第十四話「大魔王の死と人魔大戦の影」
「それで......」
「軽症者は100名程度、重症者は50人ほど、死者は20名です」
ギンチヨがそういった。
「かなり被害が出たね......」
「おきになさいますな。 むしろ少ない方でしょう」
ブラスがいうとシャスタがうなづく。
「そうです、あなたが気にやむことではない。 ガベルグを倒して、なおかつ町の前に沼がなければわれわれは全滅していた」
「......それでマーマンたちは」
「いわれたとおり怪我人は治療しております。 そして彼がマーマンの族長です」
片腕に怪我をおったマーマンがつれられてきた。
「お前がマーマンの族長か」
「ギギ...... ソウダ、バルスーン。 ショケイサレルマエニ、ヒトツネガイガアル」
「願い」
「オンナ、コドモハミノガシテクレナイカ......」
「お前たちはガベルグの眷族ではなかったんだな」
「ワレワレハ、ドレイ......ダ。 オンナ、コドモダケハ、タノム」
「そんなことをするつもりはない。 お前たちもガベルグの犠牲者だからな」
「ワレラヲユルスト!?」
「......だが、こちらにもかなりの被害がでた。 この島の海の守りをになってくれるなら許そう」
「コノシマ...... ワカッタ、ナンデモシヨウ」
「ブラス、シャスタ、すまないがマーマンを許すよ」
「シンゴさまがお決めになったことに異議を唱える気はありません。 われわれも支配されかけた経験がありますから」
「我らも異存はありません。 魔人による我ら亜人種の扱いはしっておりますゆえ」
ブラスとシャスタは同意した。
「ウ...... スマナイ」
こうしてマーマンも仲間に加えることにした。
「しかし、ここがこう簡単に見つかるとは」
「魔人たちはどうやら勢力争いをはじめたようですね」
「大魔王の死が発覚したのか」
「えっ!?」
ギンチヨとの話しにブラスたちがおどろく。
「バルスーン、なにかきいてるか?」
「確かにガベルグは大魔王を目指すといっていました。 その拠点と尖兵をえるためここを奪おうとしたのです」
そう話すバルスーンの額に紋様がうかんでいる。 どうやらマーマンたちも眷族になったようだ。 会話も流暢になっていた。
「大魔王の死、厄介なことだ...... これで魔人たちが覇権をとりに動く」
「かつての人魔大戦の再来ですか...... あのときも魔人たちの魔王の座争奪がきっかけだと聞き及びました」
ブラスとシャスタが困惑の表情をする。
「人魔大戦のことを知っているのかブラス、シャスタ」
「聞いたことがあるだけです。 その時代は地獄のようだったと......」
「ええ、我ら亜人種族は奴隷として使役され、大魔王があらわれ戦いを禁じたため、そのすきに彼らの支配地域からにげだしたのだと聞いております」
そうシャスタがいうと、ブラスとバルスーンがうなづいた。
「それが大魔王の懸念していたことでしょうね。 これは亜人種族だけではなく、人間も巻き込んで争いになる」
そうギンチヨがいう。
「そうだな。 とりあえずその事はともかく、ここの対策をとらないと。 なにが必要かな」
「また襲われることを想定して武具や戦闘訓練が必要でしょう」
「それに食料などの備蓄、城や壁などの防衛拠点の建築などもいるかと」
ブラスとシャスタがいうとバルスーンも腕を組みこたえる。
「しかし、それだけでは心もとない。 我らはたった一人の魔人に支配されていました。 もし魔人が徒党を組んだり、眷族にされた亜人種族の軍がきたらひとたまりもありません」
「そうだな。 魔力の最大値がふえみんな強くなったとはいえ、数が圧倒的にすくない。 すぐに仲間が必要だ」
(ぼくも革命の使い方をもう少し考えないと......)
「バルスーン、他の亜人種族はしらないか」
「そうですね。 多くは魔人の支配下にいるでしょう。 もちろん隠れているものもいましょうが......」
「魔人から解放は難しいな」
「あとはガベルグが攻めるのを躊躇した亜人種族が二種族います」
「あのガベルグが、それは誰?」
「ひとつはトロールです。 驚異的の筋力と再生力をもちます。 人魔大戦でも魔人に支配されなかったと聞いています」
「トロールか...... もうひとつの種族は」
「ヴァンパイア、吸血鬼です。 とても強く彼らは魔法が使え、不死身に近く、気位が高い種族です」
「二種族とも仲間になってくれるかな」
「わかりません。 しかし、彼らとて魔人は驚異なはず、対等な関係なら受けてくれるやもしれません」
「そうか、助け合えるなら別にかまわない。 それでどこにいるの」
「トロールはアプレスト山脈に住むといわれています。 ヴァンパイアは【暗黒大陸】にいるといわれていますが...... 会うのは不可能でしょう」
(暗黒大陸?)
「それならトロールに会いに行くしかないか。 みんな各自、戦いのための準備はしておいてくれ」
「はっ!!」
ぼくは話をするためトロールにあいにいくことにした。




