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執事の門 大切な者「I」

雪が溶け、桜の花が咲き誇った日・・・僕は今日この学校に入学する。ここは執事養成学校フィーデス、一日のダイヤは鐘の音で決められ、その中で最上級の執事を目指し、作法を学んでいく。ここに来る前叔父様から不思議な話を聞いて来た。この学校には、不思議な場所があるとか。叔父様も昔この学校に居たらしい。でもその場所を調べている事が校長にバレ、退学に。執事になるのにはあまり乗り気で無いが、叔父様の話には興味がある。まぁ調べるために入学したと言う事だな・・・

もうすぐ入学式が始まるが、学校が広すぎる。迷子だ・・・時間ギリギリに着いたため、もう誰もいない。


あそこに人が!でもこの学校は、先輩と関わってはいけないと聞くし・・・でも、聞かないと一生つけない気が・・・

「あの、すみません」

そっと話しかける。

「ん、どうした?新入生か?今は入学式のはずだよな」

「そうなのですが、迷子になってしまって」

「そうか、俺も今から行く所だったんだよ、一緒に行こうか」

先輩に助けてもらう事に。なぜこの先輩も遅刻をしているのだろう・・・その時、学校中にチャイムが鳴り響いた!

「急げ新入生!この学校は時間に厳しい。早く行かないと後でえらい目に遭うぞ」

タッタッタッタッ・・・全力疾走で、入学式会場まで急ぐ。

「はぁはぁ、ここだ行け!」

「ありがとうございました」

あっ先輩の名前を聞くの忘れた、まあ良いか・・・皆んなもう中にいる、息を整えて入らないと・・・そっと会場に入る。

「そこの君」

ギクッ!先生が話しかけてきた。

「入学早々遅刻とは、困った新入生だ。名前は?」

「セオリです」

「セオリ君ね、もう入学式が始まっています。早く席に着きなさい」

「はい・・・」

急いで席に着くと、丁度生徒指導の先生の話が始まった。

「新入生の皆さん。君達は本日、フィーデスに入学し、これから六年規則を守り最上級の執事を目指して学んでもらいます。そしてこの学校の名誉となることを。規則を破った者は、校庭十周と、原稿用紙に校則を書き提出させます」

校庭十週!こんなに広いのに。なかなか面倒な学校に来てしまった、これから六年か・・・ん?あれは!

「面包校長先生からのご祝辞を頂きます」

なんだあの校長は!頭にインコを乗せ、すごい派手髪に食パンみたいな顔をしている。心なしかバターの匂いがする。凄い不思議な人だ。

「新入生の皆さぁん、入学おめでと。校長の面包でぇ〜す。好きな食べ物は食パンでぇ〜この学園のみんなは私の執事なの、よろしくね。今日から私の執事、しっかり勉強して立派な執事になって卒業するのよ」

変わった人だ、あまり近寄りたく無い。

「在校生からの祝辞」

「新入生の皆さん、入学おめでとうございます」

さっきの先輩だ、代表だったのか。

「フィーデスには、執事会や体育祭などの沢山な行事があります。執事会では、全員が執事となりお嬢様となり踊り明かすパーティーが開かれるのです。そこで先輩からお墨付きを貰うと、他学年と深く交流する事が出来るようになります。お墨付きを持っていると色々と出来る事が増えるので、楽しみにしておいてくれ」

「以上で入学式を閉じます。新入生の皆さんは、同室生と一度寮に戻り、荷物を片付けて必要な物を持ち教室に集まって下さい」

同級生は約百五十人。寮は二人部屋の為、この中から一人を探さなければならない・・・その時、背中を叩かれた。

「セオリ君だよね?」

「はい?」

そこには、この学校に似つかわしくない可愛い男の子が立っていた。

「僕、君と同じ部屋のロイって言うんだけど」

「良かった、探してたんだ」


ロイと寮に戻り、荷物を片付け始める。そこに、使いが入っている大きなカゴを取り出した。

「何だそのでかいカゴ!」

目を見開いてこっちを見ている。そんなに不思議なのだろうか?

「これ?マーモセットだよ」

「・・・・・・ふぁ?」

「ブラジル北東部の熱帯雨林に生息してるんだ。可愛いだろ」

「小顔なのが可愛いのか?」

こやつ分かってないな!

