第十五話「再生する巨人との戦い」
「はぁ、かなり空気も薄くなってきた」
「ええ高所ですから」
荒れた岩山を登るが息がしづらい。 ぼくとギンチヨはアプレスト山脈を登りトロールをさがしていた。
「草木もほとんどない。 本当にこんなところにいるのか?」
かなり登ったが周囲には動物がいるような形跡もない。
「もしかしたら、生活しづらくて移動したのかもしれませんね」
「それなら、打つ手なしだ。 もうぼくたちだけで島を防衛する方法を探るか」
「お待ちください...... なにか聞こえます」
遠くから争うような声が聞こえてきた。
「あっちだ!!」
さらに山を登ると、丘のしたで青い肌の大きな者たちが大勢いて石の棒を使い戦っていた。
「なんだ!? トロールが互いに戦っている?」
「ええ、訓練ではなさそうですね。 二つの勢力で戦っているようです」
「止めたいがさすがに割ってはいれないな。 危険すぎる」
「あの強さなら、決着はつかないでしょうから、終わるまで待ちましょう」
夜になると戦いがおさまり、一方の勢力はさっていった。
「終わったか! かなり被害がでてる! いくぞ!」
降りていって一番傷の深いものの治療にあたる。
「人間か...... もう大丈夫だ」
倒れたトロールの傷がすぐにふさがっていく。
「これは...... 再生してるのか」
「ああ、我らは再生力が高い...... それで何故こんなところにきた」
「......そうか、シンゴどのは我らと手を組むためにきたのか」
トロールが考えるようにそういった。 ぼくたちはトロールの住みかへと迎えられていた。 手当てをしたのがトロールの長、このガイラだったからだ。
「ああ、魔人たちは亜人種族を支配して魔王をめざしはじめた。 このままだとみんな支配されるか殺されるかだ。 だから手を組んで魔人に対抗しないか」
「......そうしたいのはやまやまだが、こちらにも問題があってな」
「さっき戦ってたトロールたちのことか」
「ああ、我と双子のガイザだ。 あやつは自分が魔王になるために兵をあげるべきだと主張した」
「魔王を目指してるってことか」
「そう、かつて魔王になった亜人種族もいたらしい。 ゆえに我らトロールならば魔王になれると豪語し、そして賛同する仲間と共に我らに従うようにいってきたのだ」
「正直、トロールたちはかなりの強さだけど、一種族では魔人には叶わないと思うぞ」
「戦ったことがあるのか? 我もそういったが聞く耳を持たぬ。 そして我らを屈服させようと戦いを仕掛けてきている」
「そうか、事情はわかった。 それならこの問題を解決したら仲間になってくれるか」
「解決...... ああ、そうなれば協力しよう。 しかしガイザは話してわかる者ではないぞ。 どうするつもりだ」
そう怪訝そうにガイラがこちらをみる。
「現実を見せる」
「なんだと人間風情が一騎討ちで我と戦うというのか」
ガイザはそういった。 次の日ガイラのもとに現れたガイザに、皆が見守るまえでそう提案した。
「ああ、ぼくに負けるようじゃ魔王の座なんて到底つけやしないだろ。 もし負けたらしたがってもらうぞ」
「くくくっ! いいだろう。 しかし手加減などせぬ、貴様は死ぬぞ。 その覚悟はあるのか」
「ああ、もちろん。 お前はどうだ?」
「ふふっ! その身のほどを教えてやろう! さあかかってくるがよい!」
ガイザが石の棒を手にしている。
(魔力の沼ならやれるが、殺すのも卑怯な手もだめだ。 実力で屈服させないと納得はしないだろう)
「いくぞ!」
魔力剣でガイザの棒をかわして切りつける。
「くっ...... ふふふっ! そんなもの効かぬ!」
切りつけたそばから傷がふさがっていく。 そして石の棒を振り下ろした。
「ぐっ!」
かわしたのにその衝撃が体に伝わる。
(確かにすごい力だ! 力だけならガベルグに匹敵する! それに信じられないほどの再生力! ただ......)
「そら! どうした人間!! 死ぬまえに魔王になる我に戦いを挑んだ無謀さを後悔するがいい!」
(やはり今までのように戦うのは無理だな。 なら魔人用に考えたあれを使う)
魔力結晶を握り集中する。
「終わりだ!!」
石の棒が振り下ろされた。 それを腕でうけた。
「なっ!? 片腕だけでとめただと!?」
(なんとかとめられた! そして......)
「そんな細腕粉砕してくれる!!」
ガイザは石の棒を両手でふりかぶった。 ぼくはその瞬間、飛びその顔面を殴り付けた。
「ぐはっ!!」
トロールの巨体が宙をまい地響きをおこして倒れた。 倒れたガイザは白目を開き気絶している。
一瞬の静寂のあと、山にトロールの歓声が響き渡った。




