蝉時雨
掲載日:2026/08/01
五月蝿いくらいに蝉が鳴く
君はわざとらしく
ぎゅっと目を瞑って顔を歪ませてみせた
片手に持ったソーダ味のアイス
「あんまりソーダが好きじゃないのに、どうしてそれを選んだの。」
そう首を傾げてみせれば
君はなにも可笑しいことではないかのように
「だってソーダが一番夏っぽいじゃん」
なんて言ってまた顔をしかめるから
可笑しくて
可笑しくてたまらなくなって
涙が出るほど笑った
五月蝿いくらいに蝉が鳴く
君の首筋を伝う汗が
パタパタと揺らしたシャツに染み込んでいく
雨を浴びているみたいに
僕らへと降りそそぐ鳴き声のせいで
君の声がキレイには聞こえないけれど
見上げているのは同じ空
君が持ってるアイスと同じ色
「味はそんなに好きじゃないけど、夏っぽい青色は好きだよ。」
五月蝿いくらいに蝉が鳴く
それを全部掻き消してしまうくらいの声で
また僕は思いっきり笑った
ご覧いただきありがとうございました。
もう蝉の鳴き声でいっぱいですね。
誰かに届きますように。