「この耳がフサフサしてて、目がクリクリで・・・」

ロイがドン引きしてる!やべぇ、会って初日でやばい奴だと思われる。思わずこの可愛さを熱く語ってしまった、僕としたことが・・・

「そもそもこの学校ペット良かったっけ?」

「校則には書いてなかっかし、校長も頭にインコを乗せてたからまぁ大丈夫だよ。君のスペースには行かないようにするから、気にするな」

このマーモセットの名前はアミコスだ、僕が従えている唯一の動物。幼い頃にお父様から貰った、基本的に僕の肉を食べて生きているが、甘い物に目が無く定期的に散歩をしないと己の力が使えなくなる程太ってしまう・・・困ったもんだ。

「学校案内の時間だよ、行こう!」

「あぁ」


半日に及ぶ学校案内も終わり、少し散歩に行く事にした。

「セオリ〜どこ行くの?」

「散歩に行くんだ」

「僕も行っていいかい?」

「別に構わないが」

ロイはやたらと話しかけてくるな、そんなに話す事も無いだろう。

「そう言えば、セオリ宛に手紙が来てたよ」

「手紙?誰からだろう」

寮に戻り手紙を見ると、それは叔父様からの物だった。

「セオリよ、無事入学は出来たかい?この前話していた事について、一つ言っておかねばならん事があってのう。周りの様子を良く観察し、アミコスを大事にするんじゃぞ」

アミコスを大事に・・・最後の言葉が引っかかる。

「なんて書いてあったの?」

ロイに手紙を見せたその時、今までの人生で見た事の無いぐらい怖い顔になった。僕は関わっては行けない問題に足を踏み入れてしまったのかも知れない・・・

「ロイ?明日は初めての授業だろ早く寝よう」

そう言って眠りについた。


・・・朝になり、授業が始まる。

「貴方達には、これから執事の作法を心得て貰います。執事には、お仕えするご主人様への忠誠心、責任感、プロフェッショナリズムを持ち、人生をかけ誠心誠意ご主人様が快適に過ごされるようサポートするのです」

「科目は五つ」

「一、話術」

「二、料理」

「三、掃除」

「四、文化、芸術」

「五、教養」

「以上の科目を受け、月末にはテストを行ないます。合格出来なかった者は、このライオンに食べて貰います!」

先生は、自慢げにライオンを見せてきた。

「グァオオオオオオオ」

こっわ、殺すきか!死ぬ気で頑張ろう。

「最初の授業は、料理です。調理室に集まって下さい」


急いで行かないと・・・でも走ったらあの怖い先生と、生徒指導室行きだからな!


「授業を始める、礼」

「本日、皆さんには紅茶を入れて貰います」

「ポイントはゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョ・・・・・・」

長すぎて、何を言っているか分からなかった。

「ロイ、分かったか?」

「全く分からなかったよ、でも僕はお屋敷に勤めていたから大丈夫」

勤めていた!そんな奴ばっかりなのか・・・困った、最初の一ヶ月でライオンに食べられ、時の歩みを止められるのはゴメンだ。

「まぁ、お湯注ぐだけだし」

気合を入れ、お湯を注ぐ・・・ジャバジャバジャバジャバ

「セオリ君!話を聞いていたのですか?勢い良く注ぐのは良いですが、それでは周りに飛び散ってしまうでしょう」

勢い良く周りに飛び散らないって何だよ・・・ロイに見本を見せてもらうか!

「やってみて」

「いいよ!」

コトコト・・・カタカタ・・・ジャー・・・スー

「ロイさん完璧です!素晴らしい」

・・・なぜ僕には出来ないのだ!それから何度もトライするが、毎回止められ指導される事五十分・・・やっと授業が終わった。

「お疲れ、コテンパンにされてたね」

「あんなに言わなくても良いのにな、はぁ疲れた。そう言えば!今頃部屋にお菓子があるはずだよ。食べに行う!」

ルンルンで部屋に戻と部屋の扉が開き、アミコスが居なくなっていた。

「アミコスが居ない!もう帰っている時間なのに・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・


「僕はアミコス、あの何も出来ないセオリの飼い主である!そのペットによってこの学校に連れて来られてしまったのだ。僕とセオリは心の音を互いに出す事で、どこに居ても会話をする事が出来る。セオリはそれを良い事にアレをやれだの、買ってこいだの命令ばかりする。今日はお菓子を買って来いって!特にする事も無く暇なので買いに行ってやるとしよう!感謝したまえ、セオリよ!」

