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第十二話「王女の病とアンデルアの真実」

「そうですか...... 鉱山はなくなるのですね」 


 そうシャスタは悲しく微笑んだ。


「やはり、ここはもう無理なのかな」 


「ええ、ここまで汚染が進んでしまえば、回復したとしても百年はかかります。 その間に我々は滅んでしまうでしょう」


「ですが、シンゴとののお陰で一矢報いることができました」  


 そういって前に僕たちを襲ったアンクが頭を下げた。


「あの、これを」


 シャスタは枯れた一輪の花をさしだした。


「これは、まさか」


「ええ、アンデルアの花です。 何とか探して一輪だけ見つけました。 枯れていて露はでませんが......」


「いや、ありがとう。 あの...... 断ってくれても構わないんだけど、僕たちの島に来ないか」


「あなたたちの島に?」


「ああ、人間も魔人もいない島を持ってるんだけど、そこにはここより小さいけど湖もある。 ふるさとを捨てるのは忍びないだろうけど、子供たちもいるし」


 そう提案すると、ドラゴニュートたちは顔を見合せている。


「しかし、ご迷惑では?」


「いいや、ゴブリンたちがいるが、彼らなら受け入れてくれるはずだ。 こうなったのももとは人間のせいだから」


「どうするみな?」 


「シンゴどのは信頼できる。 いくべきでは」


「そうだな。 このまま滅ぶのをまつよりはよい」


「そうね。 子供も病人もいる。 行きましょう」


 ドラゴニュートたちがそういうと、シャスタはうなづく。


「わかりました。 私たちはご厄介になります」


「よかった! じゃあフードを買ってくるから、夜に出掛けよう」


 早速フードと荷馬車を買うと、必要なものを詰め込み港へとむかった。


「船を買えないが、借りるか」


「我らは泳げます」


「それなら荷物だけ小舟に積んで行こう」


 僕たちは島へとむかった。



「ええ、かまいません。 我らもシンゴさまに救われた身、ドラゴニュートどのたちとも共存できましょう」 


 ブラスたちはそう快くうけいれてくれた。


「お世話になります」


 シャスタは安心したようにいい、ドラゴニュートたちは早速湖の方にむかう。


「おお! 美しい!」


 澄んだ湖につくと、ドラゴニュートたちの歓声があがった。


「ここに住んでもよろしいのですか?」


「ああ、好きに使ってくれ」


「わかりました」


 その瞬間、シャスタたちが光輝き体に紋様が浮き出た。


「これって!」


「ええ眷族となったようです」


「我らドラゴニュート、シンゴさまに従いましょう」


 そうみんな平伏した。


「ふ、増えた」


「それが目的でしょう」


 不思議そうにギンチヨがいった。


「いや、そんなつもりは...... まあいいか」


 こうしてドラゴニュート80人が仲間になった。


 

「で、病人の方は?」


「シンゴさまの治療と薬草、ポーションなどで回復に向かっております」


 そうシャスタは微笑む。 


「それはよかった!」


 ブラスも喜んでいる。 ゴブリンたちも薬草を採取したり手伝ってくれていた。 ドラゴニュートも魚等をゴブリンにとっている。


(うまく共存できそうだ。 それにしてもさらにブラスが流暢にしゃべってる。 家も前みたいな掘っ立て小屋じゃなくて、ちゃんと木造の家だな)


 僕たちはゴブリンの立てた家にきていた。 どうやら知能があがり、住むのに十分な家を作れるようになっていた。


「それでシンゴさま。 少々お願いが」


 ブラスがおずおずいった。


「なに?」 


「道具が不足しております。 技能があがっても道具なしではなにもできません。 作ろうにも製鉄の道具も知識もありません」


「確かに最低限の道具しか持ってこなかったしな。 わかった何とか集めてくるよ」


「はっ、ありがとうごさいます!」



「さて本格的にお金が必要ですね」


「うん。 これ魔力で何とかならないかな」


 アンデルアの花をみる。 一応魔力で花を咲かせることはできたが、蜜がでない。


「まあ、それだけでも渡してみては」


「そうだね。 無理でも別の依頼をうければいいか」


 僕たちはアスンハルトさんの屋敷に向かった。



「それでアスンハルトさん、あれからどうなりましたか?」


「ああ、どうやらマルテロというマフィアは捕まったよ。 だがダダントさまは関係ないといいはり、いまだに捕まってはない。 とはいえ国の監査がはいる不正は明らかにされだろうな」


「そうですか」


「シンゴどの。 私をだしにつかったな」


「いや、あの......」


「あははっ、かまわんよ。 こちらの無理難題をうけてもらったのだ。 そのぐらいは動こう」


「それで王女は?」


「ふむ、ひどく落胆されて。 困っているよ」


 そういって表情がくもる。


「実は...... これを」


「こ、これはまさか! 間違いない! アンデルアの花! どこでこれを!」


「ある人物から譲り受けまして、しかし蜜がとれないのです」


「そうか、蜜が...... しかし約束はまもってくれた。 報酬は支払おう」


「何に使うのですか?」


「実はアンデルアの花は魔力を凝縮、液化するという。 それを飲めば万病にきくと伝承があった」


「なるほど、それで蜜を求めている王女は病気ということですか?」


「いや、魔法が使えないのだ...... それを病だと思っておられる」


「魔法が...... 本当に病気のせいなのですか?」


「それがわからないんだ。 魔法が使えないなんておかしい。 だから文献をあさり、ついにはこの花にすがったらしい」


「なるほど」


「すまないがこの依頼継続でよいかな。 もしかしたら君なら見つけるかもしれん」


「ええ、それは......」


 僕たちは報酬をえて屋敷をでた。



「本当に魔力の液で魔法なんて使えるようになるの?」 


 そうきくとギンチヨも首をふる。


「どうでしょう。 ですが魔法は皆が使えるはず、何か理由があるのかもしれませんね」


(さすがにアンデルアの花はもうないだろうな。 魔力の液を探せば...... 魔力の液)


「そうか......」


 買い物をギンチヨに任せ、ぼくは宿にもどり集中していた。


(単純な形にこだわっていてそこには意識がいかなかった)


 魔力結晶を手のひらにのせ変化させる。 結晶は丸く四角く変化して、さらに液体へと変化した。


「よし、魔力の液化だ。 でもこんなものでいいのかな」


 とりあえずギンチヨが戻ってからアスンハルトさんのところに向かった。


「これは...... まさか魔力の液体か! しかしどうやってこんなものを......」


 そうレンズでビンに入った液体をしらべながら、アスンハルトさんは驚いている。


「それは秘密で...... それより、これでいいのですか?」


「ああ、これは間違いなく魔力の液体だ。 これならばアンデルアの露と同じものだろう。 王女にこれを渡そう!」


 そういって喜んで報酬をくれた。



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