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第5話「電話」
「もしもしー。ごめん、急に」
店長がのんきな声で言う。どうせ、シフトの調整だろう。そう思いながら受け答えをする。
「どうしましたか?」
「いやさぁ。ベリアっていうの? のライブチケットが届いていてさ」
「え?」
またまた、店長は冗談が上手いな、と思う。
「いる? 企業宛に届いたから、アルバイトにあげていいよって」
「……一枚ですか?」
「何枚でも」
店長の言葉が心強く感じる。
「じゃあ、二枚、いいですか?」
「もちろん」
「では、失礼します……」
電話を切る。
すぐさま、春花に店長との話をする。
「……っていうことで」
「なにそれ、神店長だね」
「とりあえず、二枚お願いしたけど、行く?」
しばらくの間。春花なりに、悩んでいるのだろう。レイ君がいないライブを彼女はどう捉えるのか。
「一応行こうかなー。ジュン君とカナト君も好きっちゃ好きだし」
私は、了解、と書かれたスタンプを送る。