来週の日曜だからね。すっぽかさないでよ!」
「おう!今度の子はかわいいといいなー。なぁ、どんな子?かわいいの?」
ぽっちゃり系のがり勉ですー、て言ったらどんな顔するかな?まぁ今言ったら面白くないし黙っとこ(笑)
「めっちゃいい子だよ。頭もいいし話しててもおもしろいし!」
中身は美人なのよね(笑)
「見た目に触れない、ということはまた微妙なルックスなんだな…類友か。」
「ちょっとそれ失礼じゃない!?もう女の子紹介しないからね!」
本当は…一人も紹介なんてしたくないのに。気づいてよぉ…
「ごめんごめん!冗談だって!美佳様愛してるー!」
な~んて私の気持ちなんてわかるはずもなく無神経なことを言う。
「はいはい、わかったわかった。ちゃんとどこ回るとか決めといてよね。」
「どうせいつも3人で行動するんだし、決めといてよ。向こうの好みなんて知らないし。」
「なんで私が!?ちゃんとエスコートしなさいよ。あと、たっちーに裕樹のこと紹介するって言ってないから。」
「はぁ!?紹介って伝わってないと変な感じになるだろ。」
「男紹介するとか言ったら絶対来てくれないもん。純情だから(笑)」
「純情とか…めんどくさいパターンか…まぁ一回会っておしまいだしいっか。」
そうそう、それが狙いなんだから。彼女なんて絶対に作らせない。
裕樹とカフェで別れてから、最後にたっちーに会ったのはいつだったか思い返してみる。
成人式だったっけ…?高校の時よりはましになってたけどそれでもかなりぽっちゃりだったのを覚えている。
高校時代のたっちーは遠くから見るとまるで正方形だった。言いすぎかな?でもかなり横幅があって恰幅のいい女子だった。そんなたっちーにひそかに優越感をもっていたんだけど。
普通そんな容姿だったらいじめのひとつやふたつあってもおかしくないのに、たっちーは不思議と人を惹きつけた。やさしいし、勉強もできて面倒見もよかった。たっちーに会うまで人間は見た目で決まるんだと思ってたけど、中身で慕われる人もいるんだって思い知らされた。
実際、高校時代にモテていた男子もたっちーのことを好きだった、とこの前の同窓会で聞いたばかり。
まぁでも裕樹はほぼ外見重視だし、たっちーのことを好きになるなんてありえないよね。
たっちーもチャラい男は苦手だったし、今回もなんとかやり過ごせるはず。
裕樹の彼女になるのは私なんだから。
<橘視点>
あ~もうすぐ日曜かー。川田に会うの久しぶりだなー。
成人式以来か。もう看護士になったんだっけ?勉強頑張ってたもんな。
…川田に会ったら、ううん、高校時代の知り合いに会ったら嫌でも高校の頃を思いだす。
ぶくぶくに太って、冷蔵庫みたいな体。年中下膨れの顔。コンプレックスの塊だった。
あの頃は道を歩くたびにすれ違う人に陰口を言われているのではないかとずっと周囲の目を気にしていた。
この人は私を見て笑っている。あの人は私のことを汚いものを見るような目で見ている。そんな被害妄想を募らせる日々。唯一自慢できることといえば勉強だった。私の容姿を笑う人を見返したくて、必死に勉強した。志望校に合格し、逃げるように地元を離れ、大学の近くに暮らし始めた。
心に余裕ができ、痩せる決意をした。かなり時間はかかったが、5年かけてやっと平均体重まで体重を落とした。
これでコンプレックスはなくなったかと思ったけど、やっぱり僻み≪ひがみ≫根性は直らないものだ。
卑屈な性格とはもう少し付き合っていかなければならないみたい。
少し暗くなってしまった。いけないいけない。
せっかく久しぶりに会うんだもん、話すネタでも考えておくか。
メモ、メモ…と。
…文章を書くのって難しいですね。
まったくまとまらん。