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第五話「革命の意味、眷属の絆」

「ここか、人間の町よりはかなり離れているな」


 ぼくたちはゴブリンがいるという深い森にきた。


「ええ、山向こうには魔人の領地がありますから、対立を避けるため人間たちは近づきません」


「緩衝地帯か...... 町からは特に被害の報告はなかったけど......」


「ええ、森にはいったものが目撃したというだけですね。 おそらく人間たちからも避けているのでしょう」


「......そんな知能があるのに、討伐対象か」


「亜人種は魔人の仲間と思われているのです」


 そうギンチヨの話を聞いて複雑な思いをもち森へとわけはいる。



「魔力結晶も大分たまった」


 鞄一杯になった魔力結晶をみる。


「なにか考え事でも?」


 ギンチヨがきいてきた。


「うん魔力の剣を伸ばすのはかなり有効なんだけど、消費が激しいみたいでつかれるんだ」


「伸ばした分も魔力を消費しますからね」


「前にモンスターが石をはいたことがあったよね」


「ええ、ストーンボアーですね。 木々をえぐるほどの威力でした」


「そう、あんな風に魔力を飛ばしてみようと思うんだけど」


「確かに伸ばさない分の消費は少ないですが、飛ばすという願いがいりますからかなり魔力を消費するんじゃないですかね」


「そうなんだよ。 試してみたけど、飛んだけどほとんど威力はないんだ」


「願いの実現が難しいほど魔力を消費しますから、不可思議なことを起こす魔法ほど魔力消費が多いのはそのためです」


「ふむ、そうか...... 飛ばない魔力を飛ばすんじゃなくて、なにかを飛ばす補助なら......」


 そう話していると、ギンチヨが伏せた。


「いるのか」


「はい、数体隠れています」


 茂みがうごく。 その瞬間、ヒュンという音が聞こえ、ギンチヨが飛びくわえた。 それは木のさきに石の矢じりがついた、そまつな矢だった。


「デテイケ......」


 そう片言の声がきこえると、緑の子供ぐらいのちいさな人が前に数体あらわれ、弓を構えていた。


「そうはいかないんだよ」


「クルナ!」


 矢がいくつも放たれる。 


シールドソード


 飛んでくる矢を魔力の盾と剣で切り裂いた。


 ゴブリンたちは驚いているが弓に次の矢をつがえている。


ランス


 ぼくは剣を伸ばしてその弓を貫いた。


「グァッ!」


 慌てたゴブリンたちはみな森の中にはしっていった。


「大丈夫ですかシンゴ」   

 

「ああ、当たってないよ。 それに...... とりあえず追おう」


 ゴブリンの逃げた方へとむかう。



 ギンチヨの鼻で匂いをたどり、しばらくおうと、川のほとりに板きれの柵でつくった集落らしきものがみえた。


「あれが、ゴブリンの集落か」


「ええ、ほら」


 その柵の向こうに木の板をむねに巻き、こん棒や弓て武装したゴブリンたちが構えている。 その後ろに怯える子供たちがみえる。


「......わざわざ討伐しなくてもいいか」


「放置するのですか」


「多分住みかをまもるためだろうし、さっきの矢も横を狙ったものだった。 おどかして追い返すためだったんだろう」


「かもしれません。 あれは......」


 集落の上空に羽がはえた人らしきものがういていた。


「あれは魔人です。 離れましょう見つかると危険です」


「魔人...... あれが、じゃあゴブリンたちはあいつにしたがってるのか」


 魔人は地上に降り立つとゴブリンを蹴り飛ばしている。


「なんで!?」


「わかりません」 


「しかたない! いくぞ!!」


 ぼくたちはそのゴブリンの集落にむかった。



「下等な亜人どもが、このゼグネアさまに従えぬと申すか」


 魔人はゴブリンを蹴りながらそう恫喝していた。


「ニ、ニンゲンコロス...... オレタチコロサレル」 


 ゴブリンたちは怯えている。


「それがどうした我らの尖兵として、人間を殺しあの領地を奪ってこい」


「ムリ...... ミンナシヌ」


「だからキサマらは、そのために生まれたのだ! 死んでこい!!」


 そういってゼグネアという魔人は、剣をぬくとゴブリンをきりつけた。


「ギャワッ」 

 

「あっ! やめろ!!」


 つい前にでてしまった。


「なんだ人間...... なぜここに、何のようだ死ににきたのか」


「いやだといっていってるだろう。 やりたきゃ自分でやれ!」


「このゼグネアさまに人間ごときがその態度...... いいだろう私じきじきに望み通り殺してやろう! 消し炭となれ!」


 ゼグネアは手のひらに激しい炎をうみだしこちらにはなった。


「ギンチヨ、ぼくはいい。 横に回れ!」


 炎を魔力の盾でさえぎる。 盾はきえていった。


「なに!? 私の魔法にたえた!?」


(魔力の盾が消えた...... かなりの威力だ。 あまり時間はかけられないな)


 横目で倒れたゴブリンをみる。


「ギンチヨ!」


 横にはしっていたギンチヨがゼグネアの腕をかむ。


「ぐっ! なんだこいつは私の肌を貫通するだと!!」


革命レボリューション!! ランス


 槍が魔人の肩をつらぬいた。


「グアアアッ!! 人間ごときが! くそっ!!」


 そう目を血走らせながらゼグネアは飛び去っていった。



「ギンチヨ、ゴブリンは」


「ええ、かなりの出血です。 このままでは死ぬでしょう」


 倒れたゴブリンに仲間が寄り添っている。


「ぼくの革命レボリューション治療はできるかな。 ギンチヨのときみたいにやれば......」


 ギンチヨが倒れたとき、治癒を願うとすこし回復が早かったように思えた。


「可能ですが、かなりの魔力を消費します。  あの時も一日寝込みましたよね」  


「まあ、そうだけど、こんなのをみてしまったら......」


 怯えるゴブリンをギンチヨにさがらせて、倒れたゴブリンの傷口に魔力結晶を当てる。


(......傷よなおれ。 傷よ! なおれ!)


 集中して強く願う。 するとみるみる傷がふさがっていった。


「もう大丈夫でしょう」


「アッ...... ン、シンデナイ」


 目を開けたゴブリンが驚いて目をぱちくりしている。


「ふぅ...... やはり傷の回復はかなりつかれるな......」


 意識がもうろうとして、真っ暗になった。

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