第一話 「魔王の遺言と銀の眷属」
「ここが異世界か...... 古い以外特に変なところもないな」
ぼくは歩きながら、隣を歩く銀色の毛並みの猫と洋風の町をみて回る。
真波 信吾15才、高校生...... いや元だ。 ぼくは今異世界にいた。
(こんなことになったのは、あのとき......)
「えっ!? ここどこ......」
目が覚めると薄暗いが、巨大なシャンデリアや金の燭台がおかれている豪華な部屋のなかにいた。
「すまぬな異界の者......」
低い声がして振り向くとそこには威厳のある老人が、大きな椅子にすわっていた。
「えっ?誰...... 角がある!?」
そうその老人には頭の左右に大きな角がはえていた。
「......ふむ。 混乱するのも無理はない。 落ち着いてきいてくれ...... ここはそなたの世界とは異なる世界」
「異世界ってこと......」
「そうだ。 我がそなたをこの世界へとよびよせたのだ」
「呼び寄せた!? なんで......」
「すこしだけ静かに我の話をきいてくれまいか」
その老人ともおもえない圧倒的な威圧感にぼくは口をつぐむ。
「我はザガルディス...... 大魔王だ」
「大魔王!?」
「そうだ。 そなたにたのみがあってこの世界に呼んだ」
「そんな......」
「勝手をして申し訳ないが、こちらもためらう時間もない。 手短に話そう。 私の寿命はもう尽きる......」
「死ぬんですか......」
そうきくと大魔王は静かにうなづいた。
「そうだ。 大魔王とて有限の命...... それはかまわない。 しかし気になるのは我の眷属とこの世界のことだ」
「眷族って仲間...... 世界」
「我が死ぬと大魔王の席を狙うものがあらわれる。 問題はそこだ。 我は戦いを好まぬ。 かつてより人間と魔人は敵対し争ってきた。 もちろん人間と人間、魔人と魔人もな。 ゆえに皆に戦わぬよう目を光らせていた。 それが......」
「死ぬことで争いが起こる」
「......そうだ。 そうなれば人間も魔人も大勢が死に、最悪世界も滅ぶ」
「......確かにそれは大変ですけど、ぼくには関係がないでしょう」
「そうとは限らん」
「どういうことですか?」
「そなたをここに呼べたということは、そなたとこの世界を繋ぐ術があるということだ」
「それって、まさか!」
「そうだ。 人間か魔人のどちらかが勝ち力を得れば、いずれその方法にたどり着く。 そして世界を繋ぐ...... そのあとはわかるな」
「ぼくたちの世界も巻き込まれる」
「さよう。 そしていずれはどちらかが滅ぶ。 または両方もか......」
そう深いシワをより深くして大魔王はこたえた。
「で、でもなんでぼくなんですか!?」
「わからぬ。 そう運命が決めたとしか...... ただこの世界の者では片方を滅ぼそうとするからかもしれん」
「それで他の世界の...... でもぼくにはなにもできませんよ。 なんの力もないし......」
「そなたには我の作りし最後の魔法を与えた。 それを使いこの世界を救ってくれ......」
「まって! そんなことぼくには......」
大魔王は腕から光をはなつ。 その光はぼくを優しく包むと大魔王はきいた。
「そなた名前は......」
「真波 信吾」
「そうか、シンゴ、力のみに頼るな。 そなたが力の本質を理解すれば、いずれ気づくだろう」
「力の本質...... それは」
「すまない。 もう我は消えゆく。 あとは頼む......」
「あっ......」
そういうと大魔王は微笑みながら光の粒子となって消えていった。
「消えた...... 死んだってこと」
「そうです。 残っていた生命と魔力を魔法としてあなたに与えたため、魔力の粒子となって散っていきました」
後ろから銀色の毛並みが美しい豹が現れそういった。
「君は......」
「私には現在、名前はありません。 あなたにお仕えするように、大魔王により命じられた者です」
「ぼくに仕える...... 悪いんだけど、ぼくは帰りたいんだ」
「......そうですか。 あなたのやりたいようにすればよろしいと思います。 私はあなたにお仕えするもの。 あなたの意志が最優先です」
あっさりと銀の豹はいった。
「それで、戻る方法を知ってる?」
「戻るには莫大な魔力が必要です。 それには眷属を増やし魔力をえなければなりません」
「眷属、魔力......」
「魔力を持つものを眷属にすれば、そのものの魔力の一部をあなたがえることができます」
「つまり仲間をえて魔力をえないとってことか。 あの、名前がないと呼びにくいな」
「では私に名前をつけてくださいませ」
「名前、銀の豹...... 銀千代にしようか」
「ありがとうございます。 私はギンチヨと名乗りましょう」
そうギンチヨは頭を下げた。
「それで眷族、仲間にはどうするの?」
「私のおでこをみてください」
おでこに文字のような模様のようなものがある。
「それって模様のこと?」
「ええあなたを認め眷属の契約をなされたものは、このように体に紋様か浮かびます。 これを持つものの魔力を主であるものに送ります」
「それがぼくの力になるのか。 しかたないな...... この世界のことはともかく、まずは帰る方法を調べよう」
「御意」
ぼくたちは帰るために、眷属、仲間を集めることにした。