お金が入ったがま口ポシェットを腰に巻き、準備をする。

「部屋の外に出る時は、人間になってからと言われたが、めんどくさい!外に出てから人間になろう」

そう思い、サルの姿のまま外に出た・・・

「うわあああああああああ!サッ、サル?」

「あっやべぇ」

怖そうな先生に見つかってしまった・・・

「そんなこんなで、今は頭にインコを乗せた人がいる部屋に連れて来られてしまった次第なのです。あとでセオリの怒られそうだな・・・」


アミコスどこに居るんだ!少しで良い音を聴かせてくれ・・・何で何も反応しない。探しに行こう!っと部屋を出た時、アミコスを肩に乗せた生徒指導の先生が目の前に!その光景に二人声を揃えて、アミコスだ!と叫んだ。

「このサルは、どちらのだい?」

先生は、冷静に問い掛けて来た。これはまずい・・・

「ぼっ、僕のです」

「セオリか、校長先生からは部屋から出さなければ良いとお許しが出た、今後見つけたら罰を下す!」

先生の背中が見えなくなったところで、アミコスと睨み合いになり喧嘩になりそうだ。ここで喧嘩をしたらアミコスが喋れる事がバレてしまう。アミコスの力は何かあった時の為、なるべく隠しておきたい。

「アミコスと、少し散歩をしてくるよ」

廊下に出た途端アミコスが不満を言い出したが、聞く事は無い。

「アミコス、お前何やってくれてるんだ」

「ウキッウキウキウキーーーー!」

「うるさい!」

「面倒ごとばかり頼むからだろ!学校で人間に化けるとバレる・・・だからそのまま出たら捕まっただけだ!」

「その捕まったのがまずいんだーーーー!」

「でも聞けセオリ、校長室とやらに連れて行かれる途中変な部屋を見つけたぞ!子供の楽しげな気のする不思議な部屋だ」

「子供の気・・・何だそこ!でも今日は遅い、落ち着いたらその部屋に行く。分かってるな」

「もちろん」


あれから二週間、アミコスが見つけた部屋に行く事に・・・

その部屋はボロボロの扉に、立ち入り禁止の看板が立て掛けられ入りにくい雰囲気の場所だった。この場所がもし悪い所だったら、ロイにはどんな関係が・・・僕は始末しなきゃいけないのか・・・そう考えているとアミコスが先に入り、それに続き気を引き締めて僕も中に入った。

そこは薄暗く、蝋燭の光だけが輝いている・・・真ん中に大きな机が一つ、そこに何かのメモが置いてあるが読めない・・・その紙をじっと見ていたアミコスが話し出した。

「叔父様の言っていた場所は、テーマパークの様だよ」

「アミコス読めるのか!」

「あぁ、テーマパークと言ってもあまり良い所では無さそうだけどな」

メモの横に写真が置いてあった。写真には、テーマパークらしき物とその従業員、校長、それに知らない男の人が二人その後ろに小さく誰か写っている。目を凝らしてみてみると・・・そこにはあの日助けてくれた先輩が写っていた!

「入学式の時に、助けてくれた先輩が写ってる!」

「先輩?」

「先輩は、何かを知っているのかも知れない」

「すぐ話を聞きに行くんだ!」

「それは出来ないよ、他学年と関わるのは基本的に禁止。関われるのは年に四回行われる行事と、そこでお墨付きを貰った生徒だけだ。お墨付きを貰えば普段も話せる様になるとか」

「何だ、そのめんどくさい規則は!」

「規則は規則だ、仕方ない。今年初めの行事は、二ヶ月後の執事会だ」

「セオリ、ダンス出来たっけ?」

「触れるな!」

そうなんだ、僕は生まれてこの方ダンスをした事がない・・・練習期間は二ヶ月、それに一年生はお嬢様をやる為ドレスを買いに行かなければならない。

「練習に付き合え。あと、週末にドレスを買いに行く」

「なぜ僕が付き合わなければいけないんだ!僕だって暇じゃないんだぞ」

「アミコス以外に、僕の踊りを見せられる訳ないだろ」

「なるほどね〜」

あの面白いものを見る目、嫌味な奴め!とにかくこれで練習も出来る事だし、絶対に先輩を落とす!

