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1プロローグ

宜しくお願いします。

 王宮の中庭で王妃オリーディは乳母に娘のリヴィアを任せ中庭でお茶をしている時にそれは起こった。


 優雅な雰囲気でお茶を楽しんでいた王妃に駆け寄る従者。


「王妃様、側妃アンバー様のお子が生まれました!」

「……性別は?」

「王子だそうです」


 オリーディは飲んでいたカップを投げ捨て、勢いよく立ち上がった。


「ああ、忌々しい! 許せないっ。陛下も陛下よ! 私は端から反対だったのよ、あんな女を側妃に上げるなんて。王子だなんて嘘に決まっているわ!!」


 恨み言を吐いても怒りが収まらないオリーディは立ち上がり、リヴィア達を置いて部屋へ戻ってしまった。


 この時、リヴィアはまだ二歳になったばかりで乳母のダリアと機嫌よく遊んでいたが、リヴィアは母の怒りを察知したのか泣き出し、乳母と共に部屋に戻った。


 そしてこの日を境に王妃であるオリーディはリヴィアに冷たく当たるようになり、代わりにリヴィアに教師が付けられることになった。


幼いリヴィアは反抗することも許されず、突然始まった淑女教育に泣きながらも勉強に励むしかなかった。



ーーー



 ここはケルノッティ国。

 王の名をエーゼット。大した才能のない凡庸な男で都合の良いように王座に据え置かれている。そして王妃の名はオリーディ。王妃が産んだのはリヴィア王女ただ一人。


 エーゼットが治めるケルノッティ国は残念ながらカインディール国の従属国であり、今から三十年前に小国ケルノッティは戦争に負けカインディール国の従属国となった。


 従属国になった時、まだ幼い第三王子のエーゼットだけが残され、他の王族たちはみな処刑された。



 それから三十年経った今でもカインディールの従属国という状況が続いている。


 ケルノッティ国は長子が跡を継ぐのではなく、長男が王太子となる伝統が残されており、王妃の産んだリヴィアは女王にはなれない。

 第二子は男児を、と強く望まれたが王妃はリヴィアを産んだ後、病のため子供を産むことが出来ず側妃を娶ることになった。


 そこで迎えられたのがアンバー・リョードル伯爵令嬢。彼女はその愛らしい容姿と仕草で若い令息達から人気があり、いつも誰かしら令息の腕にしなだれかかり、男を侍らせていた。


 王妃オリーディはそんな彼女の事を下品だと思い、昔から大嫌いだったのだ。


 彼女は『アンバーだけは、絶対に側妃にさせないで』と側妃になることを反対していたのにも関わらず、陛下の一言で側妃が決定したという経緯がある。



 陛下はアンバーを側妃にしてからというもの彼女をそれはそれは大事にしたのだ。

 食事はもちろんのこと、視察にも、舞踏会に出席する時にも王妃ではなく彼女を連れていた。


 オリーディは側妃を迎えることに納得はしていたが、自分の意向を無視された挙句、王妃である自分より側妃を可愛がり優先する姿を見て心穏やかでいられなかった。


 当初は三人で食事をしていたが、オリーディは二人の仲の良い姿、アンバーの自分を見下してくる視線に辟易し、部屋で食事をするようになった。


 王が大切にしているアンバー側妃はすぐに懐妊し、陛下とアンバー側妃はより一層仲睦まじくなっていく。




 アンバー側妃の子が男児である知らせを聞いて王宮内は一気に騒がしくなった。

 待ちに待った世継ぎが生まれたことで王妃以外の皆が喜んだのだ。


 ……オリーディは悔しくて、悲しくて、やり場のない怒りで憤っていた。


 エーゼット王は王妃に知らせを出すほど息子の誕生をとても喜んだ。そのことで王妃を傷つけているとも気づかずに。


 側妃ばかりを優先する王に苛立ち、嫉妬する王妃。悪いことに側妃のアンバーは王子を産んだ事でエーゼットが居ない場でオリーディを口汚く罵るようになった。


 次第にオリーディは悔しさと嫉妬、男児を産むことができない苛立ちをリヴィアに向けるようになっていったのだ。

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