生まれたての心
視界が炎で埋め尽くされ――炎が四方に霧散した。
まるで、炎が刀で細切れにされたかのようだった。
炎の中心点。
倒れる筈だった少年が無傷で立って居た。
捻れが加えられた地面での攻撃が一夜に当たる三センチ程で真下に突っ込んでおり、やはり一夜にダメージを与えることはできていなかった。
それを自動人形は一瞬、笑んでいる一夜を呆けたように見る。
そして、ようやく自分の攻撃が防がれたのだと気づく。
負の感情が爆発的に膨れ上がった。
圧倒的な実力差に絶望する。
理解不能な技が相手にあることに恐怖した。
生まれたての心が爆発する。
「な、何をしたぁぁぁぁッ!」
自動人形が感情を剥き出しにして吼え、一夜に突進した。
対して一夜は化けの皮が剥がれ落ちた自動人形に向かって言う。
「俺の空間制御はお前のお陰で進化したみてえだ」
唐突に、一夜の両隣――洋服店とレストランから地面が盛り上がった。
ズッ、と。
一気に地面が隆起した。店の外壁がアスファルトの波に削り取られ、一夜に襲いかかる。
大きさは縦横二〇メートル。
一夜は指先一つ動かすことはなかった。
空間を操る。
倒れている人達がアスファルトの波に巻き込まれる手前の空間を真上に曲げる。
結果。
波が音もなく、そのままの速度で真上に攻撃する。アスファルトは車が急停止したかのように止まり、その衝撃でアスファルトの波を生み出した地面が嫌な音を立ててひび割れた。
自動人形は声にならない絶叫を喉から迸らせながら一夜の眼前に迫り来る。
今気づいたとばかりに一夜は自動人形を見た。
一夜に身体が引き摺られるように走っていた。
恐怖が自動人形の周りに渦巻いているような錯覚がする。
自動人形は狂い叫び、拳を突き出した。
その拳は一夜の顔面を完全に捉えている。
が。
唐突に拳は一夜の顔面を避けるように流れた。
自動人形は全身が緊張で強張ったのが見て取れたが、しかし、許す気などサラサラない。
同情さえしなかった。
一夜は拳を握り締める。
「おわぁあッ!」
自動人形が叫び声を上げながら、腕で頭を守ろうとする。
遅い。
一夜は拳を大きく振った。
拳が自動人形の顔面を捉え、吹き飛ばした。