第四話「討伐か、契約か──ぼくが選んだこと」
ぼくは昨日のようにモンスターを倒し結晶を作り続けた。
「かなり戦えるようになった。 この剣と鎧のお陰か。 それで魔力は増えているの」
「ええ、おそらく。 魔力は使えば最大容量が増えます。 革命はかなりの魔力を消費しますので、最大値が増えているのは間違いないかと思われます」
「そういえば、昨日よりはつかれなくなってるな。 このまま魔力をふやせば帰れるのかな」
「ええ、魔力がふえ、魔王城の転移装置で座標を入れれば帰ることはできるでしょう」
「転移装置...... ああ、あの城にあったあれか」
「ただあそこまでいく必要はありますが...... それに眷族を増やした方が最大値はあがります」
「眷族か...... それはあとで考えよう。 他には魔力容量を増やすことだけど...... 消費するには他になにか魔力結晶を使って作るか。 鎧か盾かな。 ん? どうしたギンチヨ」
「......シンゴ、なにかがきます」
ギンチヨが緊張した顔で地に伏せ構える。
(この強いギンチヨが警戒......)
茂みを地響きを立てなにかが近づいてくる。
目の前の大木がへし折れた。 その奥には見上げるほど大きな一本角の亀がいた。
「なっ!? でかい!!」
「さがって!!」
ギンチヨがそう叫ぶと駆け出し、亀へとむかった。
ギンチヨと亀がたたかっている。 ギンチヨが首に噛みつこうとすると甲羅に首がひっこみ、その長いしっほでギンチヨを吹き飛ばす。
(さすがにあの甲羅はギンチヨの牙でも貫けない! ここは剣で...... いや不用意に近づいて、あの尻尾で叩かれたら即死だ)
亀はギンチヨを追撃する。 ギンチヨはなんとか攻撃を避けているが、かなりダメージをうけているようだ。 足がふらついている。
(まずい! さすがにギンチヨが強いといっても限界がある! なにかないか! 革命で......槍、いや弓、そうだ!)
集中して考え剣を亀にむける。
「革命!」
すると剣が伸び亀の頭のあなから中を貫いた。
「ギャウウアウ!!」
そう鳴き声をあげると亀は地面に伏せ動かなくなった。
「......助かりました。 まさかこのレベルのモンスターがこんなところに現れるとは想定外でした」
ギンチヨはよろよろとそばにきた。
「とりあえず帰ろう」
ギンチヨを猫の姿にかえ抱いてすぐ町にかえる。
「もう大丈夫です」
ギンチヨはベッドから起き上がる。 弱っていたギンチヨは二日ほどで回復した。
「よかった」
「あのとき剣を伸ばしましたよね」
「ああ、形を変えるなら可能だと思って、宿にいる間も伸ばしたり縮めたり、薄くしたりもできるようになったよ」
(もっとなにかできそうだ)
ぼくたちがギルドに向かうと、受付嬢が驚いている。
「シンゴさま。 ユニコーンタートルを倒したのですか......」
「ユニコーンタートル...... ああ、あの一本角の亀、そうだけど」
「嘘だろ。 あんな子供が!」
「あの化け物を倒したというの!」
「信じられんな。 数百年はいたやつなのに......」
周囲の冒険者がざわめいている。
「あれは遥か昔からいきているモンスターで、今まで誰も討伐できてなかったのです」
「そうなのか...... 確かに強かった」
(ギンチヨがいなければ戦えもしなかっただろうけど)
「そうですか...... ですがこれはすごいことです。 まだ登録して二日でユニコーンタートルを倒すなんて、国から特別報酬がでています1000万ゴールドです」
「そんなに...... でも持ち歩けないよ」
「ここでお預かりしますので、必要な際はお渡ししますよ」
「わかった。 ありがとう」
ギルドをでる。
「そんな強いやつだったのか」
「ええ、人魔大戦という人間と魔人の大戦以来ということですので、三百年まえからいたモンスターのようです」
「人魔大戦か...... もう魔人たちは大魔王が死んだことに気づいてるかな」
「......おそらく、魔人たちは勢力争いを始めるかもしれませんね」
(それは大魔王には不本意だろうけど...... ぼくは帰りたいんだ)
「それでゴブリンの討伐をうけたのですね」
「うん、安かったし報酬も多い。 ゴブリンってなに? ゲームなら緑の小鬼だけど...... まさか魔人?」
「亜人種族ですね。 魔法によって産み出したとされる存在です。 主に魔人たちの領土で使役されるものです」
「つまり家臣みたいなもの?」
「いえ、奴隷といったほうがいいでしょう。 亜人種族たちはその出自ゆえ、魔人からかなり蔑まれてみられています。 ゆえに人間の領土に逃げてきたのかもしれません」
「奴隷か...... なんかいやだな」
ぼくたちはゴブリンがいるという森へと向かった。