寮に戻り、テストの勉強をしながらダンスの練習をしてみた。とそこに、ロイが帰って来てしまった・・・笑いを堪えてるみたいだ・・・

「笑ってもいいぞ」

「ぷははははははは」

最悪だ・・・やっぱり学校で練習するのはやめよう!


アミコスとの練習日、僕は朝早くから練習すると言っておいて十一時まで爆睡をかましてしまった。アミコスが酷くご立腹だ、この後の練習厳しくさせられるんだろうな・・・

「朝早くから練習するって言ったろ、もう何時だと思ってるんだ!ボケっとするな!もう十一時だぞ、さっさと準備しろ!」

「分かったよ・・・」

アミコスの怖さで、すぐに目を覚ましテキパキと準備をして練習場所まで。


「アミコス・・・なんだその格好!」

「今日先生だからな、それっぽい格好をしているんだ」

何を間違えたのか、白鳥のドレスを着ている・・・そんなアミコスのレッスンが始まった。

「セオリ・・・料理も掃除も出来なくて、おまけにリズム感も無いとは・・・終わってる。もっと綺麗に!そんな踊じゃお相手も恥をかきますよ」

「分かってる」

なんでこんなに難しいんだ!

「今日の練習はこれで終わり。明日から休みだろ、ドレスを買いに行くぞ」

なんだかルンルンしてるな、嫌な予感がする。そんな事を思いながらショピングモールに着いたが、アミコスが目的とは違うところに向かっている。

「おい、アミコスそこは服屋じゃ無いぞ」

なんで化粧品・・・

「メイク道具なんか見てどうするんだ・・・もしかして、僕!?」

「それ以外に誰が居るんだ」

あり得ない、なんで・・・僕がメイクなんて、一気に足取りが重く感じる。アミコスがニヤニヤしていたのは、そう言う事だったのか・・・

「先輩からのお誘いを貰うんだろ、我慢しろ!」

「分かったよ〜」

どんなドレスを着せられるのやら・・・少しでもカジュアルな方が良いな!少し期待をし、見にいく。

「こっこんなに細くてぶりぶりのドレスを着るのか!」

「うるさい、着せるから黙ってろ」

どんどん着せられていくが、これ大丈夫なのか・・・

「すごい、別人みたいだ」

「似合わないな・・・」

「黙れ・・・ってアミコス!」

アミコスがサルに戻ってる!

