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生徒会を解任させられた俺がヤンデレ生徒会長の右腕ってマジですか?  作者: 秋之葉Momiji
坂の上高校校則 第一条【会長の愛は重い】
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テスト勉強(壱)

期末テストも明後日に控え、みんながテスト勉強に励む中、俺達も例に漏れずテスト勉強に精を出していた。


「楓!一次方程式の公式ってなんだっけか?」

「おいおい!今俺が大化の改新について習ってんだから後にしてくれよ!」

「僕のはすぐ済むからこっちからでいいかな?石灰水が反応するのって、酸素で合ってるよね?」

「ばっかだなー!お前。石灰水と反応するのは水素だよ!スイへーリーベーでイッチャン最初に来るから一番強いんだよ!」


まぁ、見ての通り全員バカである。

男なので簡単に説明するが、髪の色が右から赤、青、黄、ピンクの順に、拓也、涼太、祐介、友秋だ。まるで朝のスーパーヒーローみたいな4人だが、別にヤンキーと言う訳ではない。少しだけファッションセンスがズレて居て、たまたま頭の出来が悪いだけなのだ。


「馬鹿はお前だ……、裕也。周期表で水素が一番最初に来るってのを覚えたのは偉いけど、答えは二酸化炭素だ。」

「?……二酸化炭素?そんなのスイへーリーベーに書いてたか?」


ダメだ頭痛がしてきた。


「よし、四人ともよく聞け?そもそも二酸化炭素ってのは酸素と炭素の化合物で、─────って訳だ。だから元素周期表にも載ってないの!分かった?」

「「「「なるほど!」」」」

「んじゃ、問題。石灰水と反応する気体は?」

「「「「水素!!」」」」

「馬鹿なのか!?お前ら馬鹿なんだな!?石灰水と反応するのは二酸化炭素だ!!はいせーの!」

「「「「二酸化炭素……、」」」」

「よし……」


根本的解決にはなってない気もするが、まぁ二酸化炭素って言葉を覚えただけいいだろう。

さて、勉強を初めてそろそろ二時間がたとうとしている。そろそろ休憩を入れようとした調度その時、玄関が開き林檎が帰ってくる。


「ただいまー!にぃに、今日お友達来てるの?」

「おう、みんなで勉強してるんだ。調度休憩しようとしてたから林檎も手ぇ洗っておいで、みんなで買ってきたお菓子食べよう」

「お菓子!?やったぁ!!」


ランドセルを下ろし、高いテンションのまま洗面所に向かう林檎を見送り、視線を戻す。


「はぁー、林檎ちゃんマジ天使……、」

「これからお義兄様って呼んでもいいか?」

「僕、あの子と結ばれるなら牢屋に入ってもいい……、」


口々に囃し立てる馬鹿ども。

拓也を除いて三人が林檎にメロメロだ。その気持ちは分かるが、手を出したら牢屋どころか俺が直々にぶち殺してやるからな?涼太さんよ。


ま、それはさておきだ。


「お前らも二時間ぐらい頑張ったし少し休憩するか。林檎も来るから一旦勉強道具を片してくれ」

「「「「はーい」」」」


小学生も顔負けのいい返事だ。流石、近所で小学生達に自称スーパーヒーローを語っているだけのことはあるな。


机の上を片付け終わり、来る途中に買ったお菓子をそれぞれひろげた頃に林檎が降りてきた。


「やったー!今日はお菓子たくさんだ!!」

「あんまり食べると夕飯入らなくなるから少しだけだぞ?」

「はぁーい」

「り、林檎ちゃん!お兄ちゃんの膝で食べようか!」

「いやいや、僕の膝がいいよね?」

「いいや、林檎ちゃん!そっちの兄さん達は悪者なんだ!こっちに来るんだ!」


と、馬鹿三人が自分の膝に座れと林檎を誘惑?している。


「んー、林檎はやっぱりにぃにの膝がいい!」

「よし!よく言った林檎ぉ!にぃにの膝に来るんだ!!、と言いたいところだけど、余裕あるし普通に座ろうな?」


そう言ってさり気なく林檎を俺の隣に座らせる。三人が何か喚いているが聞こえない。

馬鹿共の魂の叫びを無視しながら林檎と仲睦まじくお菓子を食べていると、ポケットの中のケータイが鳴り響いた。

見ると呼び出し人は『会長』と書いてある。


「はい、楓です」

『もしもし、私よ私、私。ちょっと事故したんでお金が必要になったのだけど』

「もう切りますね?」

『まって、冗談よ。ちょっとからかってみただけじゃない』


会長は少し拗ねた声を出す。


『今日は楓が用事あるって言うから私、一人なのよ?寂しいわ……。こう、楓君に構って欲しくなっちゃったの。』


実は会長は構って欲しいだけだったらしい。

実は最近こんな感じの構ってちゃん電話が毎日のように来るから慣れている自分が恐ろしく感じる。


「でも、今勉強会中ですし……」

『な、なんですってぇ!?』

「うわっ!急に叫ばないで下さいよ!!耳が痛いじゃないですか!!」

『失礼したわ。でも勉強会とは聞き捨てならないわね。』

「な、何がですか?」

『明日、暇かしら?』

「まぁ、勉強しないとなので暇ではないですけど、時間はそれなりにありますよ」

『じゃあ決定ね!明日、私も勉強会しましょ!もちろん参加者は私と楓君のみだけれど!よっしゃ!やる気が出てきたわ!!このまま最終日のテストの勉強まで一気に終わらせてしまうわ。それじゃ、また明日!』


会長はそれだけ言って一方的に電話を切ってしまった。まったく、嵐のような人だと苦笑いしながらスマホをポケットにしまって林檎が隣にいないことに気付き周りを見渡した。


「楓?今生徒会長の声が聞こえたんだけど?俺の幻聴か?」

「僕らを差し置いて彼女を作るなんて有り得ないよね?ね?返事してよ?」

「勉強会、と聞こえたんだが……、空耳じゃなかったらお前をぶち殺す」

「ま、今回は俺も擁護できんな。せいぜい頑張ってくれや、っと林檎ちゃんはあっちで俺と遊んでような?今からプロレスごっこやるみたいだからな」


そう言って裕也は林檎ちゃんを俺の部屋の方へ連れて行ってしまう。

俺は青ざめながら思い出していた。

コイツらが万年女子に飢えているヤツらだってことを。

そしてそんなヤツらの前で女子と話せば、それも会長のようなべっぴんさんと勉強会の約束なんてすれば、俺がどんな目に会うかなんて目に見えている。


「待ってくれ!話せば分かるはずだ!」


俺はとりあえず許しを乞うてみる。が、


「ダメだよ〜!君はここで殺すよ〜!」

「あはは!あははははは!ぶち殺すですぅ!」

「…………人の不幸は蜜の味!」

「にぎゃあああぁぁぁぁぁ!!!!」


人の話を聞くヤツらじゃないってことぐらい、これまでの付き合いと成績で分かってたさ。

結局この後、俺をボコボコにした後、何事もなかったかのように勉強を始める馬鹿四人であった。


畜生!!

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