表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣国に売られるように渡った王女  作者: まるねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/35

18 陛下side

「リヴィア様が先ほどカインディール国へと出発なされました」

「……そうか」

「本当に良かったのですか? リヴィア様は離宮から戻られて日に日に衰弱しておりました。先ほども従者たちがリヴィア様の異変に気づいて泣いている者もいたようです。心が壊れたのではないかと」

「……そうか」


 私は羽根ペンを置き、執務の手を止めた。


「なあ、ジョール。俺はどこで間違えたんだろう?」


 執事のジョールは真面目な顔で答える。


「……側妃選びからでしょうか」

「なぜそう思う?」

「オリーディ様があれほど嫌がっていたアンバー嬢を側妃に迎えた。そして陛下はアンバー妃ばかりに目をかけ、慈しんでこられた。その結果でしょう」

「……耳が痛い」

「フェルディナンド・ベニーシェイク公爵子息がロジーナ・フリッジ子爵令嬢に陥れられたのもラジーノ王子の手引きだったようです」

「なぜラジーノはそこまでしてリヴィアを傷つけたいんだ」

「やはりアンバー妃の影響でしょうね」


「アンバーはそんな女だったのか?」

「ええ、そうですね。側妃として召し上げられる前から様々な子息との交際や婚約者のいる子息に声を掛けて回り、婚約を潰していらしたようですから。オリーディ様も反対なさっていたでしょう?」


「……そうだったな。オリーディを蔑ろにしすぎたツケか。ラジーノ達の教育はどうなっている?」

「酷いものです。よく王族でいられるなというレベルで」

「そんなにか?」

「そんなにです。リヴィア様に付いていた教師はことごとく匙を投げています」

「……廃嫡止む無し、か。新たに側妃を迎える」

「畏まりました。リヴィア様のことはどうされますか?」


「そうだな。リヴィアの侍女に生活費を送り届けておくように。ヴィリタス陛下はリヴィアのことを高く評価していた。ドルク王子に渡すと使われてしまうだろう。陛下には一報入れておけばいい」

「畏まりました」





 私はその後、執務を中断しオリーディの部屋へと向かった。


「オリーディ、いるか?」

「どこの誰でしょうか?」


 棘のある言葉で部屋に入れるつもりはないようだ。


「開けて欲しい。大事な話がある」

「……どうぞ」


 扉が開いた時、絶句した。


 以前この部屋を訪れた時は格式高い家具に囲まれた落ち着きのある部屋だったが、今は嵐でもあったかのような荒れた部屋。


 言葉に詰まった。


 ここまで彼女を追い詰めていたのだと自覚し、後悔するばかりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