「アミコス!サルに戻ってるよ、お店の人も目ん玉飛び出してビックリだよ。早く戻れ!」

「えっ?わああああああ」

「あっ戻った!」

その後も何事も無かった様に、買い物を始める。今日は妙にアミコスのテンションが高い・・・

「セオリ、明日お父様とお母様のお屋敷で、仮面武道会が開かれるのは知ってるだろう?」

もしかして、出るとか言わないだろうな・・・いやこの場に及んであり得ない・・・

「参加届を出しておいたぞ!」

「自信満々に言うな!」

嘘だろ!アミコス何してくれてるんだ・・・あんなダンス見せれる訳ない。

「だいたい両親にバレたらどうするんだよ」

「今日買ったドレスとメイクで仮装すれば良いだろ。明日の為、お屋敷の近くにホテルをとっておいたからそこに帰ろう」

「何言ってんだ」

あれよあれよと仮装をさせられ、仮面武道会の会場に行くことに・・・

「はぁ気が重い」

せっかく実家に帰るのだから叔父様に話を聞こう

「大丈夫だよ、ギリアウトだから」

「アウトなのかよ」


会場に着いたが、みんな仮面をかぶっているから誰が誰か分からない、これじゃ叔父様に話を聞く事は愚か見つける事も出来ない。

「セオリ、ダンスが始まる。行くんだ!」

アミコスに背中を押され踊りながら叔父様を探すことに。そこに狼の仮面を被った男の人がやってきた。

「そこのお嬢さん、一緒に踊りませんか?」

おっお嬢さん・・・アミコスは、あんな所で踊ってる!今は下手な事せずエスコートされるか。

「えぇお願いします」

三曲目を踊り始めた頃アミコスからの伝達が・・・

「セオリ良く聞け!今、僕が居るところは分かるか?その左横で葉巻を吸っている人が叔父様だ!」

叔父様の所に向かう途中変な男に話しかけられた・・・

「セオリ様ですね、叔母様がお呼びです」


あの人は誰だろう、見た事がない。その人が僕を連れて行った場所には、鎖に繋がれ檻に入っている動物達が沢山いた。なんだかこの部屋には来た事がある気がする・・・

「叔母様が、ここでお待ち下さいと」

しばらく待っていると叔母様がやって来た。なんの様だろう

「セオリ、久しぶりね」

「なんで僕がここに居ると」

「執事が見つけ出したのよ」

この人は何を言っているかよく分からない。とても変わり者だと小さな頃から噂されていた。親戚の集まりや、パーティーなどでしか会う事が無かった。そんな人がなぜ僕を・・・

「なんでこんな部屋に連れ込んだ」

「あらあら、そんなに警戒しないで。今日はね、入学祝いを渡したいの」

入学祝い、今になって何故・・・もう叔父様から貰っているはずなのに。何か、ある・・・

「あの・・・」

「ここから一匹持っていきなさい。貴方も、もう十六でしょ動物の一匹ぐらい仕えて従えておかないと」

そう言うことか、確かに従兄弟のショーも貰ってたな。でもこの動物の数こんなに狭い部屋に・・・可哀想だ、僕にはアミコスが居る、辛い思いはして欲しく無い。

「僕には・・・」

「あのサルでしょう」

話を遮られた・・・

「あのサルは良く無いわよ、貴方には力が強すぎるの」

アミコスの力に気付いてる・・・おかしい。確かにあの日、僕はお父様からアミコスを貰った。その後すぐ、僕の一部を入れたから分かるはずが無いのだが・・・耳にも何も無かったはずだ。

「アミコスに、どんな力があると・・・」

「話せるのでしょう」

本当に気付いている・・・

「体の一部を入れ心が繋がる様にしたのね。そんな危ない事を犯しても、あのサルと一緒に居たいの?それならここから探すといいわ」

この人、アミコスを狙ってる・・・アミコスが危ない!急いで部屋から駆け出そうとするが、縛られて動けない。クソ、仕方ない、あまり来させたくは無いがアミコスを呼ぼう。

「来い!アミコス」

「サルに頼るのね、やっぱり自分一人じゃ何も出来ないじゃない」

「こんなにも動物を拘束し、術を入れ、何がしたい!」

「貴方何も知らないのね、そんなサルなんか仕えて生きていけると?使いは分身。自分の心、気を分け合い使いを育てていく。使いが死ねば貴方も死ぬのよ」

「アミコスが欲しいのか!」

「欲しい?あのサルは元から私のよ」

元から私の・・・どう言う意味だ。とにかくここから逃げ出さない事には何も出来ない。

「僕がここで使いを選んだら・・・」

「アミコスを返して貰うわ」

返す・・・叔母様は不思議な気を放っている。なんというか、赤黒い血溜まりの様な気だ。どんな事をしたらそんな気になるのか・・・あのあざ笑う目。何匹もの動物を従え、何もかも分かっている様だ。こんな奴にアミコスを渡してしまったらきっと、きっと・・・ここは早く撤退して叔父様に話を聞きに行こう。その時、僕の呼び出しによりアミコスがやって来た。

