第2話「学校」
翌日、登校すると、制服姿の伊東さんが、教室のドアの前に立っていた。
「あっ。やっときた」
最初は私に言っていると思わなかった。そのまま教室に入ろうとすると……。
「手田さん。昨日、どこかで会ったよね」
伊東さんが怖い顔をしている。
伊東さんがベリアについて、話しているところは、見たことないし、隠していたのかな。
「うーん……。えー」
私が何も言えずにいると、伊東さんが前のめりになり、口を開く。
「手田さんも、ベリア好きなの?」
――意外な言葉だった。正直に答えるか、悩む。というか、廊下は寒いので、早く教室に入れてほしい。
「好きだよ。ジュン君推し」
相手が少なくともレイ君推しか箱推し、ということは、わかっているので、正直に答える。
「へぇー! ベリア好きなの?」
伊東さんのテンションが上がる。気まずくないのだろうか。
「このクラス、ベリア好きの人少なくて、やっと見つけた! ベリアファン!」
そうだったのか、と思う。私は、伊東さんに言い放つ。
「そっか、友達に、なってくれる?!」
同じアイドルグループのファンだとわかったら、アッタクするしかない。
「いいよ。むしろ、こっちからよろしく!」
意外と伊東さんが社交的でよかった。話したことないのに、よく私に話しかけてきたな。
そんな会話をしたところで、チャイムが鳴る。
「じゃ。また話そう!」
伊東さんがそう言って席につく。私も、急いで席に座る。