俺と会長の照れ隠し
オチも何もなく、楓と会長が軽くイチャイチャするだけの話です。
あと、生徒会長補佐ってどんな立ち位置?って質問があったのでここに書いて起きます。
生徒会長の直属の職務です。
生徒会や、他の委員会は干渉することが出来ないように、
(会長)→(補佐)
↓
(生徒会)
と、なっています。
少し分かりずらいかな?
まぁ、秘書みたいな感じ?と思ってくれて大丈夫です。
放課後の会長室でパラパラ、トントンと、作業する音だけが響く。
今日は珍しく会長も最初からエンジンが掛かっていた。なんでも明日は大事な集会があるらしく、その資料作りが滞っているのだとか。
「「…………、」」
いや、ほんっとに何も喋らないなんて珍しすぎる。最近はずっと怠けきっていたから本気モードの会長はなんと言うか……ギャップが凄い。
ここしばらくは残念な姿しか見てなかっただけに少し胸にきてしまう物がある。
俺が会長に見とれていると、ひと段落着いたのか会長が顔を上げ、目が合ってしまう。
「……、(ポッ)」
が、会長は何も言わずにただ目を見てくるだけだ。頬が若干赤いのは気のせいだと思いたい。
「何か言ってくれません?気まずいんですけど……、」
「………………しゅき……、」
「(ボッ!)」
ちくしょう!会長め!真顔でなんてこと言ってくるんだ!!しかも言えてねーし!!「しゅき」って!あーもー!可愛いかよ!!
「顔、赤いわよ?大丈夫?」
「だ、誰のせいだと……、」
「ふふっ、嘘よ。ちゃんと分かってるわ。楓君が照れている事ぐらいね。ただ、これじゃあ私も恥ずかしいわ。」
「じゃあ言わなきゃいいのに。」
「あーもう!そうやって顔が未だに赤いのに平静を装う楓君も好きよ……!」
「……っ!」
ダメだ。このままじゃ会長に絆されてしまう。そうだっ!素数を数えるんだ!
2、3、5、7、11、13、17、19。ふぅ、これで俺は平常運転。
「会長、好きって言葉も言い過ぎると重みが無くなりますよね」
次いでに布石も打っておく。これで会長も軽々しく好きだなどと言えないはずだ。
多分だが、会長が言う「好き」には一生慣れることは無いと思う。だからこそ、こうやって地道に会長に言わせないようにするしか無いのだ。
そう、一人で思考する俺に会長は挑発的な目を向けてくる。
「ふーん?私が言う「好き」には重みを感じないとでも?それもまた正論ね。でもね?しょうがないじゃない。好きな人に「好き」と言って何が悪いの?自重しようとも思うわ?それでもね、しょうがないじゃない、「好き」って思った時には口から出ちゃうんだもの。あら?楓君?急に真っ赤になってどうしたのかしら?口がパクパクなって金魚みたいよ?でも、楓君のそんな所も「好き」だわ。」
「か、会長……、ギブ。」
「ふふっ、今日は私の勝ちね」
なんの勝負だよ。
もう俺はあんたには一生勝てない気がしますよ。いや、勝てる方法もあるにはあるんだけど……、自滅覚悟だからやめとこう。俺には付き合ってもない女の子に愛を囁ける程の器量は俺には無いのだ。
うっせー、ヘタレで悪かったよ。
少し恥ずかしくなった俺は話を変えることにした。
「さて、いい具合に気分転換もできたし、そろそろ仕事に戻りましょうか。」
「そうね、今日はいっぱい頑張ったから終わったら沢山甘えていいわよね?」
「まぁ、少しくらいなら……、」
「言質はとったわ、今日は頭を撫でられたい気分だったの。そうと決まれば私の持てる全力で終わらせるわ。」
「ははっ、よろしく頼みますよ?」
「ええ、任せなさい!大好きな貴方に甘える為だもの、いくらだって頑張るわ!!」
「…………、」
「ふふっ、今日は二連勝ね。」
そう言って会長は仕事に戻る。
なんで会長は照れずにあんな事が言えるのだろう?と思ったが会長の真っ赤な耳を見て全てを理解した俺は、笑うのを必死に堪えながら残りの仕事を片付けるのだった。
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