「セオリ、これは!」

「お前を狙っている逃げたいが、縛られて動けない」

「分かった」

紐を解いて貰う。

「アミコス貸せ!」

「ウキッ」

アミコスはそう返事をすると、胸の印を光らせ取り出した。それを一滴飲み込み、力を呼び戻す。


「これを使いと気に熱し、己となることを。使いの証、ここに来たり!」


「うわあああああああああああああ」

普段はアミコスの胸に収めている力を使い、ドアを壊して逃げ出した。

「アミコス助かった、大丈夫か?」

「あぁ、そんな事より叔父様の所に行こう」

「そんな事って・・・」

さっきの部屋に来た時、アミコスは妙な顔をした。少し震えて、怯えている様だった・・・


叔父様に無事会う事ができた。

「叔父様!」

「セオリよ、手紙を読んだ様じゃね」

「はい、詳しく教えて頂きたく参りました」

「あれは、わしが三年の時の話じゃ。今とは変わり果てた姿の学校。生徒は家畜、金ズルだ。裏にそのお金で作ったとされるテーマパークがあった。そこには成績の良い者しか入れはいと思われていたがその夏、学年成績最下位の者が招待され、そのまま退学となった。それからと言うもの魔の招待状と呼ばれる様になったのじゃ。あまり良い噂は聞かないから気おつけるのじゃぞ」

「その場所に繋がるかは分かりませんが、授業中にアミコスが子供達の不思議な気のする部屋を見つけ、そこにテーマパークの写真があったのです。そこには僕の一つ上の先輩が写っていました」

「それはまさか!」

「はい・・・行事で先輩と関わり、話を聞こうと思います」

「それと叔母様のことを・・・」

叔父様は、何も言わずに去って行った・・・とりあえず手紙の話が聞けて良かった、学校に戻ろう。


学校に戻ると、校長室に呼び出された。きっと立ち入り禁止の場所に入ったのがバレたのだろう。だが、あの写真には校長も写っていた。あの場所で何が行われていたのか、魔の招待状は成績の悪い者と、良い者に、どちらを取るか・・・まぁ何もしなくても成績は悪いが・・・行事の功績により未来が掛かってる。校長室に何かあるかも知れないな。

「アミコス!」

「ウキッ」



校長室・・・学校案内で見た時と随分雰囲気が違うな・・・机に何か置いてある叔父様からの手紙だ、何故ここに、これは僕に送られて来た手紙とは違う。叔父様と何か関係があるのか!今も交流があるとは聞いた事が無い。調べれば調べるほど、謎が増えていく・・・

「アミコス何かあったか?」

「机の右下に、不思議な空間があった。その中は、図書館の様になっていて沢山の名簿が並んでいた」

「名簿・・・」

「その中には、叔父様の名前もあった」

叔父様の名前・・・週末の執事会で功績を上げ、先輩からお墨付きを貰う。まずはそれからだ!

寮に戻ると、ロイが待っていた。

「セオリ〜おかえり!」

「抱きつくな!もう、ただいま」

帰って来て早々なんて懐っこい奴なんだ・・・

「休み何してたの?」

「いろいろ」

「それじゃ何も分からないよ〜」

「はいはい、お風呂入ってくるから先寝てていいぞ」


ロイは社交的で甘えん坊な印象だが、何を知っているんだ。何も知らないと守れる事も守れない・・・アミコスのこともあるあまり無理はさせたく無い。今は僕にできる事をするまでだ!

「うわああ」

風呂からアミコスの顔が出てきた!

「びっくりした・・・居るなら、最初から言ってくれ!まぁ丁度良かった、アミコスに話がある。僕は先輩からのお墨付きを貰い食事会をゲットする。そのため邪魔が入らぬ様、見張ってて欲しい」

「分かった。その食事会は、一緒に行ってもいいか!」

「そこ?別に良いけど」

「ウキウキウキッ」

興奮するとサルボイスになるんだよな、可愛い・・・

「それより、叔母様の事何か知ってるか?」

「・・・・・・・・・」

「言いたくなければ良い、僕が解決する」

あの魔が魔がしい部屋。僕の所に来る前、アミコスがそこに居たのなら・・・最悪の場合も考えておこう。


・・・今日は執事会・・・おめかし完了!相変わらず似合わないな・・・

「アミコ行くぞ!」

「ウキッ」

「あっとその前に、これ着て」

「ウキッキッキッキキ」

「拒否るな、そのままだとバレて、僕が罰を受けることのなる。着ろ!」

「分かったよ・・・大体、こんな物を着てもバレるぞ」

「僕の体の一部を入れたから、バレやしないよ」

開始時間よりも三十分早く寮を出た。

「なんでこんなに早く行くんだ?」

「会場を見ておかないとだろう」


結構広い所だな、先輩方の席は・・・ここか!

