表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍発売中】1年間お飾り妻のお役目を全力で果たします! 〜冷徹公爵様との契約結婚、無自覚に有能ぶりを発揮したら溺愛されました!?【完結】  作者: 清川和泉
第1章 お飾り妻のお役目を全力で果たします!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/49

第12話 旦那様とお呼びしてもよろしいのでしょうか?

ご覧いただき、ありがとうございます。

「公爵様と一緒にお食事をいただくことが叶い、とても嬉しく思います!」


 翌日の夕方。

 ジークハルトは商会の仕事が落ち着き珍しく夕方に帰宅することができたので、ソフィアを夕食に誘った。


 ソフィアは桃色の鮮やかなドレスに身を包み、頬紅や口紅も桃色で統一されている。

 ジークハルトは、それらは彼女にとても似合っていると思った。


 食事の工程が次々とこなされていき、いよいよメインディッシュの運びとなった。

 今日のメインディッシュは白身魚のムニエルだが、ソフィアは綺麗な動作で切り分けて口に運ぶと、弾けるような笑顔を見せた。


 ジークハルトは思わず見惚れるが、ソフィアは何かを言いたそうに何度かこちらに視線を送った。


「何か、私に言いたいことがあるのか?」


 訊ねるとソフィアは身体をびくりと小さく跳ねさせてから、ナプキンで口元を拭う。


「はい。あの、とても」

「とても?」

「とても美味しいです、公爵様! お魚とバターの風味がまるで上質な二重奏を奏でているようです!」

「二重奏?」


 味の表現にそのような語彙を使用するとは斬新だと思ったが、不思議と説得力がある説明だと思った。


 だが、同時にジークハルトはあることが気にかかり、コホンと咳払いをする。


「君は私の妻、なのだろう?」

「は、はい! あくまでお飾りではありますが……」


 そう付け加え小さく苦笑するソフィアの様子に、なぜだかジークハルトの胸がズキリと痛む。


「そうか。……であれば、私のことを公爵と呼ぶのは不自然だと思うのだが」

「!」


 思わず両手で口元を塞いで目を見開くソフィアだが、しばらく間を置いてから涙声で訊ねた。


「わたくしが公爵様のことを、……旦那様、とお呼びしてもよろしいのでしょうか?」

「ああ、かまわない」


 ソフィアはハンカチで目元を拭うと、真っ直ぐにジークハルトに視線を向けた。


「とても美味しいお食事を一緒に摂ることができて幸せです。……旦那様」


 そう言って柔らかく微笑むソフィアを見ていると、ジークハルトは自分の凍りついた心が溶けるような、そんな感覚を覚えた。


「……ああ、私も幸せだ」

「!」


 たちまち顔を真っ赤にする彼女を不思議に思うが、のちにトーマスから聞いた話だとジークハルトも気持ちのよい笑顔を浮かべていたそうだ。


 そうして、二人の優しい時間は続いていく。

お読みいただき、ありがとうございました。


短編版のお話はここまでです。次話からその先の物語となります。少しでもお楽しみいただけたら幸いです(* ˊᵕˋㅅ)


もし、少しでも面白いと思っていただけましたら、ブクマ、スクロール先の広告の下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎でのご評価をいただけたら嬉しいです!今後の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