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緋き牙と碧き路「元令嬢は家を取り戻し、幼馴染は彼女を糺す」  作者: naimed
後日談 ネプトゥ大公夫妻の語らい
47/47

ええ、一緒に学んで参りましょう

前話より一年後。

「よし、屋敷から上手く抜け出せたわね・・・あら?ラヒルさんではないですか!」

「これは奥様、おはようございます・・・またメイド達の目を盗んで来られましたな?屋敷の者達を困らせるのもほどほどになさいませ」


「そうは言っても前代官様のお墓のお掃除ぐらいは好きにさせてもらわないと・・・もう私がやる処がないじゃないですか!」

「いつまでも奥様お一人に任せていると旦那様に私めが叱られます故に・・・奥様には領地のお仕事も手伝って頂かないとなりませんので」


「はぁ、せっかく抜け出してきたのに全部先を越されるなんて・・・これじゃマイサさんと同じじゃない」

「そういえばカデン殿の分はこれから取り掛かる所でした、喋っていないで向かうべきでしたな・・・それでは」


「それは私がやります、ラヒルさんはお年で働きづめですから少しはお休み下さいな!」

「はは、それは心外ですぞ?不肖このラヒル、まだまだ若い方々に甘える訳には」



「・・・それならもぅ終わったぞ?」



「あ、これは殿下・・・どうしてこんなに朝早くから?」

「殿下じゃない『クライツ』だハンナ、いい加減に慣れて欲しいな?」

「も、申し訳ありません・・・でん、クライツ様」


「旦那様・・・終わったというのはもしやあの方の?」

「ああ、もうガキ染みた振る舞いは卒業だ・・・それより久しぶりに早朝に働いて喉が渇いた、今屋敷に帰ると他の者達が大わらわになる・・・ラヒル、あの家に行くから茶を持ってきてくれ、ハインツは休暇で実家に帰っているハズだ」


「は、かしこまりました」

「ラヒルさん、私も手伝います」

「何を仰いますやら!ご身分を弁えて下さい、奥様は旦那様と先に向かって下さいませ」


「父さまと同じ事を言われますね?行きましょう、クライツ様」

「ああ」





「ここもあの時と変わらない・・・ラヒルと男爵(バロン)となった義父殿(ハインツ)もマメに手を入れてくれているな」

「ええ、ここは時が止まったかのようです・・・デルト様の最期を看取った時と同じ」


「気分を暗くさせてしまったか、ラヒルが戻り次第場所を移すか?」

「お気遣いなく・・・あの時は私どもが至らなかったせいで」


「そう自分を責める事はない、俺も彼に頼り切りだったし何より彼はこのネプトゥ・・・いやウルカンを愛していたからな、自分の命を削る事も厭わなかったんだ」



「失礼致します、お茶をもって参りました・・・おこがましいですが私めも同席致しますぞ、デルト様の事ならば私めにも責任があります故に」



「それは・・・一体どういう事ですか?ラヒルさん」

「違うんだハンナ、あれはラヒルのせいではない・・・何度言ったら分かるんだ」


「いえ、私めが故郷に情熱を傾けるデルト様に面白がって領地経営学などお教えしなければ代官になられる事も命を懸ける事も無かった・・・と日々感じております」

「そこまでだラヒル、それを言われると弱いんだよ・・・彼を代官に任命したのは俺なんだ、彼の才覚と故郷への情熱に惚れこんでしまったからな」


「お二方とも、もうこの辺りにしておきましょう・・・デルト様は全てのお仕事をやり終えたのですから悔いはなかったハズ、私達が自分の行いを悔いたところであの方は喜ばれませんわ」


「そうだな、反省会は終りにして茶を貰う事にしよう・・・ラヒルも座れ」

「はっ、それではお言葉に甘えまして」





「まさかクライツ様が私を選んでくださった理由が『デルト様との話が出来るから』だなんて・・・よくよく考えてみると女に対して無遠慮というか」


「すまない、正直ここネプトゥの領主になった時は大変だったんだよ・・・求婚者は引く手数多だが名門貴族達の令嬢ばかり、その親はどいつもこいつも家名を上げるのが目当てだったし本人の令嬢達も田舎暮らしは心底嫌がっていたからな?ああいうヤツラにデルトの遺した領地で好き勝手させたくはなかったんだ」


「無論それだけではございませんぞ?私めが付け加えさせて頂くと・・・

 救婚者は全てが高位貴族、旦那様の御身分では誰と結婚しても貴族勢力のバランスが崩れる危険がありました・・・幸いにも奥様のご実家ブラート家ならどの派閥にも属されていませんので、旦那様のお相手として適任でございました」

「なるほど・・・新興貴族の家が役立った、ということですね?」


「その上奥様御自身も全ての礼儀作法に堪能で、更に登城されている旦那様の代わりに領主代行として執務もして頂いております・・・高位貴族のご令嬢というだけではこうはいきますまい」


「恐れ入ります・・・マナーは小さい頃から仕込まれていましたし、ラヒルさんの教え方が良いのです・・・それにデルト様から本の読み方も教えて頂いた事がありましたので、勉学には何とかついていけるのですわ」


「それは初耳だな、王城で宰相職に就いた俺もハンナから教わらなければな?」

「ええ、一緒に学んで参りましょうクライツ様」


「それならば私めも参加致しますぞ?ここの領主となられた旦那様には、まだまだ覚えて頂かなければならぬ事が山ほどありますので」

「・・・ほどほどに頼むぞ?ラヒル」



-終-

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