「セオリ君?」

・・・ふげっ!気まずい。誰だと怯えながら振り返ると、そこにはロイの姿が。

「なんだロイか、びっくりした」

「もうすぐ始まるね」

「あぁ、いよいよだ」

校長先生の挨拶が始まった。校長先生の横に・・・あれは!?叔母様の執事!なんで学校に・・・

「一、二年の執事の卵ちゃん今宵は楽しき日となる様踊り明かして下さい。そしてもう一つ、大事なお知らせがございます。今日からこの学校に勤める事になったウィルセス先生です」

何を言っているんだ!今日から先生?執事じゃ無かったのか!

「皆様、初めましてウィルセスです。よろしくお願いします」

「さぁ執事会の始まりよ」

大きく鐘が鳴る・・・まだ放心状態だ・・・

「始まった行くぞセオリ!」

「あぁあ行こう」

叔母様の執事・・・何をしに来たのか、アミコスも警戒している様だった・・・もうすぐ先輩からのお誘いを貰う為のダンスが始まる。一年はまず、ペアを組まずに一人で踊る。それを見て先輩からお誘いが掛かると言う仕組みだ。ここで失敗したら二ヶ月の練習が全て台無しになってしまう・・・慎重にいかないと。

先輩は、会場左側に居る。見えやすい様近くに行こう・・・踊り始めたが、先輩!全然こっちを見ていない!まずいぞ。なんとか気を引こうとしたその時・・・

「いってぇ」

人とぶつかり、転んでしまった。ダンス中に転ぶなんて、終わった・・・僕の二ヶ月・・・僕の気持ちとは裏腹に先輩が笑いながら近づいてきた。

「君良いかな?面白い子探してたんだよ、あんなに面白く転ぶ子初めてだ!」

誘われたのは嬉しいが、ちととその理由は胸に刺さる。

「君、名前は?」

「俺はカフィアンだ、よろしく!君面白いからこれあげるよ」

先輩は懐中時計を渡してきた、お墨付きの証だ!まだ一緒に踊ってもいないのに、なんて僕はついてるんだ!変わった先輩で良かった。アミコスにも感謝だな、シュークリームを買ってやろう!

「さぁ踊ろうか!」

僕と先輩は、夜中まで踊り狂い楽しんだ。最後の方は、メイクが崩れて顔が大変な事になったが楽しかった。その後は先輩との食事会だ、メイクをなおしてっと、さあ行こう!そう思い会場に向かう時、アミコスからの伝達が・・・

「助けて・・・寮・・・」

アミコス!何があったなんか言え!最後に寮って言ってたよな、今すぐ行く待ってろ!・・・寮に戻るとロイとアミコスが話していた・・・ロイがアミコスを押さえている!

「やめろ!」

「あっセオリ、どうしたの?」

ロイは何もしていないかの様に振る舞った。実際、アミコスに何をしようとしていたかは見えなかった・・・

「食事会に行く為、アミコスを迎えに来たんだ。行くぞ」

アミコスを肩に乗せ寮を出た・・・

「なぁ、何されたんだ?」

僕がそう聞いても何も言わない。言えない事なのだろうか・・・それとも、僕を巻き込まない様にしているのか・・・会話はできても心は読めない。でも、ご飯を食べる事がよほど楽しみなのか、ルンルンだからまぁ良いか。ご飯を楽しみにしているのは良いが・・・最近、食堂のおばさん達に愛想を振り撒き、毎日ご飯を貰っているらしい。そのせいで、お腹も顔もパンパンだ!肉も食べさせないと、力が使えなくなる・・・今日はアミコスのお手柄でもある、仕方ないな

アミコスを膝に乗せ席に着くと乾杯の音頭が始まった。

「今宵結ばれた絆に乾杯!」

「乾杯!」

見る限り、お墨付きをもらった生徒は十人。なかなか少ないな・・・あちこちからシャンパンを開ける音がする。楽しそうだ、僕も先輩と話て次の予定を付けよう。

「セオリ君はどうしてこの学校に?」

「両親に無理やり・・・でも今は、この学校に入って良かったと思っています」

「両親に無理やりか・・・」

先輩は、少し羨ましそうに微笑んだ。

「先輩は何故ここに?」

「僕は、最高の執事になる為さ!かっこよくて、キラキラしてる強い執事にね!」

なんだこの先輩!凄く優秀そうなのに、たまにバカになる。というか、精神年齢が急に下がる。これで生徒代表とかどれだけ成績良いんだよ!勉強教えて貰おう。

「かっこいい夢ですね!」

「君も成績良さそうな見た目してから、きっとなれるよ」

そんなこと・・・どこ見て言ってんだ?

「成績最下位なんです。よければ勉強を教えて頂けませんか」

先輩は目を見開いてこっちを見た。

「最下位なのか!その見た目で・・・よぉし分かった。この学年成績トップの俺が、手をかけて見てやろうではないか!」

次会う予定ゲット!成績最下位で良かった・・・今だけ・・・さっきからウィルセスが話に聞き耳を立てているのが気になるが。

「明日の放課後はどうだ?部活も無いだろう」

「空いてます」

「じゃ明日、図書室集合な!」

「分かりました」

先輩との食事会も終わり、各部屋に戻る・・・今日だけでお墨付きを貰い、次の予定もゲットした、上出来だ!明日は昼からの授業だ、たくさん寝よう。

「セオリ〜食事会どうだった?あと、休みの時の話も聞かせてよ」

完全に忘れてた、部屋にはこいつが居るんだった。

「今日は眠い、また今度な」

「前もそれ言ってた!今日こそ聞かせて貰うぞ」

「分かった、分かったから!話せば良いんだろ」

そのまま寝かせて貰えず、授業を受ける羽目に・・・朝早く、誰かがコンコンと扉をノックした。

「誰だろう」

扉を開けてみると、そこにはウィルセスの姿が・・・

「ウィルセス、なんで!」

「私は、この学校に来たばかりなので、学校のことがよく分からないのです。なので、学校案内をして頂けたらと思い・・・」

白々しい、全く知らない人としてやり過ごすきか。

「分かりました、案内します」

あまり良い気はしないが、事情の聞ける良いチャンスだ。でもこいつ、こんなに早く接触して来るとは思ってもいなかったな。

「まず初めに、ここが一年生の寮です。先輩方の寮は別の所に、それは後程・・・ここが校長室です」

「セオリ君、私はそんな所を案内して欲しい訳じゃありません。不思議な気のする部屋はどこですか?」

チッ、そういう事か・・・

「あなたに教える義理はありません、執事さん」

「学校で、私をそうやって呼ばないで頂きたい。妙に毛嫌いされている様なので申しておきますが、私はあなたを狙っている訳ではございません。旦那様からの命でここに来たのです。ここに来た理由は守秘義務がございますので申すことはできませんが」

守秘義務?そこを隠されては、信じるものも信じれん。だいたい、コイツが嘘をついてる可能性もある。


「もう授業が始まる時間なので、失礼します」

「次の授業は私が担当なので一緒に行きましょう」

「結構です!」


・・・結局一緒に来てしまった・・・

「皆様、初めまして。執事会でも挨拶はしましたが、ここで挨拶をするのは初めてですね。一年、掃除科担当のウィルセスです。以後お見知りおきを」

「では早速授業を始めていきます。今日はキッチンの掃除の仕方です。この資料用意しました」

ドサッ・・・

「多!こんなにあるのか」

「この資料には、キッチン下の磨き方や履き方、食器の置き方まで細かく書いてあります。まずはこの通りにやってみて下さい。分からない事があれば、なんでも申して下さいね」

ペラペラと、資料をめくりながら掃除を始めていく。学校の床は綺麗に見えて意外と汚いんだな・・・掃除ってやってみると意外と楽しい。

「セオリ、珍しくルンルンだね」

「掃除って楽しいな!」

最後に食器を磨き上げ、向きを揃えて棚にしまうと・・・完璧だ!ちょうどそこでチャイムが鳴った、これから先輩と勉強する約束になっている。


図書室に入ると、そこにはウィルセスが・・・

「ウィルセス!」

「先輩なら来ませんよ」

「どうしてだ」

「私が、理由を付けて帰って頂きました。セオリ様、今日から旦那様のお申し付けで今日からセオリ様の、執事となりましたので!」

「ウィルセスが僕の執事!」

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